新型コロナ “増加要因と減少要因がきっ抗” 政府の分科会

新型コロナ “増加要因と減少要因がきっ抗” 政府の分科会
新型コロナウイルスの感染の状況について、現在は増加する要因と減少する要因がきっ抗しており、いつ拡大してもおかしくないとして、対策にあたる政府の分科会は、どのような具体的な行動がリスクが高いか詳細な分析に基づいて示すよう政府に求める提言をまとめました。
15日行われた政府の分科会では、感染状況についての専門家の分析に基いて政府に対する提言をまとめました。

提言では、現在の感染状況について、感染の増加要因と減少要因がきっ抗していて大幅な増加が見られない一方で、急激な減少も見られない状況が続いているとしています。

具体的に
▽増加要因としてはなるべく普通の生活に戻りたいという気持ちが醸成され活動が活発化していることや、クラスター発生の場も多様化していることを挙げた一方、
▽減少要因としては感染リスクの高い場所や行動を控えていることなどを挙げています。

しかし、増加と減少の要因がきっ抗している状態はいつ崩れてもおかしくなく、実際に増加傾向を示す地域もありクラスターの連鎖が起きた場合には感染が拡大するリスクがあるとしています。

そのうえで分科会では、
▽政府に対し、どのような具体的な行動がリスクが高いか詳細な分析に基づいて示すとともに、
▽クラスターからの感染拡大を防ぐ対応を早期に行うよう求めました。

分科会の尾身茂会長は「今の感染状況の背景にどんなことがあるのか、これから何をすべきなのか説明することが専門家の責務と考え提言をまとめた。政府には、どんな行動が感染リスクが高くどんな行動が低いのかわかりやすいメッセージを速やかに発信していただきたい」と述べました。

歓楽街対策の効果分析 具体策とりまとめへ

営業時間の短縮によって、名古屋や福岡の歓楽街では、新型コロナウイルスの感染拡大が抑えられたと見られる一方、東京 新宿では人出があまり減らず、重点的なPCR検査の結果、感染を減らすことができたと見られることが、内閣官房で分析した結果、明らかになりました。この結果も踏まえ政府の分科会のワーキンググループは、今月中をめどに具体的な対策をとりまとめることにしています。

これは、政府の分科会で内閣官房の担当者が報告しました。

それによりますと、ことし8月に店舗へ営業時間の短縮要請が出された、
▽名古屋市の繁華街 栄では人出が6月中旬と比べて最大およそ45%減少し、
▽福岡市の繁華街 中洲では最大で20%余り減少したということです。

どちらの歓楽街でも短縮要請が出された期間に新たな感染者の数が減少傾向になっていて「営業時間の短縮が功を奏したのではないか」としています。

一方、東京 新宿区の歌舞伎町では営業時間の短縮要請が出されていた期間に大きな人出の減少は見られなかったものの、感染者が減少していて「店舗に対して重点的にPCR検査を行ったことが感染者の減少につながったのではないか」と分析しています。

さらに、全国の映画館やショッピングセンターなど買い物や娯楽で外出した人出と、感染者数との関係を分析したところ、あまり関連が見られず、多くの場合、客も店側も適切な感染対策をとっているためではないかとしています。

歓楽街を起点にした感染拡大対策を検討している分科会のワーキンググループは、この結果も踏まえ、どんな対策をどのタイミングで行うと効果的なのか今月中をめどに具体的な対策をとりまとめることにしています。

分科会の尾身茂会長は「歓楽街で、気楽に相談し検査を受けられる体制を整備するなど感染が広がる前に迅速に予兆をつかんで対策を取れるようにすることが重要だ」と話しています。