インド 感染拡大続くもほぼすべての経済活動の制限緩和

インド 感染拡大続くもほぼすべての経済活動の制限緩和
新型コロナウイルスの感染拡大が続くインドでは、政府の経済優先の方針のもと15日から映画館などの営業再開が認められ、ことし3月以降続いていた経済活動の制限がほぼすべての分野で緩和されました。
インドでは15日、新たに6万7000人あまりが新型コロナウイルスへの感染が確認されるなど、世界で最も速いペースで感染が拡大していて、累計の感染者も700万人を超えアメリカに次いで世界で2番目に多くなっています。

こうした中、経済の回復を優先するインド政府は、15日から映画館やプールなどの営業の再開を認めました。

首都ニューデリーの映画館では観客の数を通常の半分に制限したり、上映が終わるごとに館内を消毒したりして感染対策を徹底していましたが、再開初日の15日は、チケットを買う人がほとんどいないということです。

インドではことし3月からほぼすべての経済活動を停止する厳しい対策に踏み切りましたが、その後、段階的に制限を緩和していて、15日で、ほぼすべての分野で制限が緩和されました。

インドでは、来月にかけて各地で祭りが行われる時期を迎え人の動きが活発になることから制限の緩和で今後、感染がさらに拡大する懸念も出ています。

インド駐在の日本人 現地大使館が注意呼びかけ

インドでは、経済活動の制限の緩和にともない、現地に駐在する日本人が新型コロナウイルスに感染するケースが相次いでいて、大使館が注意を呼びかけています。

インドでは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの日本人駐在員や家族が日本などに退避しましたが、企業活動が徐々に再開していることを受けて、インドに戻ってきています。

こうした中、インド国内で日本人が新型コロナウイルスに感染するケースが相次いでいて、日本大使館によりますと先月以降、37人の感染が確認されているということです。

今のところ、重症化したケースはないということですが、インドに戻ってきた直後に感染したケースや家族内で感染が広がったケースもあったということです。

インドでは今月以降、各地で祭りの時期を迎え、人の動きが活発化するほか、大気汚染が1年で最も悪化するシーズンを迎えることから、さらなる感染拡大や重症化のおそれがあるとして、日本大使館では感染対策を徹底するよう呼びかけています。

隣国パキスタンではマスク着用進まず

インドの隣国パキスタンでは、経済活動が再開される中、公共の場所で着用が義務づけられているマスクをしない人が多く見られ、政府が警戒を強めています。

パキスタンでは、新型コロナウイルスに感染した人が、これまでに32万人を超え、亡くなった人は、6600人を上回っています。

一方で、1日の新規感染者数は、今月にはいり600人前後と以前に比べ減っていて、政府は、飲食店や映画館などの営業を認めているほか、先月からは学校での対面の授業も再開しています。

こうしたなか、飲食店やモスクなど公共の場所では、着用が義務づけられているマスクをしない人が多く、首都イスラマバードの商店街では政府の担当者が、マスクの着用を呼びかけていました。

政府は、公共の場所などで感染対策が、不十分な状態が続けば、冬場にかけて感染拡大のペースが再び悪化するおそれがあるとして警戒を強めています。