郵便局 非正規契約社員 待遇に不合理な格差 違法の判断 最高裁

郵便局 非正規契約社員 待遇に不合理な格差 違法の判断 最高裁
各地の郵便局で働く非正規の契約社員らが、正社員と同じ業務をしているのに待遇に格差があるのは不当だと訴えた裁判の判決で、最高裁判所は契約社員側の訴えを認め、扶養手当などに不合理な格差があり、違法だとする判断を示しました。郵便事業に携わる非正規社員は18万人あまりにのぼり、日本郵便は今後、待遇の見直しを迫られる可能性があります。
各地の郵便局で配達や集荷を行う契約社員らが、正社員と同じ業務をしているのに手当や休暇の待遇に格差があるのは不当だと日本郵便を訴えた裁判では、東京高裁と大阪高裁、それに福岡高裁の3件の判決でいずれも不合理な格差があり違法だと判断されました。

しかし、手当や休暇の種類によって2審の判断が分かれていて、契約社員側と日本郵便の双方が上告していました。

15日の判決で、最高裁判所第1小法廷の山口厚裁判長は、日本郵便の手当や休暇のうち、
▼扶養手当、
▼年末年始の勤務手当、
▼お盆と年末年始の休暇、
▼病気休暇、
それに
▼祝日の賃金について、
契約社員側の訴えを認め、不合理な格差があり違法だという判断を示しました。

このうち扶養手当については「日本郵便では、正社員の継続的な雇用を確保する目的があると考えられる。その目的に照らすと、契約社員も継続的に勤務すると見込まれるのであれば、支給するのが妥当だ」と判断しました。

また、年末年始の勤務手当については「日本郵便では最も繁忙期で、多くの労働者が休日として過ごしている期間に業務に当たるという勤務の特殊性から、業務の内容に関わらず、実際に勤務すれば支給されている。正社員と契約社員の手当に差があることは不合理だ」と判断しました。

その上で、賠償額について改めて審理させるため、東京と大阪の高裁に審理をやり直すよう命じました。

郵便事業に携わる非正規社員は18万人あまりにのぼり、日本郵便は今後、待遇の見直しを迫られる可能性があります。

最高裁は13日、非正規の労働者のボーナスと退職金をめぐる判決では、不合理な格差に当たらないとする判断を示していて、今回の判決もあくまで個別のケースに対する判断となっています。

契約社員「最高の結果が出てほっとしている」

判決のあと、契約社員らが「扶養手当勝訴」などと書いた紙を掲げると、集まった支援者から歓声があがりました。

訴えを起こしていた都内の郵便局に勤務する契約社員の浅川喜義さんは「郵便局で働く人たちの処遇改善が判決によって一歩進んだ」と話していました。

このあと、裁判を起こしていた契約社員と弁護団が東京・千代田区で会見を開きました。

この中で大阪の郵便局で契約社員として働く※くぬぎ恵之さん(48)は、「非正規雇用であっても生き生きと働ける労働環境を求めて裁判で闘ってきたが、最高の結果が出てほっとしている」と喜びました。

そのうえでくぬぎさんは、「非正規の社員が非常に多い日本郵便について出された今回の判決が、ほかの非正規雇用の現場にも影響を与えるものであってほしい」と時折声を詰まらせながら話しました。

また、水口洋介弁護士は、「複数の手当や休暇の格差について、最高裁が違法と判断したことは、非正規労働者の格差の是正に向けて一歩前進したもので評価できる。日本郵便は判決を受け止め、待遇の制度を直ちに改正し、裁判を起こしていない契約社員も含めて手当を支給してほしい」と話していました。

※くぬぎは、木へんに解

日本郵便「必要な制度改正に適切に取り組む」

日本郵便は、「問題の重要性に鑑み、判決を受けて速やかに労使交渉を進め、必要な制度改正について適切に取り組んでいきたい」というコメントを出しました。

専門家「企業は判決参考に 検証必要」

東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授は、非正規労働者と正規との格差をめぐって、13日と15日に最高裁が出した5件の判決について、「おとといの判決ではボーナスや退職金は影響が大きいこともあって注目されていたが、企業側の経営判断が重視される結果となり、一方、きょうの判決ではそれぞれの手当などの趣旨が重視された。最高裁はいずれも個別のケースに対する判断として5件の判決を積み重ねた。企業などではこれらの判決を参考にしながらボーナスや退職金も含めて待遇の在り方を検証する必要がある」と話しています。

加藤官房長官「厚生労働省で判決内容を精査」

加藤官房長官は、午後の記者会見で、「民と民の間の訴訟であり、内容についてコメントするのは控えたい。厚生労働省で判決内容を精査すると承知している。政府としては、引き続き、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、いわゆる同一労働同一賃金の実現に向けた取り組みをしっかりと進めていきたい」と述べました。

郵便局員格差訴訟 争点となった手当と休暇

日本郵便で働く契約社員と正社員の手当の格差をめぐって、15日、最高裁で判決が言い渡された3件の裁判では、さまざまな種類の手当や休暇の格差が不合理といえるかどうか、争われていました。

東京訴訟

東京や千葉の郵便局で働く契約社員3人が訴えた裁判では、2審の東京高等裁判所が平成30年、
▼年末年始の勤務手当、
▼住宅手当、
▼病気休暇、
▼お盆と年末年始の休暇について、
正社員と契約社員との間に不合理な格差があると判断しました。

最高裁では双方の上告が受理され、住宅手当以外の手当や休暇について争われました。

大阪訴訟

大阪や兵庫の郵便局で働く契約社員8人が訴えた裁判では、2審の大阪高等裁判所が平成31年、
▼年末年始の勤務手当、
▼住宅手当、
▼祝日の賃金、
▼病気休暇、
▼お盆と年末年始の休暇について、
不合理な格差があると判断しました。

契約社員の勤務期間が長くなるほど、正社員との間に待遇の差をつける根拠が薄れるという考え方も示し、通算で5年を超えて勤務する契約社員については不合理な格差が認められるという判断を示しました。

最高裁では3人の契約社員と日本郵便の上告が受理され、
▼年末年始の勤務手当、
▼祝日の賃金、
▼お盆と年末年始の休暇に加えて、
2審では訴えが退けられた
▼扶養手当も争点に加えられました。

佐賀訴訟

佐賀県の郵便局の元契約社員が訴えた裁判では、2審の福岡高等裁判所がおととし、▼お盆と年末年始の休暇について不合理な格差があると判断されました。

最高裁では、日本郵便の上告が受理され、▼お盆と年末年始の休暇が争点となりました。

3件の裁判では、2審でそれぞれの手当や休暇の格差が不合理かどうか、判断が分かれていました。