日本学術会議 元会長「在り方議論されるのは大変奇異」

日本学術会議 元会長「在り方議論されるのは大変奇異」
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日本学術会議の元会長で東京大学の大西隆名誉教授がNHKのインタビューに応じ、自民党が「会議」の在り方を検討し直す議論を始めたことについて「今回の任命拒否と学術会議の在り方は別の問題であり、あたかも問題をすり替えるように組織の在り方が議論されるのは大変奇異だ」と述べました。
東京大学の大西隆名誉教授は平成29年までの6年間、日本学術会議の会長を務めました。

大西元会長は14日、NHKのインタビューに応じ、政府が学術会議が推薦した会員候補6人を任命しなかったことについて「会員は優れた研究または業績のある科学者の中から選ぶという選考基準が法律で明確に定められている。

学術会議が選んだ方々がなぜ適格性を満たしていないのかが問われるわけで、はっきり理由を言っていただかないと非常に大きな疑問が残る。

6人を任命拒否した責任が総理大臣にあることは間違いなく、なぜ任命しなかったのか国民に明らかにする必要がある」と述べました。

そのうえで自民党が「会議」の在り方を検討し直す議論を始めたことについて「それぞれの政党が学術会議の問題について考えるのは必要なことだが、いまは、現行の制度のもとでの任命拒否の理由がはっきりしないのが問題なのであって、学術会議の在り方は別の問題だ。この1週間ほどでにわかに行政改革論が出てきており、あたかも問題をすり替えるように組織の在り方が議論されるのは大変奇異だ」と述べました。

また日本学術会議の在り方については自身が会長を務めていた平成27年に内閣府の有識者会議による報告書がまとめられていることを挙げ「独立した国の機関という現在の設置形態がいちばんよいという有識者会議の結論が出ており、われわれはそれを尊重している。今後、会議の在り方を議論するのであれば、過去の経緯を十分に踏まえて将来のあるべき姿を検討してもらいたい」と述べました。

そして大西元会長は「科学アカデミーは国の発展の基礎になるものであり、政治家の皆さんは本質論に立ち返ってもう一度考えてほしい。学術会議に対する攻撃的な観点だけで科学アカデミーを考えると大きな国の方向の誤りにつながるおそれがある」と述べました。

学術会議の在り方 過去にも議論

日本学術会議の在り方は過去にも議論されています。

平成9年、省庁再編の議論を行った行政改革会議では一部から廃止論が出て、平成13年から内閣府の総合科学技術会議で学術会議の在り方が検討されました。

総合科学技術会議が、平成15年2月にまとめた報告書には「運営体制などの改革を早急に行うことにより、ふかん的な観点に立ち、科学の進展や社会的要請に対応して、柔軟かつ機動的に活動しうる体制に変革しなければならない」としたうえで、「設置形態については、欧米主要国のアカデミーの在り方は理想的方向と考えられ、今後10年以内に改革の進捗状況を評価し、より適切な設置形態の在り方を検討していく」と記されています。

これを受けて日本学術会議法が改正され、平成17年10月に現在の会員の選出方法や70歳定年制が導入されました。

この改革の評価について、10年後の平成27年に内閣府の有識者会議が報告書をまとめ、「迅速な助言・提言活動を行う仕組みを整備し、活用してきている」と評価しています。

そして組織の形態については「国の機関でありつつ、法律上独立性が担保されており、かつ、政府に対して勧告を行う権限を有している現在の制度は、日本学術会議に期待される機能に照らしてふさわしいものであり、これを変える積極的な理由は見いだしにくい」と結論づけています。