エルニーニョ現象って?

エルニーニョ現象って?
「きょうは寒いな」とか「雨が降りだしたな」とか、私たちは毎日、天気の細かな変化を感じながら暮らしていますよね。今回は、もう少し長期的な気象現象についての入試問題です。

問題に挑戦!

問題
(1)ペルー沖の海面付近の水温が1年程度、異常に高くなる現象をなんと言いますか。
(洗足学園中学校 2020年)
正解は「エルニーニョ現象」です。

南米の沖では、クリスマスの頃、海面付近の水温が高くなることが、よく起きています。これが現地で、スペイン語で、キリストにちなんで「神の子、エルニーニョ」と呼ばれているのが、名前の由来です。

問題は続きます。
問題
(2)この現象によって日本では平年と比べてどのような傾向がありますか。もっとも適当なものを次より1つ選び、記号で答えなさい。

ア. 夏も冬も気温が低い。
イ. 夏は気温が低く、冬は気温が高い。
ウ. 夏は気温が高く、冬は気温が低い。
エ. 夏も冬も気温が高い。
(洗足学園中学校 2020年)
ちょっと難しいですね。
正解はイ、「夏は気温が低く、冬は気温が高い」です。

エルニーニョ現象が起きると、なぜ冷夏・暖冬となるのでしょうか。

エルニーニョ現象のメカニズム

教えてくださったのは、気象庁気候情報課の中三川浩さんです。エルニーニョ現象のメカニズムから確認しましょう。
中三川さん
「普通の状態のときは、貿易風と言われる東風、これが、赤道の上を大体いつも吹いている形になります」
ポイントは、太平洋の赤道付近。そこを南側から断面で見た図です。
まず、平常のとき。
東から西に吹く風によって、海面近くの暖かい海水が西側に流されて集まります。
そしてこちらが、エルニーニョ現象が起きているときです。
東風が、何らかの理由で弱まることで、暖かい海水が吹き寄せられなくなります。西側では暖かい水が集まらず、海面水温は平常より下がります。
この状態を空から見ると、こうなります。
太平洋の西側の赤道付近では、海面水温が下がるため、積乱雲ができにくくなります。この、積乱雲ができにくくなることが、周辺の空気の流れに影響を及ぼすんです。
例えば、夏。
天気予報でよく耳にする「太平洋高気圧」。これが平常のときは、日本を覆うほど北に張り出していますが…
エルニーニョ現象で積乱雲ができにくくなっていると、この張り出しが、弱まります。つまり、日本は太平洋高気圧に覆われにくくなるので、暑くならないんです。
中三川さん
「高気圧のいちばん強い位置がずれる、と考えてもらえればいいと思います。太平洋高気圧があまり強まらず、冷夏傾向になりやすい、というメカニズムになります」
そして、冬。
積乱雲ができにくくなっていると、上空で南北に蛇行しながら吹く、偏西風の流れも変わります。
蛇行の幅が大きくなり、日本付近では、より北を通ることになります。これによって、シベリアからの寒気が日本の北の上空に流れ込みにくくなるため、暖冬となるのです。
ほかにもいろいろな要素が影響して、エルニーニョ現象が発生したときは、日本では冷夏・暖冬になりやすくなります。

変化を捉える「海洋観測」

ところで、エルニーニョ現象が起きたかどうか、どうやって判断していると思いますか。
ざっくりとした言い方ですが、南米沖の赤道付近の水温が、平常より0.5度以上高い状態が6か月以上続いた場合。これが、エルニーニョ現象とされています。
たった0.5度で気象に影響が出るって、意外じゃありませんか?

気象庁海洋気象課の奈良税さんです。
奈良さん
「わずかな差であっても、われわれの気象とか気候とか、日々の生活に影響が出てきます」
海水温のわずかな変化をとらえるのは、「アルゴフロート」という観測機器。自動で浮き沈みしながらいろいろな深さの温度や水圧などを測って、データを送ります。
国際プロジェクトで、現在、世界中の海で、3900台余りが稼働しています。
奈良さん
「海洋の変動というのは、長期で緩慢ではありますが、大きな変動を起こしながら、われわれに大きな影響を与えています。かなり先の子どもたちの世代の時にどうなるか、ということは、やはり海洋の中のことを知らないと、正しく対応できなくなります。長期のスパンで考えて、必要な観測であると考えています」
地球環境を考えるには、海水を広く深く観測することが欠かせないということですね。

「逆の傾向」がラニーニャ現象

ここまで、エルニーニョ現象について見てきましたが、気象庁は、その逆、つまり冬の気温が低くなる傾向がある「ラニーニャ現象」が発生しているとみられる、と発表しています(2020年10月現在)。
今回伺った気象庁の中三川さんは、この冬については「地球温暖化などによって、ことしは大気の温度が高く、ラニーニャ現象の気温への影響は限定的になるのではないか。ただ、気温に影響を及ぼす要素はほかにもあるので、大雪や低温に十分に備えてほしい」と話しています。
2017年にラニーニャ現象が発生した時の冬は、各地で大雪に見舞われました。油断せずに、気象情報をしっかり確認しましょう。
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