新たな感染者「4連休後に増加の地域も」新型コロナ専門家会合

新たな感染者「4連休後に増加の地域も」新型コロナ専門家会合
新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれ、現在の感染状況について「先月の4連休後に新たな感染者の数が増加している地域がある」と評価しました。全国的な感染拡大につながる兆候を早期に見つけて、対応することが必要だとしています。
会合では、専門家が現在の感染状況について分析を行いました。

それによりますと、多くの人が観光などで移動した4連休のあと、先月末ごろからは北海道や埼玉県、千葉県、沖縄県など、新たな感染者の数の増加がみられる地域があり、社会活動が活性化する中で、会食や職場での感染が起きているとみられると評価しています。

また、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」は、全国では、流行が拡大に向かうとされる「1」をやや上回って「1.1」程度となっており、特に、北海道や関東圏では注意が必要だとしています。

専門家会合は、世界で新規感染者の数が1週間で200万人を超えるなど感染拡大が続く中で、外国との往来が再開しつつあるため、検疫での適切な対応が必要なほか、地方都市の歓楽街や共同生活の場でもクラスターが発生するなど、これまでと異なる場が感染拡大のきっかけになる可能性もあるとして、早期に対応する体制を整備することが求められるとしています。

脇田隆字座長は「全国的な感染拡大につながるような兆候を早期に見つけ、対応する必要がある」と話しています。

レストランや喫茶店などの感染事例を分析

13日開かれた厚生労働省に助言する専門家の会合では、国立感染症研究所のチームが、飲み会の席ではなく、レストランや喫茶店など「一般的な会食」で起きた過去の感染事例について、分析結果を報告しました。

このうち飲食店で客や店員が感染した事例では、感染者と同じカウンターに近い距離で座っていた客のほか、客の配膳を担当した店員が感染しましたが、カウンター越しに2メートル近く離れて調理を行っていた店員は感染していませんでした。

また、感染した母親が子ども2人とおいっ子とつれて飲食店で食事をした事例では、テーブルの向かいに座っていたおいっ子が感染しました。

このとき、母親は自分のスプーンを使っておいっ子におかずを食べさせていたということで、スプーンの共用により感染した可能性があるということです。

逆に感染が広がらなかった事例もありました。

高齢者施設の食堂で、感染していた人と同じテーブルにつきましたが、真向かいには座らず、斜め向かいに座って1メートル80センチほど離れて食事をとっていたところ感染は広がっていませんでした。

斜め向かいに座ったことで感染を防いだ可能性が考えられるということです。

国立感染症研究所は、こうした事例の分析から、会食での感染を防ぐための対策として、手を洗うことや従業員の健康管理などの一般的な対策に加えて、利用客に対し、同じグループでも身体的距離をできるだけ確保することや、料理の注文や食後の会話など食事をするとき以外の時間にはマスクを着用すること、はしやスプーンを共有しないことなどを提言しました。