婚姻届・離婚届の押印廃止を検討 法相

婚姻届・離婚届の押印廃止を検討 法相
k10012655521_202010091952_202010091958.mp4
菅内閣が行政手続きでの押印廃止の取り組みを進める中、上川法務大臣は、婚姻届や離婚届の押印について、廃止する方向で検討していることを明らかにしました。
婚姻届や離婚届について、昭和22年に施行された現在の戸籍法では、「署名し印をおさなければならない」と定め、夫と妻に加え、証人2人の署名と押印がそれぞれ必要となっています。

法務省によりますと、このうち押印についてははんこを使用することとされ、大正時代の法律にも「署名となつ印をすべき」と記載されているということです。

こうした婚姻届や離婚届の押印について、上川法務大臣は、閣議のあとの記者会見で、「押印などの見直しに向けた取り組みを強力に推進する政府方針に沿って見直しを進めている」と述べ、廃止する方向で検討していることを明らかにしました。

そのうえで上川大臣は、「国民の皆様への利便性向上や効率性アップのため、しっかりと検討を進め、政府一丸となって取り組んでいきたい」と述べました。

法務省では、婚姻届や離婚届を含む合わせて35件の行政手続きについて、押印を廃止する方向で検討を進めていて、年内をめどに必要な政令や省令を改正したうえで、法改正が必要な手続きについては、その方針を示すことにしています。

一方、法務省によりますと、婚姻届や離婚届の届け出のオンライン化については、市区町村長の判断で行うことができますが、押印に代わる電子証明書の手続きが必要となることなどから、これまでに導入している自治体はないということです。

街の反応 賛否や意見もさまざま

上川法務大臣が婚姻届や離婚届の押印について、廃止する方向で検討していることを明らかにしたことを受けて、さまざまな声が聞かれました。

20代の女性は「はんこレスの時代なので、はんこを省略して楽な人はいると思いますが、自分が結婚する時は押したいです。押したことで結婚したという実感が持てると思います」と話していました。

30代の男性は「婚姻届ははんこが最後の砦のようなイメージがあるので、大切に思っている人はいると思います。婚姻届よりも仕事関係のものが無くなってほしいです」と話していました。

50代の女性は「婚姻届は自筆で書くので押印までしなくてもいいと思います。はんこの管理が大変なので省略化されることに賛成です」と話していました。

15年前に結婚したという60代の男性は「自分がはんこを押した時は結婚する実感が持てましたが、もし必要なくなるのであれば、省略されて簡単になるからいいと思います」と話していました。

20代の男性は「婚姻届だけではなく、ほかの手続きでも手間が省けるので、はんこを省略化するべきだと思います」と話していました。

SNS上でも書き込み

また、SNS上でもさまざまな書き込みがみられました。

このうちツイッター上には、「結婚・離婚はあくまでも手続き。だから簡易的で良いんです」とか、「顔を合わせられない状況での離婚とかがあるから、僕は賛成かな」などと好意的な声がありました。

一方で、17年前に婚姻届を出したという人は「2人で名前を書いて印鑑押して、証人さんにも記入してもらって、2人でドキドキしながら市役所で提出したな~懐かしいイイ思い出。個人的には廃止してほしくないかな」とつづっていました。

また、「まだ確定じゃないけど、そこじゃなくね?って思う。そもそもお役所内部であふれている承認印(偉い人スタンプラリー)とか、無駄な押印を減らすのが目的だったのでは」といった声もありました。

「はんこの里」から懸念の声

代表的なはんこの産地として知られる山梨県市川三郷町では、押印の廃止やデジタル化の検討の動きが進んでいることについて懸念する声が出ています。

江戸時代に特産の水晶を使ったはんこ作りが始まった山梨県市川三郷町の六郷地区は、国内有数の「はんこの里」として知られ、町内にはおよそ40の事業者がいます。

9日、上川法務大臣が婚姻届や離婚届の押印について廃止する方向で検討していることを明らかにするなど、押印の廃止やデジタル化の検討の動きが進んでいることについて、地元の職人たちは強い懸念を示しています。

六郷印章業連合組合の小林成仁組合長は「行政上の手続きで押印が廃止されるのは国などの判断なので反対しても致し方ない。ただ、私たちは職人で一生懸命勉強していいはんこを彫ろうと何十年もやってきている。それを邪魔者扱いされたり否定されたりするような風潮を感じるので、本当に悔しいし残念だ。職人が一本一本手で彫ったはんこは全く同じものはできないので、唯一無二ということで高い安全性を持っていると思う。デジタル化が進んでも共存していければと思う」と話しています。