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レムデシビル “患者の回復期間を短縮” 臨床試験の最終報告

アメリカ国立衛生研究所などの研究グループは、抗ウイルス薬レムデシビルの国際的な臨床試験の最終報告を公表し、新型コロナウイルスの患者の回復にかかる期間を短縮し、重症化を防ぐ効果が期待できるという見解を示しました。
アメリカのNIH=国立衛生研究所などの研究グループは8日、抗ウイルス薬レムデシビルの国際的な臨床試験の最終報告を医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で公表しました。

それによりますと、試験はアメリカ、日本を含む10か国で新型コロナウイルスに感染して入院した成人およそ1000人を対象に実施され、レムデシビルを最大で10日間、投与したグループと投与しなかったグループで経過を比較しました。

その結果、投与したグループでは患者が一定程度回復するまでにかかる期間の中央値が10日間と、投与しなかったグループの15日間に比べて短く、投与開始から15日目の回復の度合いもより良好だったということです。

このため研究グループでは、新型コロナウイルスの患者の回復にかかる期間を短縮し、重症化を防ぐ効果を期待できるという見解を示しています。

レムデシビルは日本ではことし5月に特例で承認されていますが、アメリカでは緊急の使用許可にとどまり正式には承認されていません。

ただ最近は新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領に投与されたことでも知られていて、今回の結果を受けてアメリカでも承認に向けた動きが加速するとみられます。

EU 最大50万人分の購入契約

抗ウイルス薬レムデシビルについて、EU=ヨーロッパ連合は8日、最大50万人分を購入する契約を薬を開発するアメリカの製薬会社と結んだと発表しました。

それによりますと、購入額は7000万ユーロ、日本円で87億円余りとなり、EU加盟国にイギリスやノルウェーなど医療物資を共同調達する協定を結ぶ国を加えた36か国が提供を受けられるということです。

EUは現時点ですでにおよそ3万人分のレムデシビルを購入していますが、多くの国で感染が再び拡大傾向にあることから、大幅に買い増すことを検討していました。

EUで保健政策を担当するキリアキデス委員は「新型コロナウイルスに対するヨーロッパの結束を示すものだ」としています。

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