新型コロナ 入国制限緩和 韓国とビジネスなどでの往来再開

新型コロナ 入国制限緩和 韓国とビジネスなどでの往来再開
新型コロナウイルス対策の入国制限措置をめぐり、8日から新たに韓国との間で、ビジネス関係者などの往来が再開しました。成田空港から韓国に向かう便の利用者からは、関係が冷え込んでいる両国の関係改善を期待する声が聞かれました。
政府は入国制限措置の緩和の一環として8日から新たに韓国との間で、出張をはじめとする短期滞在者と駐在員など長期滞在者の双方のビジネス関係者に加え、教育関係者や留学生などを対象に往来を再開させました。
8日、成田空港から韓国のインチョン(仁川)に向かう便を利用した、日本に住む20代の韓国の女性は「互いに近くて結び付きの強い国どうしなので、往来の再開が両国の関係にいい影響を与えればいいと思います」と話していました。

食品輸入の会社も期待

韓国から食品を輸入している千葉県浦安市の会社では、入国制限措置が緩和され円滑な取り引きにつながると期待しています。

この会社では、韓国からインスタントめんやとうもろこしのお茶を中心に加工食品の輸入を行っていますが、感染拡大による入国制限措置で、韓国への出張が半年以上できず、新しい商品の輸入を見合わせていました。

韓国との往来再開で、出張などの短期滞在者は帰国時に自宅やホテルなどでの14日間の待機が免除されたことから、円滑な取り引きにつながると期待しています。

食品輸入会社「シャイン・オリエンタル・トレーディング」の郭順児社長は「これまでは帰国時に待機が求められ、時間のロスになっていましたが、今後は仕事がスムーズになるのでうれしいです。日韓の経済的な交流が活発になると思います」と話していました。

日銀福岡支店長「観光客の往来再開につながること期待」

韓国との間で8日からビジネス関係者の往来が再開されたことについて、日銀福岡支店の冨田淳支店長は「九州・沖縄地域は韓国との往来が多く、大きな経済効果があった。今回はビジネス関連だけだが、観光客の往来再開につながることを期待したい」と述べました。

日銀大阪支店の山田泰弘支店長は「韓国と大阪の関係はさまざまな面で強いので、これが再開されたということについては明るいニュースだと思っている。ただ、再開したばかりなので、どういう成果が出るのかについては今後、関係者の間で努力されていくのだと認識している」と述べました。

日銀名古屋支店長の加藤毅支店長は「名古屋はビジネスの往来が多いので経済正常化の一歩になる。地域経済への影響をしっかりみていきたい」と述べました。

ローソン社長「今後のビジネスの活性化に期待」

ローソンの竹増貞信社長は「両国で2週間ずつ足止めされる中での移動は支障が大きく、感染が落ち着いてきた国どうしが一定の条件を設けたうえで往来を再開するのは前向きな動きだ。中国やタイなどで事業を展開していて、今後のビジネスの活性化に期待したい」と述べました。

ミニストップ社長「制限緩和に期待」

韓国におよそ2600の店舗があるコンビニチェーン、「ミニストップ」の藤本明裕社長は、記者会見で「リモートでしか分からなかった現地の状況が把握しやすくなる」と述べました。

海外に出張した日本人などが日本に入国する際、一定の条件のもとで14日間の待機を免除する方向で検討に入ったことについては、「中国など海外で製造し、来年以降、日本で販売する商品は、開発に少し遅れが出ていた。来期への準備に向けて期待したい」と述べ、制限の緩和への期待感を示しました。

期待の声 韓国でも

インチョン空港で話を聞いた会社員の男性は「これまで両国の往来ができず大変だったが、こうした仕組みができたので、多くの人が自由に行ったり来たりして本来の生活を取り戻せることを期待している」と話していました。

また、別の男性は「新型コロナウイルスが再び広がることへの不安はある。旅行者などが行き来できるようになる時期がさらに遅れることもありうる」と話していました。

一方、ソウルにある日本大使館に手続きを問い合わせるために来たという男性は「なかなか電話がつながらないので直接来た。これをきっかけにさらに制限の緩和が進めばいい」と話していました。

韓国貿易協会アジア中東室のキム・ナムギュ(金男奎)室長は、「経済人の交流が本格的に再開することになり非常にうれしい。ウイルスで困難に直面している経済状況を克服するため、両国の経済人が重要な役割を果たせると思う」と述べ、期待感を示しました。