池袋事故初公判 被告が無罪主張 遺族「命と向き合っていない」

池袋事故初公判 被告が無罪主張 遺族「命と向き合っていない」
k10012653531_202010081706_202010081707.mp4
去年、東京 池袋で車を暴走させ、母親と子どもを死亡させたほか9人に重軽傷を負わせた罪に問われている、旧通産省の幹部だった89歳の被告の初公判が開かれ、被告は遺族に謝罪した一方、「車に何らかの異常があって暴走した」と述べ、無罪を主張しました。遺族は、初公判後の会見で「2人の命と遺族の無念と向き合っているとは思えませんでした」と話しました。
旧通産省の幹部だった飯塚幸三被告(89)は去年4月、東京 池袋でブレーキとアクセルを踏み間違えて乗用車を暴走させて、歩行者を次々とはね、松永真菜さん(31)と長女の莉子ちゃん(3)を死亡させたほか、9人に重軽傷を負わせたとして、過失運転致死傷の罪に問われています。
東京地方裁判所で開かれた初公判で、被告は弁護士に支えられて車いすから立ち上がり、「事故により妻と娘を亡くされたご遺族に心からおわび申し上げます。最愛の2人を亡くされ、その悲しみとご心痛を思うとことばがありません。また、けがをされ苦しまれた皆様に深くおわびします」と謝罪し、被害者として裁判に参加した遺族に対し、深く頭を下げました。
一方で、起訴された内容については「アクセルを踏み続けたことはないと記憶しています。車に何らかの異常があって暴走し、それを止められなかったことは申し訳なく思います」と述べ、無罪を主張しました。
これに対し検察は冒頭陳述で「車は定期点検やサービス点検で異常が見つかったことはなく、車を調べても異常を示していない。また、車の装置にはアクセルを踏み込んだデータとブレーキを踏んでいないデータが記録されていた」と述べました。
妻と娘を亡くした松永拓也さんら遺族が被害者参加制度を利用して審理に参加し、松永さんは検察官と並んで座り、被告をじっと見つめて話を聞いていました。

遺族会見「2人の命と向き合っているとは思えず」

松永さんら遺族は、初公判が終わったあと、記者会見を開きました。

松永さんは「被告の主張は調書などを見て予想していたが、残念でなりません。本当に妻と娘の命と向き合っているのか。私たち遺族に心の底から向き合っているのか。私の受けた印象では、2人の命と遺族の無念と向き合っているとは思えませんでした」と話しました。

また、被告の謝罪については「車の不具合を主張するのであれば、私は別に謝ってほしくはない。謝るならばしっかりと罪を認めて、判決が出たあとでいい。真実をしっかりと述べてもらうことで、この先事故が起こらないためにはどうしたらいいのかという議論につながると思う」と話しました。

この事故は、高齢ドライバーの問題が改めて注目されるきっかけとなりました。去年は運転免許を自主的に返納した人が全国で60万人と過去最多を更新するなど、社会に大きな影響を与えました。