新型コロナで延期や中止になった公演のチラシなどネットで公開

新型コロナで延期や中止になった公演のチラシなどネットで公開
新型コロナウイルスの影響で、延期や中止になった公演のチラシなどを紹介する企画展が、インターネット上の特設サイトで7日から始まりました。
このオンライン展示「失われた公演」は、早稲田大学演劇博物館が企画したもので、博物館が集めたおよそ60点のチラシが7日から特設サイトで公開されています。

演劇博物館は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で公演が相次いで延期や中止になった事態を、資料を集めて後世に伝えようと、チラシやポスター、台本などの収集を6月から本格的に進め、これまでにおよそ450点が集まったということです。

このうち、7月に上演される予定だった「花組芝居」の「地獄變」は、チラシとともに、劇団の主宰者の「印刷した本チラシは、軒並み劇場が店仕舞いした為、配り先を失い、ほとんど陽の目を見なかった」という心境が載せられています。

早稲田大学演劇博物館の後藤隆基助教は「資料があることによって、こういう公演が存在するはずだったという証しとして、より強い意味を持つ。資料や関係者のコメントを通して、その舞台に思いをはせていただけたらと思っています」と話していました。

演劇博物館は、今後資料を追加しながらオンライン展示を続け、来年の春には館内で実際に展示・公開したいとしています。

シライケイタさん「演劇界は人材流出が深刻」

演出家・劇作家で俳優のシライケイタさんは、ことし4月に上演予定だった、みずからが代表を務める劇団の10周年公演が新型コロナウイルスの影響で中止になり、今回、チラシや台本などを演劇博物館に寄贈しました。

シライさんは、演劇界が置かれた状況について「演劇界から去る決断をして別の業界にいってる人もいるし人材の流出は深刻だ。コロナが落ち着いて演劇が復活しても、人がいない状況になりかねない」と指摘しています。

そのうえで、今回のオンライン展示の取り組みについて、シライさんは「お客さんの前でやれなかったというのは、なんだかすごく消化不良を起こした。やっぱり、ちょっと悔しかった。だから、演劇博物館が、それをすくい上げてくれたという思いが強く、すごくうれしかった」と話しています。