トランプ大統領 体調安定も政権内で感染相次ぎ 対策への批判も

トランプ大統領 体調安定も政権内で感染相次ぎ 対策への批判も
新型コロナウイルスに感染して入院していた、アメリカのトランプ大統領は、ホワイトハウスに戻り、主治医によりますと体調は安定しているということです。しかし、政権内では感染の確認が相次いでいて、政権の感染対策への批判が強まっています。
新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領は5日、退院してホワイトハウスに戻っていて、一夜明けた6日、診察した主治医によりますと症状はなく、体調は安定しているということです。

トランプ大統領はツイッターに「今月15日のテレビ討論会を楽しみにしている」と投稿して大統領選挙の投票まで1か月を切る中、選挙戦への復帰に意欲を示しました。

また、野党・民主党への批判を繰り返し新型コロナウイルスを受けた追加の経済対策をめぐっても民主党の要求額が大きすぎるなどと主張して与野党の協議をやめるよう指示したと明らかにするなど、対決姿勢を改めて強調しました。

しかし、政権内では、感染の確認が相次いでいて、アメリカメディアは6日、トランプ大統領の側近のミラー大統領補佐官の陽性が新たに確認されたと報じました。

さらに、沿岸警備隊の副司令官に陽性の反応が出たため、軍の制服組のトップにあたる統合参謀本部議長や各軍の幹部が自主隔離に入ったことが明らかになりました。

ホワイトハウスは職員の健康を守るため、専門の相談員を置くなど、感染防止対策を強化したとしていますが、政権の中枢で感染のさらなる拡大が強く懸念されています。

一方民主党のバイデン候補は6日、記者団に対して「トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染しているなら討論会をすべきではない」と述べるなど、トランプ政権の感染対策への批判を強めています。

野党民主党議員 トランプ政権の感染対策を批判

ホワイトハウス内で関係者の感染が広がる中、野党・民主党の下院議員団が声明を発表し、トランプ政権の感染対策を批判し、情報の公開を求めました。

声明を発表したのは、首都ワシントンと近郊の州から選出されている野党・民主党の9人の下院議員です。

声明では、「ホワイトハウスの職員や、シークレットサービスなどの健康を無視する態度に幻滅させられている」とトランプ政権の感染対策を批判したうえで、「ホワイトハウス内の感染が制御不能に陥っている」と強い懸念を示しています。

そのうえで、情報が限られているとして検査で陽性だったホワイトハウス関係者の人数などを公表するよう求めているほか、ホワイトハウス内でのマスク着用を義務づけるよう訴えています。

退院後 ホワイトハウス前は閑散

トランプ大統領が退院してから一夜明けた6日、ホワイトハウスの前は多くの支持者が集まっていた5日とは打ってかわって閑散としていました。

南部フロリダ州からおよそ14時間かけて運転してきたというトランプ大統領を支持する70歳の女性は「神が守ってくれると信じていました。退院が早すぎると批判する人もいるようですが、何でもいいから批判したいと思っているだけです」と話していました。

別の男性は、「トランプ大統領は、国民に健康だと印象づけるために体調がいいと言っているだけのようにも見えますが政治的な思惑があるのでしょう」と話していました。