地球温暖化対策企業への「グリーン投資」拡大へ 国際会議

地球温暖化対策企業への「グリーン投資」拡大へ 国際会議
地球温暖化などの対策に力を入れる企業を投資先に選ぶ、「グリーン投資」の動きを広げようと、世界の経営者らが参加する国際会議が9日開かれ、企業の情報開示の在り方などを議論します。
去年に続いて2回目となる今回の国際会議は新型コロナウイルス対策としてオンラインで開催され、資生堂や三菱商事、JFEスチールなど、国内外の企業の幹部や経営者が参加します。

また、気候変動分野で国連の特使を務めるマーク・カーニー前イングランド銀行総裁も参加し、気候変動に関する情報開示を企業に促す枠組みについて議論が交わされます。

具体的には、洪水や干ばつによって工場が稼働できなくなるといったリスク面だけでなく、省エネの技術開発など、競争力を高めるための取り組みについても開示の在り方を議論します。

こうした情報開示の枠組みは、「TCFD」と呼ばれ、経済産業省によりますと、ことし9月時点で、世界で1442の企業や団体が対応していて、このうち日本は306と、最も多いということです。

対応する企業などが増えればグリーン投資の動きが一段と活発になることが期待されますが、企業にとって気候変動の中長期的な影響の分析は容易でなく、今回の会議では実務レベルでの事例や課題も話し合うことにしています。

飲料大手 気温上昇で財務的影響も

気候変動の事業への影響について積極的に開示を進めている企業の1つが飲料大手のキリンホールディングスです。

3年前、世界有数の紅茶の産地、スリランカで起きた洪水で紅茶の調達先の農園の一部で被害が出たほか、おととしの西日本豪雨では国内の物流網が一時止まるなど、世界的に相次ぐ災害の影響に危機感を強めています。

会社は、世界の平均気温が19世紀後半に比べて2度、あるいは4度上昇した場合の財務的な影響などを試算しました。その結果、気温が4度上昇した場合には、紅茶やワイン用のぶどう、ビールに使われる大麦やホップなどの収穫量が減少し、原材料の調達にかかるコストが30%ほど増加するおそれがあることが分かったということです。

キリンホールディングスの溝内良輔常務執行役員は、「豪雨や干ばつによって影響はさらに大きくなり得る。非常に重要な問題で、農園の災害対策などを進めている」と話しています。

一方、会社が持つ技術力がチャンスになる可能性もあるとみています。

グループの研究所では、植物の胚や芽を培養して数万倍から数十万倍に増殖させる技術を研究していて、暑さや乾燥に強い新しい品種の増産につながることに期待しています。

会社はこうしたリスクや強みの情報を広く開示していて、溝内常務執行役員は、「欧米の投資家からは気候変動対応について必ず説明を求められる流れになっている。情報開示を経営改革のよい機会と捉えて、企業だけでなく、社会全体がより健康になるようにしたい」と話していました。

機関投資家「日本企業は情報開示を」

多額の資金を運用する機関投資家の側も、気候変動に関する企業の情報開示に注目しています。

カナダの金融グループの資産運用会社、「マニュライフ・インベストメント・マネジメント」の日本の拠点では、気候変動への対応を重視した投資を行っています。

ただ、日本の企業が投資家と対話する際、情報開示が十分でないところもあり、企業への働きかけを強めています。

例えば電力会社に対しては、温室効果ガスの削減について業界全体だけでなく、個別の会社ごとに目標を立てるよう求めているということです。

資産運用会社の押田俊輔クレジット調査部長は「日本企業は優れた環境技術を持っていると見ているが、投資家にうまく伝えられていない。開示を充実させることでより資金を呼び込んで成長につなげられるし、投資家としてもそれを後押しできるような対話をしていきたい」と話しています。