社会

全日空 従業員の給与減額 冬の一時金支給しない方針

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で利用者が激減している航空大手の全日空は、従業員の給与を減額するとともに、給与とは別に支給される冬の一時金を支給しない方針を固めました。すでに行っている夏の一時金の減額も合わせると、年収で平均およそ3割の減額になる見込みです。
新型コロナウイルスの影響で、全日空はグループ全体で4月から6月の四半期で、旅客数が前年と比べて、国内線でマイナス88.2%、国際線ではマイナス96.3%などと激減し、従業員を一時的に休業させるなどの削減策を講じても、過去最大の1088億円の赤字となりました。

その後、国内線は利用者が徐々に増えていますが、国際線の需要の回復はすぐには見込めない状況が続いています。

このため全日空は新たな支出削減策として、およそ1万5000人の従業員の給与を減額するとともに、給与とは別に支給される冬の一時金を支給しない方針を固めました。

すでに行っている夏の一時金の減額も合わせると、年収で平均およそ3割の減額になる見込みで、7日、労働組合に伝えました。

これまで役員報酬と管理職の給与の減額を行っていましたが、一般職を含めて大規模に実施するのは20年ぶりです。

今後はグループの会社の従業員3万3000人に対しても、給与の減額などの対応を求めていくことにしています。

また、希望退職に応じる従業員の退職金をさらに割り増しするほか、キャリアアップの活動に使う最大2年の無給の休業制度を新たに設けるとしています。

全日空は、従業員の雇用を維持するための苦渋の決断だとしていて、事業構造の改善と合わせてコスト削減をさらに進めるとしています。

国際線旅客数は前年比1割以下 大きな負担に

新型コロナウイルスの影響で、航空各社の旅客数は激減しています。

全日空グループ全体の、前年同時期比の旅客数です。

国内線では、
▽2月 -4.6%
▽3月 -59%、
▽4月 -90%、
▽5月 -94%
▽6月 -80.2%
▽7月 -73.2%
▽8月 -75.3%
6月以降は徐々に増えていますが、低い水準で推移しています。

国際線はさらに厳しい状況です。
▽2月 -25.2%
▽3月 -72.1%
▽4月 -95.8%
▽5月 -97.1%
▽6月 -96.2%
▽7月 -96.3%
▽8月 -96%
4月以降、前年比10分の1以下の状態が続いています。

全日空では去年、世界最大級の旅客機エアバスA380型機をハワイ便に導入したほか、ここ10年ほど欧米やアジアなどに新規路線を開設するなど、国際線事業を急拡大してきました。

国際線の需要の回復がすぐには見込めない中で、大きな負担となっています。

採用中止 報酬減… 苦境さらに長期化か

航空業界は利用者が激減して経営が悪化し苦境に立たされています。

全日空はことし4月以降、グループ全体で、従業員の一時的な休業をおよそ9割以上を対象に行ったほか、役員報酬の減額、来年春の採用中止などで、コスト削減を進めています。

日本航空もグループ全体で採用を中止するなどしています。

世界の航空会社が加盟するIATA=国際航空運送協会によりますと、国際線の需要がコロナ前の水準にまで回復するのは4年後の2024年になるという見通しを示していて、航空会社を取り巻く厳しい環境は長期化するとみられています。

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