トランプ大統領 “5日にも退院の可能性”と医師団 懐疑論も

トランプ大統領 “5日にも退院の可能性”と医師団 懐疑論も
新型コロナウイルスに感染して入院しているアメリカのトランプ大統領について、医師団は現地時間の5日にも退院できる可能性があるという見方を示しました。一方で、専門家からは容体は依然として楽観できないという見方も出ていて、大統領選挙まで1か月を切る中、体調が本当に改善しているのかどうかが焦点となっています。
新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領は、2日から首都ワシントン近郊の軍の病院に入院していて、医師団が連日、記者会見を開き、病状について説明をしています。

現地時間の4日に行われた会見で医師団は、トランプ大統領は早ければ5日にも退院できる可能性があるという見方を示しましたが、症状や治療法をめぐり、重要な情報があとになって明らかにされることが多く、アメリカのメディアは発表の信頼性を疑問視しています。

また、有力紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、トランプ大統領が1日の時点で「陽性」だという簡易検査の結果を知っていながら、その後に行われたFOXテレビの電話インタビューで何も言及しなかったと伝えています。

大統領選挙まで1か月を切る中、トランプ大統領としては新型ウイルスからの回復を強調したい考えですが、専門家からはその容体は依然として楽観できないという見方も出ていて、大統領の体調が本当に改善しているのかどうかが焦点となっています。

“トランプ大統領は感染リスクを真剣に受け止めず”

アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスに感染したことについて、ABCニュースなどが世論調査を行ったところ、「感染するリスクを真剣に受け止めていなかった」と答えた人が7割を超えました。

調査はアメリカのABCニュースと調査会社イプソスが今月2日から3日にかけて全米の506人を対象に行いました。

これによりますと、新型ウイルスに感染したトランプ大統領について、「感染のリスクを真剣に受け止めていなかった」と答えた人は72%で、「真剣に受け止めていた」と答えた人の27%を大きく上回りました。

一方で、トランプ大統領の新型ウイルスへの対応を評価するかどうかをたずねたところ、「評価する」と答えた人は35%で、「評価しない」と答えた人は64%と、先月の調査とほぼ同じ結果になりました。

また、同じ時期にロイター通信とイプソスが全米の1005人を対象に行った世論調査では65%の人が「トランプ大統領が新型ウイルスについてもっと真剣に受け止めていれば感染しなかっただろう」と答えています。

ホワイトハウス式典で感染拡大か

トランプ大統領の新型コロナウイルスへの感染を巡り、アメリカのメディアはトランプ大統領が先月、連邦最高裁判所の新たな判事を指名した際の行事の参加者で陽性の確認が相次いでいるとして、この行事で感染が拡大した可能性もあるという見方を伝えています。

トランプ大統領は先月26日、連邦最高裁判所の新たな判事を指名する際、ホワイトハウスで式典を行い、150人以上が参加しました。

アメリカの複数のメディアによりますとその後、この場にいたトランプ大統領とメラニア夫人のほか、少なくとも5人が新型ウイルスの検査で陽性と確認されたということです。
その際に撮影された写真では、壇上に立つトランプ大統領に向かって、真正面の最前列にメラニア夫人が座っています。

この2人に加えて陽性と確認されたのは、
▽メラニア夫人の真後ろの席に座っていたコンウェイ元大統領顧問、
▽その斜め後ろにいたノートルダム大学のジョン・ジェンキンス学長、
▽コンウェイ氏から通路をはさんだ席に座るユタ州選出の上院議員のマイク・リー氏、
▽そこから3席挟んだ席に座っていたノースカロライナ州選出のトム・ティリス上院議員、
▽そして4列目にいたクリス・クリスティー前ニュージャージー州知事です。

“ほとんどの出席者がマスクを着用せず”

この日の様子について、有力紙ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアは、ほとんどの出席者がマスクを着用しておらず、近距離で会話していたとして感染対策の不備を指摘し、この行事で感染が拡大した可能性もあるという見方を伝えています。

専門家「必要のないドライブ 常軌を逸している」

トランプ大統領が専用車を使って支持者の前に姿を見せたことについて、専門家は密閉された専用車で同乗した2人のシークレットサービスを感染のリスクにさらしたとして「常軌を逸している」などと批判しています。

ペンシルベニア大学の医療倫理・保健政策学部のゼイク・エマニュエル学部長は自身のツイッターに「トランプ氏の無責任な行動は終わりがないようだ。新型コロナ感染者が同乗する車を窓を閉めきった状態でシークレットサービスに運転させることは、彼らを不必要な感染リスクにさらすことになる」と批判しました。

また、ジョージ・ワシントン大学で災害医療が専門のジェームズ・フィリップス医師は自身のツイッターに「全く必要のない大統領とのドライブで、車中にいるすべての人は14日間隔離されなければならない」として、同乗したシークレットサービスは濃厚接触者として隔離される必要があると指摘しました。

さらに「彼らは政治的なパフォーマンスのために病気になるかもしれないし死ぬかもしれない。常軌を逸している」と非難しました。