東京大 新総長選考めぐる会議の音声データを事務局が消去

東京大 新総長選考めぐる会議の音声データを事務局が消去
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東京大学の総長選考をめぐって過程に不透明な点があるなどの指摘が相次いだことについて、大学は、選考過程に問題が無かったか検証する方針を示していますが、候補者を絞り込んだ際の会議を記録した音声データを大学の事務局が消去していたことがわかりました。専門家からは「後から検証をする際に必要な根拠が無くなってしまう」などと指摘する声も出ています。
東京大学では来年3月の総長の任期満了に伴い、今月2日、次期総長が選ばれましたが、候補者を決める過程で不透明な点があるなどとして、学内から要望書や質問状が相次ぐ異例の事態となっていました。

大学では選考過程に問題が無かったか検証する方針ですが、大学側の事務局が、候補者の絞り込みが行われた先月7日の会合を記録した音声データを消去していたことがNHKの取材で分かりました。

この日の会合では、候補者の選考方法を巡って数時間にわたる議論が行われていましたが、大学では審議の記録は残していないということです。

大学の「文書管理規則」では、総長選考に関わる電子データを含む文書は1年から30年間にわたって保管するとされています。

NHKの取材に対し、大学は「きたんのない意見を求めるため審議の記録は残していない。直前の議論を確認するために録音を行ったが、会議が終了したため、事務局の判断で消去した。この件を含め、多方面から指摘されていることについては今後検証していく」としています。

候補者絞り込みで疑義

東京大学では現在の総長が来年3月に任期が満了となるため、およそ半年間かけて次の総長の選考が進められ、今月2日に次の総長が決まりました。

選考は、学内の教授や学外の有識者などで作る総長選考会議が行うことになっていて、先月7日に開かれた選考会議の会合では、教職員による意向投票に進む候補者3人が選ばれました。

問題となったのは3人の候補者が選ばれた過程でした。

候補者を絞り込む会合で、議長の強い誘導によって会議内での投票が繰り返されたといった指摘や、特定の候補者について匿名の文書の存在が示唆され、議論に影響を与えたのではないかなどの指摘が出ていて、学内の学部長や研究所長ら15人が説明を求める要望書を提出したほか、教授の有志や元理事の有志がそれぞれ質問状などを提出する異例の事態となっていました。

専門家「社会的に信頼されるレベルに達していない」

行政文書の管理に詳しいNPO法人、情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「国立大学が作る文書は公文書管理法では法人文書にあたり、行政文書の規定に準じることが求められている。意思決定の過程などに関することについてはあとから検証できる文書を作る必要があるはずだ。意思決定に至る過程を残しておらず、その結果、疑義が出ている案件を説明する根拠が失われてしまったとすれば、大変残念だが、大学の対応は社会的に信頼されるレベルに達していない思う」と指摘しています。

そのうえで「記録がないことで不透明さが残ってしまうと公権力の介入を招きやすくなってしまう。大学の自治を守るためにもこうした記録はしっかりと残して、保管することが重要だ」と話しています。

説明求める教員「信頼得られるような説明と検証を」

選考プロセスの説明を求めている教員有志のひとり、東京大学の阿部公彦教授は、「選考会議の中でどのような話し合いがあったのかは、私たち大学の構成員も知りたいことであり、消去されたのは非常に残念だ。ましてや今回のように疑義が生じている中でもし本当に透明で正当なプロセスが踏まれたのならば、明らかにして疑念を払拭して欲しかった。なぜ消去してしまったのか、信頼を得られるような説明と検証の実行をお願いしたい」と話していました。