新型コロナ 介護施設の利用制限や休止 今も続くところ多く

新型コロナ 介護施設の利用制限や休止 今も続くところ多く
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介護施設で新型コロナウイルスの影響が長期化しています。専門家が施設で働く人などに調査したところ、「利用制限」や「休止」が今も続いていると答えた人はデイサービスで30%近く、ショートステイでは40%近くに上っていることがわかりました。緊急事態宣言が解除されて4か月以上たった今も利用の制限が続いていて、専門家は「本人や家族の負担が増している」と指摘しています。
この調査は淑徳大学の結城康博教授が先月、インターネットを通じて、デイサービスの職員やケアマネージャーなど介護現場で働く人に実施し、600人余りが回答しました。

このうち、デイサービスについて、自分が働く、もしくは周りの施設が「休止」していると答えた人は3.2%、時間の短縮など何らかの「利用制限」を行っていると答えた人は25.1%に上りました。

また、ショートステイでは、「休止」が1.4%、「利用制限」が36%に上り、緊急事態宣言が解除されて4か月以上たった今も感染リスクを抑えるため利用を制限する動きが相次いでいます。

さらに人手不足も深刻になっていて、訪問介護の36.4%、デイサービスの31.4%で感染への不安などから離職や休職する職員が出ています。

調査にあたった結城教授は「利用制限が長期化すれば、それだけ本人や家族の負担が増してくる。施設が状況を元に戻すには感染対策の充実が不可欠で、行政も積極的に支援していくべきだ」と指摘しています。

受け入れ制限のショートステイ施設「手探りの状態」

千葉県木更津市にあるショートステイの施設では、新型コロナウイルスの感染リスクを抑えるため今も利用者の受け入れを一部制限しています。

ショートステイは通常、同居する家族が一時的に介護できなくなったり、1人暮らしの高齢者が退院後、自宅に戻るのが不安な時などに、短期的に入所する施設です。

利用者が頻繁に入れ代わることから、ウイルスの持ち込みなどに注意する必要があります。

この施設が入る建物にはサービス付きの高齢者向け住宅もあり、多くの人が暮らしていることから、運営する法人は4月以降、ショートステイの新規利用者などの受け入れを制限しました。

その後、どうしても必要な人は、事前に2週間検温し、発熱がないことを確認してから受け入れるようにしましたが、8月に近隣のデイサービスでクラスターが発生。感染のリスクはあまり低下していないと判断し、4月の時と同じ対応に戻して今に至っています。

ショートステイは27室あり、通常はほぼ満室ですが、今は空きも出ていて、収入は去年の同じ時期に比べて20%ほど減少しました。

一方で、消毒など感染予防の費用や業務の負担は増し、厳しい経営を迫られているといいます。

「リビングサポート木更津」ショートステイ管理者の齋藤美樹さんは、「経営的に厳しいだけでなく、利用したいという声に応えられず、心苦しい思いだ。しかし、高齢者の方は感染した際の重症化のリスクが高いため、利用制限は行わざるをえない。どうすればいいのか手探りの状態が続いている」と話しています。

そのうえで「新規の受け入れを再開するためには、ウイルス検査の実施や予防対策のさらなる充実が必要で、行政は費用面などの支援を拡充してほしい」と訴えています。