政治

菅首相 学術会議の任命見送り「学問の自由とは全く関係ない」

菅総理大臣は、内閣記者会のインタビューで、「日本学術会議」が推薦した新たな会員候補の一部の任命を見送ったことについて、学術会議に年間およそ10億円の予算を充てていることや、会員が公務員になることなどを指摘したうえで、「総合的、ふかん的な活動を確保する観点から判断した」と述べ、今後も丁寧に説明していく考えを示しました。
この中で菅総理大臣は、「日本学術会議」が推薦した新たな会員候補の一部の任命を見送ったことについて、「法に基づいて、内閣法制局にも確認の上で、学術会議の推薦者の中から、総理大臣として任命しているものであり、個別の人事に関することについてコメントは控えたい」と述べました。

そして、「日本学術会議は政府の機関であり、年間およそ10億円の予算を使って活動しており、任命される会員は公務員の立場になる。人選は、推薦委員会などの仕組みがあるものの、現状では事実上、現在の会員が自分の後任を指名することも可能な仕組みとなっている」と指摘しました。

そのうえで、菅総理大臣は、「推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲してよいのか考えてきた。省庁再編の際に、必要性を含め、在り方について相当の議論が行われ、その結果として、総合的、ふかん的な活動を求めることになった。まさに総合的、ふかん的な活動を確保する観点から、今回の任命についても判断した」と述べ、今後も丁寧に説明していく考えを示しました。

一方、菅総理大臣は、昭和58年の参議院文教委員会で、政府側が「形だけの推薦制であって、学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない、そのとおりの形だけの任命をしていく」と答弁したことについて、「過去の国会答弁は承知しているが、学会の推薦に基づく方式から、現在は、個々の会員の指名に基づく方式に変わっており、それぞれの時代の制度の中で法律に基づいて任命を行っているという考え方は変わっていない」と述べました。

菅首相「全く関係ない」 政府提出の法案への態度

また、菅総理大臣は、記者団が、任命の見送りは、学問の自由の侵害ではないかと指摘したのに対し、「学問の自由とは全く関係ない。それはどう考えてもそうではないか」と述べました。

さらに、記者団が、今回の人事について、かつて政府が提出した法案への態度と関係があるのかと質問したのに対し、「全く関係ない」と述べました。

ミサイル阻止の新たな指針「年末までに方策示す」

みずからの外交政策について、菅総理大臣は、「機能する日米同盟を基軸に政策を展開し、国益を守っていく必要がある。『自由で開かれたインド太平洋』を戦略的に推進し、中国やロシアを含む近隣諸国と安定的な関係を築いていきたい」と述べました。

また、ミサイル阻止に関する新たな方針について、「9月11日の総理大臣の談話を踏まえ、防衛大臣に対し、年末までにあるべき方策を示し、速やかに実行に移すよう改めて指示を行った。今後、与党ともしっかり協議していきたい」と述べました。

一方、菅総理大臣は、携帯電話料金の値下げについて、「政府としては、競争の一層の促進を通じて、利用者にとって、わかりやすく、納得できる料金やサービスを実現できるよう、しっかりと取り組んでいきたい」と述べました。

日本学術会議 組織と予算は

日本学術会議は、全国におよそ87万人いる日本の科学者を代表する機関で、科学を行政や産業、国民生活に反映、浸透させることを目的に昭和24年に設立されました。

総理大臣のもとに、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として、210人の会員とおよそ2000人の連携会員が、政府に対する政策提言や国際的な活動、科学者の間のネットワークの構築などを行っています。

組織や会員については、日本学術会議法に定められています。

会員は、日本学術会議からの推薦に基づいて、総理大臣が任命する仕組みになっていて、任期は6年で3年ごとに半数が任命されます。

特別職の国家公務員となる会員には、本来の職業の収入とは別に、手当が支給され、任期にかかわらず、70歳に達した時に退職することになっています。

また、会議に関係する経費として、毎年およそ10億円の予算が充てられています。

その内訳について、加藤官房長官は記者会見で、今年度分として、
▽事務局の人件費と事務費が5億5000万円、
▽人件費を含む、政府や社会などへの提言に2億5000万円、
▽各国のアカデミーとの交流など国際的な活動に2億円、
▽科学の役割の普及・啓発に1000万円、
▽科学者の間のネットワークの構築に1000万円を
それぞれ計上していることを明らかにしています。

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