陸上日本選手権 女子1500m 田中希実が初優勝

陸上日本選手権 女子1500m 田中希実が初優勝
新潟市で開かれている陸上の日本選手権は大会2日目の2日、女子1500メートルの決勝が行われ、日本記録を持つ田中希実選手が4分10秒21で初優勝を果たしました。
田中選手は、ことし7月に3000メートルで18年ぶりに日本記録を更新したのに続いて、8月には1500メートルでも14年ぶりに日本記録を塗り替えるなど、急成長している21歳です。

田中選手は日本選手権2日目の2日行われた、女子1500メートルの決勝に出場しました。

田中選手は序盤から先頭で引っ張る積極的な走りが持ち味ですが、決勝はペースを抑えたレース運びで、600メートルあたりで一気に飛び出しました。

そして、そのままほかの選手を引き離すと最後まで独走状態でフィニッシュし、みずからの持つ日本記録には届かなかったものの、2位に5秒以上の大差をつけ4分10秒21のタイムで初優勝を果たしました。

優勝した田中選手は「日本記録を出した自信を本物にしたくて、自分の持ちタイムに恥じない堂々としたレースがしたいと考えていた。とにかくきょうは勝つことを優先した。大きな壁になっていた日本選手権を制したという実感はまだわいていないが、その壁を越える一つのきっかけになったと思う」と話していました。

2位は米澤奈々香選手、3位は田中選手と一緒に練習している後藤夢選手で、連覇を目指した卜部蘭選手は4位でした。

田中 圧勝の背景は

女子1500メートルでことし14年ぶりに日本記録を更新した田中希実選手が日本選手権でも圧勝しました。
その強さの背景には、アフリカ勢を中心に強豪がひしめく5000メートルで世界と対等に戦うことを念頭に置いた練習がありました。

序盤からハイペースで飛ばし、レースを引っ張ることが持ち味の田中選手。
去年の世界選手権、女子5000メートルに出場し、日本歴代2位の15分0秒01をマークして東京オリンピックの参加標準記録を突破しました。しかし、順位は14位。田中選手はこれを「完敗」と捉えました。

ことし2月に出場した国際大会でも思うような結果を残せず、「海外の選手と戦うためにはもっとレベルアップしなければいけない」と、練習の内容を見直しました。

これまでは設定したタイムで数本走り、間に休憩を挟んでいましたが、ことし春からはレースを想定したタイム設定で全力疾走し、ジョギングでつないでまた全力で走るというハードな練習を繰り返しました。最後までハイペースを維持するスピードとスタミナを同時に鍛えることがねらいです。

この練習を始めた時期は、ちょうど新型コロナウイルスの感染拡大により大会中止が相次いでいたころで、田中選手は「大会で戦うための厳しい練習なのに大会はない。何のために練習しているのかと葛藤した」と振り返ります。

しかし、この時期が田中選手を強くしたのです。
ことし7月には女子3000メートルで18年ぶりに日本記録を更新。8月には女子1500メートルで14年ぶりに日本記録を更新しました。田中選手は「5000メートルを意識して練習したことで、1500メートルや3000メートルのラストスパートのスタミナがついた」と分析しています。

女子1500メートルでは、まだ日本選手がオリンピックに出場したことはありませんが、伸び盛りの新星が日本陸上界の新しい扉を開ける日はそう遠くないかも知れません。