岩手 陸前高田の干潟 生物の専門家ら残土埋め立て一時中止要望

岩手 陸前高田の干潟 生物の専門家ら残土埋め立て一時中止要望
環境省の重要湿地に選ばれている岩手県陸前高田市の干潟で、市が復興事業として行っている残土の埋め立てによって貴重な生態系が失われるおそれがあるとして、専門家らのグループが埋め立てを一時中止するよう市に要望書を提出しました。
これについて小泉環境大臣は「震災復興と環境保全は一体的に進めていかねばならず、地元の皆さん、専門家のご意見を踏まえながら、丁寧に復興事業を進めていくことが重要だ」と述べました。
要望書は、底生生物の専門家で作る、日本ベントス学会の自然環境保全委員会が陸前高田市に提出しました。

岩手県陸前高田市の広田湾にある「小友浦」と呼ばれる干潟では、ことし8月から市が、震災復興工事に伴って発生した残土5万4000立方メートルを埋め立てる工事を進めています。

この干潟は、昭和40年代に干潟だった場所が干拓されたあと、東日本大震災の津波の影響で堤防が崩れて再び干潟となり、希少種の貝なども確認されるようになり、平成28年には環境省の「重要湿地」にも選ばれています。

市は、埋め立てた場所は将来的にスロープ状にならして砂をかぶせて干潟を再生する計画だとしていますが、専門家のグループは、残土を埋め立てる今の方法では、現在ある干潟の生態系が失われてしまうとして、埋め立てを一時中止し、残土処理の方法を再検討して干潟と生物を守るよう、市に要望書を提出しました。
小泉環境大臣は、2日の記者会見で「小友浦周辺の干潟を含む広田湾全体は生物多様性の観点から重要度の高い湿地に選定している。何らかの法的制約を生じさせるものではないが、事業者などに保全上の配慮を促すために選定しているものなので、基礎資料として適切に活用していただきたい。市は工事にあたって複数の専門家からヒアリングを行ったと聞いており、引き続き、多様な専門家などの意見を聞いて、適切に工事を行うことが重要だ。震災復興と環境保全は一体的に進めていかねばならず、丁寧に復興事業を進めていくことが重要だ」と述べました。

陸前高田市は、NHKの取材に対して「市としても生物に配慮しながら工事しているつもりだが、できる範囲の中で専門家の意見を聞きながら工事を進めていきたい」としています。