トランプ大統領夫妻 新型コロナ陽性 ツイッターで明らかに

トランプ大統領夫妻 新型コロナ陽性 ツイッターで明らかに
アメリカのトランプ大統領とメラニア夫人が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになりました。トランプ大統領の主治医は、「2人とも現時点では体調は良好だ」としていますが、およそ1か月後に大統領選挙が迫る中、大統領自身の感染が確認されたことで選挙戦にも影響が及ぶと見られています。
トランプ大統領は2日未明、日本時間の2日午後2時前、みずからのツイッターで、「今夜、妻と私は新型コロナウイルスの陽性と判定された。ただちに隔離と回復のためのプロセスを開始する。この新型ウイルスをともに乗り越えていく」と投稿しました。

主治医「体調良好 公務に支障ない」

トランプ大統領は、最側近で広報戦略などにかかわっているホープ・ヒックス氏が1日、新型コロナウイルスの検査で陽性と判定されたことから、メラニア夫人とともに検査を受け、自主的な隔離措置をとるとしていました。

トランプ大統領の主治医は、「2人とも現時点では体調は良好で、回復するまでホワイトハウスにとどまる予定だ」として、今後の公務に支障はないという見方を示しています。

新型コロナウイルス対策をめぐりトランプ大統領は当初、みずからマスクを着用することには消極的でしたが、その後、感染者の急増を受けてマスクを着用するようになり、感染防止に努める姿勢をアピールしていました。

しかしワシントン・ポストなど複数のメディアは、ヒックス氏の感染をホワイトハウスの複数のスタッフが知るところとなったあと、トランプ大統領は1日、東部ニュージャージー州で行われた選挙集会に出向いていたと報じていて、トランプ大統領の対応への批判が出る可能性があります。

1か月後に迫った大統領選挙では、新型コロナウイルスへの対応が大きな争点となっていて、トランプ大統領自身の感染が明らかになったことで、選挙戦にも影響が及ぶものと見られます。
アメリカで新型コロナウイルスの感染が拡大し続けるなか、トランプ大統領は当初、消極的だったマスクの着用を国民に呼びかけ、みずからのマスク姿も見せて感染防止対策をとっていると主張していました。

しかし新型コロナウイルスをめぐる大統領の言動については、専門家の助言を軽視しているとして、疑問視する声があがっていました。

トランプ政権では、ことし5月にはペンス副大統領のミラー報道官が、7月にはホワイトハウスで安全保障問題を担当するオブライエン大統領補佐官の感染が明らかになっています。

感染明かす約4時間前 テレビに電話出演

トランプ大統領は、感染を明らかにする4時間近く前、FOXニュースの生放送の番組に電話出演していましたが、声の調子などに特段変わった点は見られませんでした。

メラニア夫人「体調はよい」ツイッターに投稿

トランプ大統領と同様に陽性の結果が出たメラニア夫人はツイッターに投稿し、「大勢のアメリカ人が行ったように、大統領と私は、新型コロナウイルスの検査で陽性が確認された後、家で隔離に入っている。私たちの体調はよい。私は今後の行事をすべて延期した」として、大統領と自身の体調に問題はないとしています。

大統領選や政権運営に影響が出る事態も

新型コロナウイルスの検査で陽性の結果が出たことで、トランプ大統領の今後の選挙戦に影響が出る可能性があります。

トランプ大統領は新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも連日、接戦が予想される州を訪れて多くの支持者を前に演説を行っていましたが、隔離期間中はこうした選挙運動は行えなくなります。

大統領選挙までおよそ1か月となる中で、当面の間は選挙運動がオンラインや電話で参加できるものに限られることになると見られます。

さらに懸念されるのは政権運営への影響です。

万が一、トランプ大統領が職務を行うことができなくなった場合は憲法の規定に基づいて、ペンス副大統領が職務を代行します。

ただトランプ大統領は検査を受けていることなどを理由に、感染予防のためのマスクを着用することがほとんどなく、メラニア夫人やヒックス氏だけでなくペンス副大統領など大統領の周辺にも感染が拡大しているおそれもあります。

仮に政権内で感染が拡大すれば、新型コロナウイルスによる死者が20万人を超えるなど政府の対応が求められる中、政権運営に影響が出る事態も想定されます。

ホープ・ヒックス氏とは

ホープ・ヒックス氏はトランプ氏の長女、イバンカ氏のファッションブランドで広報を務めるなど、トランプ氏が大統領に就任する前から一族の仕事に携わっていました。

トランプ氏は、2016年の大統領選挙に向けてヒックス氏を自身の選挙陣営の報道官として起用し、翌年、大統領に就任してからも側近として処遇し続けました。

ヒックス氏はまず2017年に、ホワイトハウスに新たに設けられた「戦略広報部長」という役職に就き、その後2017年から2018年にかけて、ホワイトハウスの広報部長を務めます。

いったん政権の役職を離れたものの、ことし3月から大統領の顧問としてホワイトハウスに戻り、主にイバンカ氏や娘婿のクシュナー氏の広報戦略などに関わってきました。

来月の大統領選挙に向けてトランプ大統領の遊説に同行することも多く、今週、オハイオ州で行われた大統領選挙の候補者によるテレビ討論会や、翌日、ミネソタ州で行われた集会にも同行し、大統領専用機にも同乗していました。

トランプ大統領夫妻 ヒックス氏と行動共に

新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領とメラニア夫人、そして、大統領の顧問を務めるホープ・ヒックス氏は感染が判明する前、行動を共にしていました。

9月29日、トランプ大統領とメラニア夫人は中西部オハイオ州で行われるテレビ討論会に出席するため、ホワイトハウスからヘリコプターに乗り込みました。

テレビ討論会ではメラニア夫人は白いマスクをつけて会場に入り、距離がとられたイスに座りました。

討論会が終わると、トランプ大統領はメラニア夫人を壇上へと導き、2人はマスクをしないまま、手をつないで会場をあとにしました。

その次の日の30日、支持者との集会が開かれる中西部ミネソタ州に向かうトランプ大統領が大統領専用機に乗り込む様子を撮影した映像では、トランプ大統領がタラップを上ったあとに、ヒックス氏がクシュナー上級顧問らとともに乗り込みました。

映像に映し出されたトランプ大統領の側近たちは全員マスクをつけていませんでした。

また、専用機に乗り込む際、トランプ大統領とヒックス氏は同じタラップの右側の手すりをつかみながら上っているのが確認できます。

感染した各国首脳や政府関係者

これまでに世界各国では、イギリスやブラジルの首脳のほか、政府関係者などが新型コロナウイルスに感染しています。

▽ことし2月にはイランのエブテカール副大統領が、

▽3月には、イギリスのジョンソン首相が感染を明らかにしました。
ジョンソン首相は翌月、容体が悪化し、一時、集中治療室で処置を受けました。

▽3月には、カナダとスペインで首相夫人の感染も確認されました。

▽5月には、ロシアのミシュスチン首相が、

▽7月には、旧ソビエト・ベラルーシのルカシェンコ大統領が、感染していたことを明らかにしました。

また、
▽7月には南米ブラジルのボルソナロ大統領が感染したことを明らかにしていて、ブラジルでは8月までに、閣僚の3分の1に当たる8人の感染が確認されました。

▽先月には、フランスのルメール経済相が感染を明らかにしました。

世界各国から 回復祈るメッセージ

世界各国からは回復を祈るメッセージが寄せられています。

このうち、イスラエルのネタニヤフ首相は2日、みずからのツイッターに、「多くのイスラエル国民同様、私も妻も、トランプ大統領とメラニア夫人が一日も早く回復することを願っている」と投稿しました。

また、新型コロナウイルスへの対応をめぐって、トランプ大統領が「中国寄りだ」と批判していたWHO=世界保健機関のテドロス事務局長もみずからのツイッターに、「トランプ大統領とメラニア夫人の一日も早い回復を祈っています」と投稿しました。

イギリスのジョンソン首相は2日、みずからのツイッターに、「トランプ大統領とメラニア夫人が新型コロナウイルスから早く回復することを祈っています」と投稿しました。ジョンソン首相はことし3月、新型コロナウイルスに感染し、その後、容体が悪化して、集中治療室で処置を受けました。

ドイツ政府の報道官は、2日、ツイッターに、メルケル首相のお見舞いの言葉として、「トランプ大統領とメラニア夫人が新型コロナウイルスから早く回復することを願っています」と投稿しました。

中国国営の新華社通信はアメリカのトランプ大統領が、自身とメラニア夫人の2人が、新型コロナウイルスの検査で陽性の結果が出たと明らかにしたことを速報で伝えました。また、国営の中国中央テレビは、トランプ大統領の主治医が「2人とも体調は良好だ」などとする報告書をまとめたことや、最側近のホープ・ヒックス氏が新型コロナウイルスの検査で陽性の結果が出ていたことなどを詳しく伝えました。

中国外務省の華春瑩報道官はツイッターに「早く回復して元気になることを願っている」と投稿しました。

台湾の総統府によりますと、蔡英文総統は、「トランプ大統領夫妻が医療チームの専門的なケアを受けて、一日も早く回復されることを願います」というメッセージを、外交部を通じてアメリカ政府に伝えました。

インドのモディ首相は2日、みずからのツイッターに、「友人のトランプ大統領とメラニア夫人の早期回復と健康を願っています」とトランプ大統領にお見舞いの言葉を投稿しました。

ロシア大統領府によりますとプーチン大統領はアメリカのトランプ大統領とメラニア夫人にあてて「早く回復することを望みます。あなたの強い精神と楽観主義が危険なウイルスを打ち負かすことでしょう」というメッセージを送ったということです。

韓国大統領府の発表によりますと、ムン・ジェイン(文在寅)大統領は2日午後、トランプ大統領とメラニア夫人に宛ててメッセージを送り、「私たち夫婦は、韓国国民と共に、トランプ大統領とメラニア夫人の速やかな快癒を祈ります」と伝えたということです。

バイデン前副大統領「速やかな回復願う」

大統領選挙で対立候補の、民主党のバイデン前副大統領は2日午前、日本時間の2日夜、ツイッターに「トランプ大統領とメラニア夫人の速やかな回復を願っています。大統領と家族の健康と安全をお祈りします」というメッセージを投稿しました。

また、民主党の副大統領候補のカマラ・ハリス上院議員もツイッターに「バイデン夫妻とともに、トランプ大統領とメラニア夫人の速やかで完全な回復を願っています」と投稿しました。

WHO事務局長「迅速な回復を願う」

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は2日、定例の記者会見の冒頭で、「2人が完全に迅速に回復することを願っている。私たちの祈りは2人とともにある」と述べました。

海外メディアも一斉に速報

アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスの検査で陽性になったと明らかにしたことについて、海外のメディアは一斉に速報で伝えています。

このうちCNNは「この数十年間のアメリカ大統領で最も深刻な健康上の脅威だ」と伝えていて、「すでに混乱している政治情勢がさらに不安定化する可能性がある」と報じています。

またイギリスの公共放送BBCは「今月15日に予定されている第2回の大統領選挙の討論会にどのように影響するのか分からない」と報じています。

アメリカの有力紙、ニューヨーク・タイムズは「トランプ大統領にとって33日後の大統領選挙に差し迫った困難をもたらす可能性がある」として、大統領選挙に影響を及ぼす可能性に言及しました。