8月の完全失業率3.0% 前月比0.1ポイント悪化

8月の完全失業率3.0% 前月比0.1ポイント悪化
ことし8月の全国の完全失業率は3.0%で、2か月連続で悪化しました。
完全失業率が3%台となるのは2017年5月以来で、全国の完全失業者数も200万人を超え、206万人となりました。
総務省は「新型コロナウイルスの感染を警戒して就職活動を控えていた人たちが求職を始めたことなどが背景にあると見られる」としています。
総務省によりますと、ことし8月の就業者数は、6676万人で、前の年の同じ月と比べて75万人減り、5か月連続の減少となりました。

就業者のうち、パートや派遣社員、アルバイトなどの非正規労働者は2070万人で、前の年の同じ月から120万人減りました。

一方、完全失業者数は206万人で、前の年の同じ月と比べて49万人増え7か月連続の増加となりました。

完全失業者数が200万人を超えたのは2017年5月以来です。

季節による変動要因を除いた全国の完全失業率は3.0%で、前の月と比べて0.1ポイント悪化しました。

完全失業率が3%台となるのも、2017年5月以来となります。

総務省は「新型コロナウイルスの感染を警戒して、就職活動を控え、完全失業者としてカウントされていなかった人たちが求職を始めたことなどが背景にあると見られる」としています。

コロナ影響続く これまでとは異なる傾向も

2日公表された総務省のことし8月の「労働力調査」は、先月25日から1週間の調査結果です。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響に加え、これまでとは異なる傾向も見られます。

5か月連続で減少となった就業者数を産業別に見ると、減少幅が最も大きかったのは「製造業」の52万人で、次いで「宿泊業、飲食サービス業」の28万人、「卸売業、小売業」の16万人などとなっています。
ことし4月以降4か月連続で「宿泊業、飲食サービス業」の減少幅が最も大きくなっていましたが、8月は「製造業」が上回りました。

2017年5月以来の3%台となった完全失業率を男女別で見ると、男性は前の月と同じ3.0%、女性は2.9%で、前の月から0.2ポイント悪化しました。
男性はことし5月に3.2%となって以降は改善傾向に転じているのに対し、女性は悪化が続いていて、ことし3月に比べて0.7ポイント高くなっています。

一方、感染拡大の特徴的な影響と指摘されてきた休業者の数は216万人で、前の年の同じ時期と比べて14万人増えていますが、増加幅は、4月の420万人、5月の274万人に比べると大きく減っていて、総務省は「感染拡大前の水準に戻りつつある」としています。

また、7月、8月に続けて調査対象となった人のうち、7月に休業者だった人の8月の状況を尋ねたところ、仕事に戻った人は28%にとどまり、引き続き休業していた人が57%、職を離れた人が15%いました。

完全失業率の推移

総務省の最新のデータによりますと、完全失業率は、2009年7月に5.5%にまで悪化したあとは徐々に改善しました。

そして、2017年2月に22年ぶりに2%台となり、2018年以降は、2.2%から2.5%の間で推移し、総務省は「平成5年以来の低い水準で推移していて、雇用は着実に改善している」としていました。

しかし、新型コロナウイルスの影響で、ことし4月に2.6%となって以降、2%台後半が続き、2日に発表された8月の完全失業率は2017年5月以来となる3%台となりました。

加藤官房長官「新型コロナの影響 一層注意」

加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で「完全失業者数が増加し、有効求人倍率が1倍を下回る地域が増加しているなど、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響については、引き続き一層注意する必要がある」と述べました。