日本酒の日~コロナを吹き飛ばせ!~

日本酒の日~コロナを吹き飛ばせ!~
10月1日。東京の人には「都民の日」、1001の形から「メガネの日」など、さまざまな記念日となっていますが、「日本酒の日」でもあること、皆さん知っていたでしょうか。「コロナ禍で飲み会が減った」という人も多いかもしれませんが、この日を機に、日本酒のいま、ちょっとのぞいてみませんか?
(ネットワーク報道部記者 成田大輔 馬渕安代)

日本酒の日とは

10月1日を「日本酒の日」と制定したのは、日本酒造組合中央会。
1978年のことです。

10月は新米を収穫し、新しい酒造りが始まる季節で、10月1日を「酒造元旦」として祝う風習が残るところもあるとのこと。

そんな日本酒文化を後世に伝えようと10月1日を「日本酒の日」と定めたそうです。

コロナでピンチ

しかし、ことし日本酒業界は大きな危機に見舞われました。新型コロナウイルスの影響により、外に飲みに出る人が激減。
飲食店も営業自粛となったほか、利き酒大会など多くのイベントが中止になりました。

日本酒造組合中央会によりますと、ことし1月から7月までの日本酒の国内出荷量は20万9824キロリットルと、去年の同じ時期からおよそ12%も減少しました。

自宅での「家飲み」に期待する声もありましたが、自宅用の売れ筋は「紙パック酒」で、近年、業界が力を入れてきた純米酒や純米吟醸酒は苦戦が続いているといいます。

そして影響は、日本酒の原料である酒米にも及んでいます。本来は仕込みに使われるはずの酒米が余ってしまい、採算ラインギリギリまで値段を下げても、買い手が見つからないのです。

買い手が付かなかった場合、農家が酒米作りをやめてしまう可能性もあり、秋田県では、酒米をみそやしょうゆなどの加工用にする農家に10アールあたり3万円を助成する取り組みも始まっています。

危機を乗り越えろ!

なんとか事態を打開できないか。酒米を発注する酒蔵も知恵を絞って対策にあたっています。
山口県岩国市の旭酒造は、需要の落ち込みを受けて日本酒の生産量を減らしましたが、農家を支えるため酒米の発注量は減らさず、酒米として知られる「山田錦」そのものを食用として販売することにしました。
ことし5月から、精米した酒米3合をパックに詰め、取引先のスーパーや百貨店、通販などで販売しています。

一般的な食用米に比べると粘りがなく、甘みも少ないということですが、あっさりパラパラした食感は、パエリアやチャーハンなどに適しているということです。
旭酒造 松藤直也取締役営業部長
「新型コロナウイルスの影響は酒米の生産者にも広がっていることを知ってもらいたいと酒米を活用した製品の販売を始めました。山田錦を食べること、お酒を楽しんでもらうことが生産者を支援することにつながるので、力を貸していただければと思います」

窮余の一策が…

中には、窮余の一策が思わぬ反響を呼んだ酒蔵も。

創業150年の老舗、岐阜県の渡辺酒造店は、ことし、東京オリンピックにあわせて来日した外国人に味わってもらおうと、1本5万円の“超高級日本酒”を仕込んでいました。
最新技術で精米歩合を18%まで削りあげ、明治時代から残る木おけで自然発酵させたという自信作。

しかし、オリンピックの延期で販路を失ったため、コロナで苦しむ人々を励まそうと、「100人に無料で配る」とツイッターで呼びかけました。
するとツイッターは13万リツイート超えの大反響。
「ぜひ飲んでみたい」
「親友と少人数で楽しみたい」
1か月前は500人ほどだったフォロワーも今は11万人を超え、店の名前は広く知れわたりました。

知名度アップで今後の売り上げ回復も期待しつつ、当選者に酒を発送したということです。
渡辺酒造店 広報 大田穣さん
「オリンピックは延期されましたが、飲み頃に味わってもらいたいと呼びかけました。当初は3000リツイートくらいいけばいいなと思ったのですが、思わぬ反響で驚くとともに応援コメントにも励まされました。今は皆さんコロナで大変だと思いますが、酒を飲んでコロナを吹き飛ばすように過ごしてほしい」
なんとか日本酒を盛り上げたい。日本酒造組合中央会は日本酒の日にあわせてオンラインイベントを実施しました。
10月1日午後7時、全国各地の参加者たちが一斉に乾杯。

ツイッターやインスタグラムに「#日本酒で乾杯」というキーワードで投稿してもらい、離れていても気持ちをひとつに日本酒を酌み交わします。
日本酒造組合中央会 広報部 郷古純さん
「毎年、日本酒の日は、多くの人を集めてイベントをやっていましたが、ことしは初めてオンラインでやることにしました。今後も、日本酒フェアをオンラインでやるなど今できることをやっていきたい」
「Go To」トラベルなどのさまざまな施策を受けて、旅行に出かける人は、ご当地の地酒を味わうもよし。まだ旅行はちょっと…という人は、自宅や身近な場所で各地の酒を楽しむもよし。

ビールやワイン、お酒もいろいろありますが、時には、コロナ禍でがんばる生産者に思いをはせて、日本酒を楽しんでみませんか。