「Go Toトラベル」東京発着旅行が対象 受け入れる各地の対応は

「Go Toトラベル」東京発着旅行が対象 受け入れる各地の対応は
観光需要の喚起策「Go Toトラベル」は、1日から東京発着の旅行が対象に加わりました。東京からの観光客を受け入れる各地でも、さまざまな取り組みが行われています。

東京発の「Go Toトラベル」利用者 各地に

このうちJR金沢駅の北陸新幹線のホームには、スーツケースなどを持った乗客が続々と降り立ちました。

「Go Toトラベル」を利用して来たという東京の60代の女性は「もともと10月1日に金沢への旅行を計画していたのですが、Go Toの対象となり幸運でした。金沢は初めてなので兼六園に行ってみたい」と話していました。

一方、金沢市の観光地「近江町市場」では、観光施設や土産物店などで使えるクーポンが利用ができるというポスターや表示が、さまざまな店に掲げられていました。

市場の店でつくる組合によりますと、1日からクーポンを使える店は、飲食店や鮮魚店、それに果物店など30から40店ほどで、今後、さらに増える予定だということです。

近江町市場商店街振興組合の江口弘泰 事務長は「感染防止策には配慮する必要があるが、クーポンが使える店もさらに増えてくると思うので、ぜひ利用してほしい」と話していました。

東日本大震災の被災地でも期待高まる

宮城県南三陸町のホテルでは、東日本大震災の被災地を訪れる観光客が増えることに期待しています。

南三陸町にある「南三陸ホテル観洋」には、例年、およそ13万人が宿泊しますが、ことしは、新型コロナウイルスの影響で4月と5月の客足が9割ほど減少しました。

「Go Toトラベル」が始まってからは、キャンペーンを利用して訪れる宿泊客が増えていて、8月は例年の7割ほどにまで回復したということです。

このホテルでは、宿泊客を対象に震災当時の町の様子や復興の状況を伝える「語り部バス」を運行しています。

30日も、関東や四国などから来た7人の客がバスに乗り込み、語り部をつとめる従業員の男性の説明を聞いていました。

埼玉県から訪れた60代の女性は、「被災地の現状を知りたかったので訪れました。語り部の話を生で聞けて良い経験になりました」と話していました。

来年3月には東日本大震災から10年となることから、ホテルでは東京発の旅行がキャンペーンの対象に加わり、被災地を訪れる観光客が増えることに期待しています。

「南三陸ホテル観洋」のおかみ、阿部憲子さんは「来年で震災から10年が経ちますが、これを機にたくさんの方に来てもらい、被災地のいまを感じてもらえればと思います」と話していました。

東京からの宿泊者対象 新プランを用意

JR名古屋駅に直結するホテルでは、東京からの宿泊者を対象にほとんど同じ料金で1ランク上の客室に泊まれる新たな宿泊プランを用意しました。

また、先月から実施している限定品のアメニティやドリンクが付いた特別プランの期間を延長することを決めたということです。

このホテルでは東京からの宿泊者が3割ほどを占めていますが、新型コロナウイルスの影響でことし5月の客室の稼働率は17%ほどに落ち込んでいたということで、今後の宿泊客の増加に期待を寄せています。

「名古屋マリオットアソシアホテル」の松任徹治 総支配人は「東京からの宿泊も対象となりすでにお正月の予約も入り始めている。東京の人口は全国の10分の1なので観光業にとってインパクトがあり、非常に期待している」と話していました。

感染対策強化の動きも

依然、多くの感染者が出ている東京からの客が増えることが予想されるため、名古屋市内のホテルの間では、新型コロナウイルスの感染対策を強化する動きも出ています。

名古屋市中心部にあるビジネスホテルは、宿泊者数の回復を期待する一方、追加の感染対策を急いでいて、ウイルスに効果があるとして販売されている透明のシートを多くの人が触れるエレベーターのボタンに貼り付けました。

さらに宿泊客が増えた場合には、朝食のときに密になることを防ぐため従来の会場に加えて宴会場も新たに活用する予定だということです。

「名古屋クラウンホテル」の後藤純 副総支配人は「『Go Toキャンペーンがあったから感染が増えた』ということのないよう、やれることをやるのが宿泊施設の責任だ。お客さんが来る前にできる限りの対策を取っていく」と話していました。

商品券配布 独自キャンペーン

埼玉県長瀞町では多くの観光客を呼び込もうと、川下りの利用者などに1000円分の商品券を配る独自のキャンペーンを始めました。

町内の15の業者が行う川下りやラフティングなどを楽しんだ人を対象に、1000円分の商品券を配ります。商品券は、町内およそ80の飲食店や土産物店などで使うことができます。

町では1万人分を用意していて、初日の1日、さっそく川下りの利用者が商品券を受け取っていました。

町内の飲食店の店主、若林良美さんは「川下りを楽しんだあとは、お食事も満喫して、長瀞を楽しんでもらいたいです」と話していました。

語呂合わせの新商品も

長崎空港にある土産物店は、1日から「Go To」の語呂に合わせて五島特産のうどんや焼酎を詰め合わせた「五島セット」の販売を開始しました。

土産物店の中瀬和也さんは「新型コロナ以降、土産物店の売り上げは例年の半分以下でしたが、Go Toトラベルをきっかけにお客様が増えて、長崎の観光が活気づくことを期待しています」と話していました。

あえて「クーポン利用不可」の対応も

「Go Toトラベル」で、1日から利用できるようになった土産物の購入などに使えるクーポンについて、青森市の観光地では混雑を避けるためなどとしてあえて利用できなくしている店もあります。

青森市にある「八甲田ロープウェー」の山頂公園駅にある土産物店などでは、クーポンを利用できないようにしました。ロープウエーの運営会社によりますと、今の紅葉シーズンは1年で最も観光客が多く、例年なら多い時で1日3000人以上がロープウエーを利用し、1時間半待ちになることもあり、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにこうした対応をとっているということです。

一方、ロープウエーの利用にはクーポンを使うことができるということで、山麓駅ではさっそくクーポンを利用する人の姿も見られました。

運営会社の蝦名正晴社長は「たくさん利用してもらいたい思いもあるが、感染対策のためと理解してもらいたい。クーポンが少しでも収益の回復につながればいい」と話していました。