新型コロナ「東京都内の感染状況レベル維持も厳重警戒を」

新型コロナ「東京都内の感染状況レベル維持も厳重警戒を」
東京都内の新型コロナウイルスの感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」が開かれ、専門家は、感染状況の警戒のレベルについて上から2番目の表現を維持したものの、新たな感染の確認や感染経路がわからない人が再び増加しているとして、厳重に警戒する必要があると指摘しました。
会議のなかで国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、都内の感染状況について「感染の再拡大に警戒が必要であると思われる」と評価しました。

これは4段階ある警戒のレベルのうち上から2番目の表現で、4週連続で同じ表現を維持しました。

新たな感染の確認は30日までの7日間の平均でおよそ184人と前の週のおよそ145人から大幅に増加しているほか、感染経路がわからない人も大幅に増えています。

大曲センター長は「経済活動が活発化し、人の移動が増え、感染拡大のリスクを高める機会が増加することにより、新たな感染確認の増加傾向が加速することが懸念される」と述べ、厳重に警戒する必要があると指摘しました。

一方、医療提供体制について、東京都医師会の猪口正孝副会長は、長期化する医療機関への負担が軽減するきざしが見えないと指摘しました。

そのうえで、入院患者や重症患者の推移に警戒が必要だとして「体制強化が必要であると思われる」という4段階あるレベルのうち上から2番目の表現を13週連続で維持しました。

小池知事「職場休憩中もマスク着用や消毒を」

東京都の小池知事は、モニタリング会議のあと記者団に対し、「今週は職場内の感染が多く、例えば工場のラインなどの『現場』もさることながら、昼の時間帯の休憩室での感染も報告されている。手を休めて一息つくときもマスクの着用や消毒などにくれぐれもご注意いただきたい」と述べました。

また、新たな感染の確認が再び増加していることについては、「4連休の影響や人の流れが増えてきていることで陽性者の数が増えている。都民、事業者の皆さんには、感染防止の基本を忘れずに対策を取っていただきたい」と述べました。

専門家の分析結果

1日のモニタリング会議の中で示された、都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

新たな感染の確認は、30日までの7日間の平均で、およそ184人となり、前の週からおよそ39人増えました。

専門家は「増加比が大幅に上昇している」として警戒を呼びかけています。

年代別の割合は、先月28日までの1週間で、
▽20代が最も多く24.9%でした。
次いで
▽30代で20.5%
▽40代が18.2%
▽50代が12.4%
▽60代が6.9%
▽70代が5.6%
▽10代が4.7%
▽10歳未満が2.7%
▽80代が2.6%
▽90代以上が1.6%です。

前の週に比べて90代がわずかに増加しましたが、そのほかの年代では大きな変化はありませんでした。

また、感染経路が分かっている人のうち、
▽家庭内での感染が31.9%で、9週連続で最も多くなりました。
次いで、
▽職場内が23.4%
▽施設内が10.7%
▽会食が8.5%
▽夜間営業する接待を伴う飲食店が7.3%などとなっています。

食品加工会社の工場で大規模なクラスターが起きたため、職場内での感染が、前の週に比べておよそ10ポイント増加しました。

専門家は「職場での感染は、昼食時や休憩時間での発生が複数報告されている。狭く、空気の流れが悪い休憩室などで、マスクを外して仲間と話すと感染のリスクが高まりやすくなる。職場内での基本的な感染防止対策の徹底が必要だ」と指摘しました。

医療提供体制

30日時点での入院患者は1165人で、1週間前の9月23日の時点より93人減っています。

専門家は「増減を繰り返しながら、依然として高い水準にある」と指摘しています。

また、都の基準で集計した重症患者は、30日の時点で1週間前から7人減って21人でした。

年代別にみると、
▽40代が1人
▽50代が8人
▽60代が5人
▽70代以上が7人で、
50代から60代が、重症患者全体のおよそ6割を占めています。

性別では、
▽男性が19人
▽女性が2人でした。

また、先月28日までの1週間で、都に報告された亡くなった人15人のうち、13人が70代以上でした。