東証 システムトラブル 宮原社長らが陳謝

東証 システムトラブル 宮原社長らが陳謝
システムトラブルの影響で1日、終日にわたって株式の売買を停止した東京証券取引所は、宮原幸一郎社長らが記者会見し「深くおわびします」と陳謝したうえで、2日からの売買再開に向けて準備を進めていると強調しました。
東京証券取引所では1日、株価などの情報を配信するシステムにトラブルが発生し、終日、すべての銘柄の取り引きを停止しました。

これを受けて宮原幸一郎社長らが記者会見し、「多くの市場参加者、投資家の皆様に多大なご迷惑をおかけしたことを深くおわびします」と陳謝しました。

そのうえで宮原社長は「あすは通常の売買ができるよう準備を進める」と述べました。
システムトラブルの経緯について、宮原社長は、会見で、1日午前7時すぎに売買システムの装置の故障が発生したのに伴って、相場情報の配信業務などに異常が発生したことで、情報が正確に配信できなくなったと説明しました。

終日、売買を停止した理由については「内外の市場参加者とも協議したところ、きょう再開した場合は顧客対応や円滑な売買は難しいという要請もあり、終日、売買停止をすることとした」と述べました。

さらに宮原社長は、「日銀短観という大事な統計が発表された中で、終日の停止となり大変ご迷惑をおかけした。また政府が国際金融センター構想を検討している中で、資本市場の大事なインフラである取引所で終日の取り引き停止という事態を起こしてしまったことに対し大変申し訳なく思っている」と述べ、重ねて陳謝しました。

トラブルが起きたシステムとは

東京証券取引所によりますと、取り引きのシステムは、大きく2つのネットワークに分けられます。

売買の注文を処理する「注文売買系ネットワーク」とシステムの基幹となる「運用系ネットワーク」です。今回は、「運用系ネットワーク」のサーバーの機器の一部に不具合が発生しました。

「共有ディスク装置」と呼ばれる機器のうちの1台が故障し、もう1台への切り替えもうまくいかず、バックアップが効かなかったということです。その結果、不具合の影響は「注文売買系ネットワーク」に組み込まれている情報提供のシステムにも波及したということです。

このため、日経平均株価や個別銘柄の株価、それに売買の成立状況など、投資家にとって重要な情報を配信できなくなりました。

東証では、トラブルがあった「共有ディスク装置」を交換する作業を行い、2日、株式の売買を再開させるということです。

東証は、取り引き全体のシステムである「アローヘッド」を2010年1月に導入し、去年11月に刷新したばかりで、なぜ不具合が発生し、バックアップも効かなかったのか、システムを開発した「富士通」とともに調べています。

東証 過去にもたびたびトラブル

東京証券取引所では、これまでも取り引き停止などのトラブルがたびたび起きています。

2006年1月には、ライブドア事件の影響で取り引き量が急増し、システムの処理能力の限界近くに達したことから、午後になって売買を全面的に停止しました。

2005年11月には株式などの売買システムにトラブルが発生して注文を受け付けることができなくなり、3時間にわたって全面的に取り引きが停止する事態が起きています。

最近では、2018年10月に証券会社から注文を受け付けるシステムの4つの系統のうち1つで障害が起き、一部の証券会社で株式やETF=上場投資信託などの売買ができなくなりました。

名古屋証券取引所でも取り引き停止

東京証券取引所のシステムトラブルを受け、名古屋証券取引所でもすべての銘柄の取り引きが停止しています。

今のところ復旧のめどは立っていないということです。

東京証券取引所で、1日午前9時前に発生した株価などの情報を配信するシステムのトラブルを受け、名古屋市にある名古屋証券取引所でも、すべての銘柄で取り引きが停止し、売買の注文が受け付けられなくなっています。

名古屋証券取引所の売買監理室では、画面に株価が表示されておらず、担当者がパソコンに向かってシステムが復旧した際に速やかに取り引きを開始できるよう準備を進めていました。

名古屋証券取引所は、東京証券取引所と同じシステムを使って売買を行っていることから、単独で復旧することはできないということで、復旧のめどは立っていないということです。

名古屋証券取引所では、東京証券取引所と連絡を取りながら情報収集を進めているとしています。

札幌証券取引所でも取り引き停止

札幌証券取引所でも1日朝から、上場している銘柄の取り引きが停止しています。
停止を受けて、本来、取り引きが始まる午前9時をすぎても、札幌証券取引所の中に設置されたモニターの表示が更新されず、30日の株価の終値がそのまま表示されていました。

午前10時ごろには、札幌証券取引所の職員が投資家などに周知するため、モニターの画面に「売買停止中」と書かれた紙を貼り付けました。

札幌証券取引所によりますと、取り引きが停止したのは、おととし9月の北海道胆振東部地震以来で、午前9時すぎには証券会社や投資家からの問い合わせが殺到したということです。

札幌証券取引所は「投資の機会を逸することになり、投資家や会員企業などにご迷惑をおかけしています」とコメントしています。

大阪取引所は通常どおり

日経平均株価の先物などを取り扱っている大阪取引所では、影響はなく、通常どおり取り引きが行われています。

日本取引所グループ傘下にある大阪取引所は、日経平均株価の先物などデリバティブと呼ばれるさまざまな金融派生商品を扱っています。

けさ、東京証券取引所でシステムトラブルが発生し、すべての株式の取り引きが停止していますが、大阪取引所はシステムが異なっていることから影響はなく、通常どおりの取り引きが行われています。

大阪取引所にあるボードには東京証券取引所で取り引きされている日経平均株価も表示されていますが値動きはありません。

一方、大阪取引所で取り扱う先物価格の値はときおり動いて取り引きが行われている様子が見て取れます。

証券会社 顧客対応に追われる

証券会社では顧客からの問い合わせの対応に追われています。

東京 大手町のインターネット専門の証券会社では、取り引き停止が伝わった午前9時ごろから顧客から問い合わせの電話が相次いでいます。

問い合わせは午前9時からの1時間の間に、ふだんの7倍のおよそ700件に上ったということで、通常は別の業務にあたっているスタッフも動員し対応にあたっているということです。

顧客からは「いったいなにが起きているのか情報がほしい」とか「自分が持っている株を売りたいが、なんとかならないか」などといった問い合わせが多いということです。

auカブコム証券の小松圭一営業部長は「問い合わせをいただいても、情報がなくて答えられないことも多く、もどかしさを感じている。お客さまのためにも早く復旧してほしい」と話していました。

東京では「明日は動いてもらわないと困る」

1日午後、東京 八重洲で聞きました。

50代の会社経営者の男性は「売ろうと思っていた株があった。個人的にはそんなにダメージを受けたということはないが、出はなをくじかれた感じはする。さすがに明日は動いてもらわないと困るし、日本だけでなく世界も見ているだろうからマイナスに働かなければいい」と話していました。

70代の男性は「東証は取り引きの全面停止を前にもやっており、ちゃんとやらないとだめだ」と話していました。

60代の会社員の男性は「私のような、ささやかな個人投資家はほとんど影響はないが、この結果、あした、どういう値動きになるのか心配だ」と話していました。

官房長官「大変遺憾」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「マーケットの重要なインフラである取引所で、終日、取り引きが行われなくなるのは投資家の取り引きの機会の制限につながることであり大変遺憾だ」と述べました。

そのうえで「金融庁から、日本取引所グループと東証に対し、まずは、2日の取り引きの再開に向けた作業に全力を尽くすよう指示している。それと合わせて、金融庁で原因究明と再発防止などについて、しっかりとした検証がなされるべきだ」と述べました。

自民 下村政調会長「原因究明と説明を」

自民党の下村政務調査会長は「重要なインフラである取引所で取り引きが行えなくなり、投資家の取り引き機会が制限されたことは、誠に遺憾だ。金融や市場における『信用』は極めて重要であり、東京証券取引所および金融庁には、原因究明と市場に対する説明をしっかり行うよう求める」とするコメントを出しました。

日商 三村会頭「システムが脆弱だ」

日本商工会議所の三村会頭は、1日の定例会見で、「株式市場は、企業に対する資金供給を行うだけでなく、企業の活動を正当に評価する自由主義経済の根幹であり、心配している。1分でも早く再開することを強く願っている」と述べました。

そのうえで、「一般的に言うと、これだけの大きなトラブルがあったということは、システムが脆弱(ぜいじゃく)だということを示している。このようなことがないようしっかりとした体制を取ることもやらないといけない」として、再発防止に向けた体制づくりを求めました。

金融庁 報告求める方針

金融庁は東京証券取引所のシステムトラブルで、終日すべての銘柄の取り引きが停止したことを受けて、東証に対し2日以降、システムが復旧して取り引きの再開が確認され次第、再発防止の対応などの報告を求める報告徴求命令を出す方針です。

専門家「短期的な利益の逸失につながった」

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは、東証のトラブルが市場に与える影響について、「30日のニューヨーク株式市場でダウ平均株価が大きく値上がりしたことなどを受けてきょう通常どおりに取り引きが行われていれば一気に買い戻す動きになり株価が値上がりしていたのではないか。残念ながら取り引きができなくなり、日本株の売買の7割を占める海外の投資家を中心に短期的な利益の逸失につながったと指摘せざるをえない」と話しています。

そのうえで、中長期的な影響については、「海外の投資家から見ると、日本の市場は今、菅政権がさまざまな政策を打ち出す可能性が高く、景気浮揚も期待されている。取り引きの停止が長期間続けば日本株の評価や東京証券取引所のプレゼンスが低下することも考えられるが中長期的にみれば影響は限定的だ」と話しています。

また今回のトラブルに対する東京証券取引所の対応について藤戸氏は、「世界的にハッカーが暗躍している中で、デジタル対応を一段と進化させ、プランAがだめならプランBで対応するなど緊急危機対応の充実に注力していくべきだ」と指摘していました。

富士通「多大なご迷惑をおわび」

東証の基幹システムを手がける大手電機メーカーの富士通は「当社が納入したハードウエアに障害が生じ、多くの関係者に多大なご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。今後、東証と連携して再発防止に努めます」とコメントしています。

仏メディア「最悪の事故」

フランスのニュース専門チャンネル「フランス24」は「日本が20年以上前に取り引きを電子化して以降、最悪の事故となり、世界で3番目に大きな証券取引所に大混乱を引き起こした」と伝えました。

韓国KBS「異例の事態」

韓国の公共放送KBSは、「世界3位の規模の日本の東京証券取引所がシステム障害ですべての銘柄の取り引きを中断した」と伝えました。

そのうえで、「世界の主要株式市場の1つが、システム障害で終日、取り引きを中断したことは、極めて異例の事態だ」としています。

また、日本メディアを引用しながら、「復旧を急いでいるが、いつ取り引きが再開されるか分からない状況だ」と伝えています。