あすから入国制限緩和 関西空港は水際対策強化も閑散状況続く

あすから入国制限緩和 関西空港は水際対策強化も閑散状況続く
新型コロナウイルスの水際対策をめぐり、政府は10月1日から原則、全世界を対象に入国制限措置を緩和することになりました。
関西空港では検疫所が対策を強化していますが、国際線の発着は1日数便にとどまり、空港は閑散とした状況が続いています。
新型コロナ対策をめぐり、政府は10月1日から原則、全世界を対象に入国制限措置を緩和し、中長期の在留資格を持つ外国人には日本への新規の入国を順次認めることになりました。
関西空港の検疫所は、入国者の増加に対応するため今月新たに検査センターを設け、水際対策を強化しています。

1度に20人の唾液を採取し、4台の検査機器を使うことで、「抗原検査」の件数を今の4倍近い1日1800人にまで増やすとしています。

検疫所の担当者は「今後、入国者の増加が見込まれ、さらに検査体制を強化していきたい」と話しています。

関西空港では、韓国の大韓航空が今月ソウルへの臨時便を運航したほか、10月にも定期便を再開させたいとしていますが、こうした動きはごく一部で、感染拡大前には1日に200便以上あった国際線の発着は数便程度にとどまり、空港は閑散とした状況が続いています。

関西空港を運営する関西エアポートは、今は利用者が9割程度減っているものの、5年後の大阪・関西万博を見据え、予定どおり国際線の受け入れ能力を年間4000万人に拡大するリニューアル工事を今年度中に始めるとしています。

関西エアポートは「これまでの蓄えを使い、借金をしてでも予定どおり工事を行うことで需要の回復に備えたい」としています。

テナント店も閑散

国際線の運休や減便が続き、関西空港のターミナルビルではおよそ7割の店が「臨時休業」の貼り紙をしてシャッターを下ろしています。先行きが見通せないとして撤退を決めた店も複数あり、閑散とした状態が続いています。

関西空港第1ターミナルビルの2階と3階にはおよそ40の飲食店や土産物店がありますが、このうちおよそ7割が店を閉めたままで、シャッターには「臨時休業」などと書かれた紙が貼り出されています。

中には今後の回復が見込めないなどとして「撤退」を決めた店も少なくとも3店舗あることが分かりました。

このうち、26年前の空港の開港時から営業を続けてきた和食店は、1日の入国制限措置の緩和を待たず、30日で店を閉じることになりました。

この店によりますと、空港を運営する関西エアポートが家賃を減額する措置をとっていたということですが、客足が一向に戻らず、売り上げは去年の同じ時期の2%ほどに落ち込んでいて、先行きが見通せず閉店を決めたということです。

閉店を前にした29日、店長の佐藤昌博さんは、書類の整理や店の片づけを行っていました。

佐藤さんは「おととし9月の台風の時以外は1日も閉めたことがありませんでしたが、毎月の支払いが負担で閉店しなければならなくなりました。しかたないという思いと悔しいという思いが半々です」と話していました。

営業を続けている店も経営状況は厳しく、土産物のおもちゃを扱う店の店長、水口大輔さんは「6月と7月の売り上げは97%ダウンして悲惨な状況です。関西空港のすべての店がシャッターが閉めると暗いイメージになるので、そういう雰囲気を少しでも払拭(ふっしょく)しようと店を開け続けています」と話していました。