「Go Toトラベル」あすから東京発着旅行追加 注意すべき点は

「Go Toトラベル」あすから東京発着旅行追加 注意すべき点は
観光需要の喚起策「Go Toトラベル」は、10月1日から東京を発着する旅行が対象に加わります。
その前に、感染症の専門家に注意すべき点を聞きました。

食事

最も注意が必要なのは食事の席です。
長々と食べることはせず、なるべく互い違いに座って隣の人と間隔をあけてください。
食べるときは、あまり話をせず、食べ終わってからマスクをつけてゆっくり会話してください。
新幹線や飛行機の中での食事はできるだけ避けて、食べる場合、会話は控えましょう。

風呂

温泉などのお風呂でも感染リスクがあります。
とくに脱衣所で「3密」の状態にならないよう、混み合う時間を避けて入浴するなど気をつけてください。

高齢者

高齢者はとくに注意が必要です。
同居する家族以外の若い世代と旅行に行くことはリスクが高いとされています。
離れた場所で暮らす子どもや孫と旅行に出かけたいという方もなるべく控えるよう呼びかけています。

専門家の話

東京医科大学病院渡航者医療センターの濱田篤郎教授は「旅行による人の移動は感染リスクにつながるということを頭に入れておく必要がある。旅行者が十分自覚を持って感染防止の対策をとるほか、旅行者を受け入れる宿泊施設や観光地、交通機関も徹底した感染防止の対策をとることが必要だ」と指摘しています。

また、国際医療福祉大学の松本哲哉教授は「感染者の数は順調に減り続けるということにはならず、増減を繰り返すだろう。感染者の推移には注意が必要で一定の人数まで増えたらキャンペーンの取りやめも決断するなど柔軟に対応するべきだ」と話しています。

また、多くの旅行者が訪れる沖縄県の衛生環境研究所の国吉秀樹所長は「東京が対象に加わることで、来県する人は増えると想定しているが、人の移動を止めることはできない」としたうえで、沖縄へ旅行に来る人に対して、「旅先で発熱などの症状がみられたら、外を出歩かないなど自覚を持って危険な行動を控え、各地域の相談窓口に電話してほしい」と呼びかけています。

「完全非接触」宿泊をアピール

山梨県の古民家を活用した宿泊施設では、利用客が従業員と接触することなく宿泊できるサービスをアピールして東京からの客を呼び込みたいとしています。

山梨県山梨市に今月オープンした宿泊施設は築105年の古民家をリノベーションしたもので、1日1組限定で客を受け入れています。

この施設では、新型コロナウイルスの感染対策を重視する人に利用してもらいたいと宿泊中「完全非接触」で完結するサービスを行っています。

事前に伝えてあるチェックイン時間に合わせて入り口が解錠され、中に置いてあるタブレットのアプリ経由でチェックインを行います。

分からないことや困ったことがあれば、テレビ電話やチャット機能で施設のスタッフとやり取りができるということです。

また、食事の提供も非接触で行います。

事前に大型の冷蔵庫に夕食と朝食を用意して、宿泊者は冷蔵庫から自分で食材を取り出し施設内のいろりで調理を行うなどして食事をとります。

この宿泊施設を始めた会社がこれまで運営してきた山梨県内の2つの古民家も、先月から完全非接触のサービスを始めていて、売り上げは去年の同じ月と比べておよそ15%増えたということです。

これらの施設では東京からの客が全体の6割を占めているということで運営会社の保要佳江社長は「『Go Toトラベル』への東京追加で客がさらに増えると想定しています。かなりありがたいと思っています」と話しています。

リニューアルの温泉旅館も期待

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて大規模なリニューアルを行った山梨県の温泉旅館は、10月1日から東京も対象に加わる「Go Toトラベル」に期待を寄せています。

山梨県笛吹市の石和温泉にある旅館は、これまで利用客の多くを占めていた外国人旅行者と国内の団体客の回復は見込めないと考え、客のターゲットを過剰なサービスを求めない「若い個人客」に切り替えて大規模なリニューアルを行いました。

温泉旅館につきものの食事用の畳の大広間は、仕切りがついた4人掛けのテーブル席に変更したほか、客室にはベッドを設置して従業員が布団を用意するのをやめました。

また、これまで従業員が部屋に用意していた歯ブラシやかみそりなどのアメニティーグッズは、すべて客本人が選んで持って行く方式に改めました。

旅館の運営会社の小林豪社長は「感染対策をしっかり行えば、私たちのような小規模な旅館でも恩恵を受けられると思う」と話しています。