米中対立 日本企業も影響表面化 半導体「キオクシア」上場延期

米中対立 日本企業も影響表面化 半導体「キオクシア」上場延期
米中対立が激しさを増す中で、アメリカ政府は中国のハイテク企業に対する規制を強化していて、中国の通信機器大手 ファーウェイに対してはアメリカの技術を活用して作る半導体を供給することを認めないとする規制を導入しました。

これによってアメリカ以外の企業も対応を迫られることが予想されていましたが日本企業でも大きな影響が表面化する事態となりました。

日本の半導体メーカー「キオクシア」 東証上場延期に

東芝から独立した半導体メーカー、キオクシアホールディングスは、9月28日、取締役会を開き、10月6日に予定していた東京証券取引所への株式の上場を当面、延期することを決めました。

キオクシアは記憶用の半導体、NAND型フラッシュメモリーの世界有数のメーカーで株式の時価総額は1兆5000億円程度を見込み、東証への新規上場ではことし最大になるとみられていました。

しかし、アメリカ政府が9月15日からファーウェイに対し、半導体の供給をとめるための規制を始めたことで主要な顧客であるファーウェイに半導体を出荷できなくなり事業の先行きに不透明感が強まっていることや、新型コロナウイルスの感染が再び拡大することへの懸念などから延期を決めたとしています。

今後はアメリカの規制への対応や市場の動向を見極めたうえで、上場の適切な時期を検討し、改めて判断するとしています。

アメリカのトランプ政権による中国企業を規制する動きは強まっていて今後、日本企業への影響も広がりそうです。

東芝 「残念だが、当社としてコメントする立場にない」

キオクシアホールディングスの株式を議決権ベースで40%余り保有する東芝は株式の売却を中止すると発表しました。

東芝は当初、キオクシアホールディングスの上場後に保有する株式を売却し、売却で得た資金の半分以上を東芝の株主への還元に充てる方針でした。

東芝は現状でもこの方針は変わらないとしたうえで、「上場延期は残念だが、キオクシアの判断であり、当社としてコメントする立場にない」としています。

官房長官「状況踏まえ対応検討」

加藤官房長官は、午後の記者会見で、「個別の民間企業の判断について政府として、ひとつひとつコメントするのは避けたい。例えば、アメリカのファーウェイ向け輸出規制のように、域外適用される独自の規制が、わが国の企業にとって、先端技術に関する事業を展開する環境を非常に不安定にしているといった声があることは承知している。そうした声や状況も踏まえて、適切な対応を検討していきたい」と述べました。

ファーウェイへの規制強化 企業への影響広がる

ファーウェイが日本企業から調達している半導体や電子部品などの金額は会社によりますと去年1年間でおよそ1兆1000億円に上ります。

ただアメリカ政府によるファーウェイへの規制が強まっていることで、日本メーカーが出荷を取りやめるなどの動きが相次いでいます。
このうち半導体大手のルネサスエレクトロニクスは通信規格5Gの基地局に使われる半導体をファーウェイ向けに出荷していましたが、アメリカ政府による規制強化を受けてすでに出荷をとめています。

ファーウェイ向けの半導体の売り上げが全体に占める割合は数%で、業績への影響は軽微だとしていますが、ファーウェイ以外の通信会社への営業を強化する方針です。
また東芝はデータの記録に使われるHDD=ハードディスクドライブをファーウェイのデータセンター向けに供給していました。

HDDは半導体ではなく、今後、規制の対象となるかどうかは今のところわかっていませんが、東芝としては15日以降、いったんファーウェイ向けの出荷をとめ、規制の動向を見極めるとしています。

アメリカによる中国企業への規制が厳しくなる中、日本企業にとっては事業の先行きが見通しにくく影響が広がっています。

専門家「日本企業 中国市場のウェイトを下げることも必要か」

アメリカ政府によるファーウェイへの規制強化など激化する米中の対立が日本企業に与える影響について、日本総合研究所の三浦有史上席主任研究員は「ファーウェイがスマートフォンをアメリカ市場向けに出荷できなくなることで、短期的には日本企業の業績が落ち込む可能性がある。今はファーウェイがやり玉にあがっているが、それ以外にも規制が広がる可能性はある。ハイテク分野で中国企業と取り引きのある日本企業は情報収集を徹底して、いろいろなリスクを想定しなければならない」と指摘しています。

そのうえで、三浦氏は「中長期的にみれば、アメリカのアップルや韓国のサムスン電子など、ほかのメーカーがシェアを伸ばしていくことが予想される。世界的なサプライチェーンからファーウェイを締め出す動きが強まるのであれば、日本企業として中国市場のウエイトを下げていくことも必要になるかもしれない。一方で、中国は市場規模と成長性で飛び抜けた存在なので、アメリカの規制強化を見越しながらも、中国から出て行くのではなく、中国市場でどう生き残るか、新しい戦略を打ち立てることが重要だ」と話しています。