児童養護施設などを離れ自立後の実態 初調査へ 厚生労働省

児童養護施設などを離れ自立後の実態 初調査へ 厚生労働省
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虐待などで親元を離れて暮らす子どもが児童養護施設などを離れ自立したあとに孤立するケースが少なくないと指摘されています。厚生労働省はどのような支援が必要なのかを検討するため、来月、初めての実態調査を行うことになりました。
厚生労働省によりますと、虐待や親の病気などで親元を離れ児童養護施設や里親家庭などで暮らす子どもは平成30年度、4万4000人余りにのぼっています。

児童福祉法のもと原則として18歳になると自立が求められますが、進学や就職で施設などを退所したあとに人間関係がうまくいかず、仕事が続かなかったり誰にも頼れずに孤立したりするケースが少なくないと指摘されています。

厚生労働省はどのような支援が必要なのかを検討するため、来月、初めての実態調査を行うことになりました。
調査は過去5年間に児童養護施設や里親家庭などを離れた15歳以上の人が対象でおよそ3万人に上ると見込まれています。

自立の前後にどのような支援を受けたかや、現在の暮らしで困っていること、それに必要だと思う支援などについてアンケートを行います。

また、全国の児童養護施設やファミリーホームなど1200か所余りと里親家庭にもアンケートを行い、子どもの自立に向けてどのような取り組みをしているか調べることにしています。

厚生労働省は、22歳まで施設などでの暮らしを継続したり、18歳で自立した場合も家賃や生活費を支援したりする制度を3年前に設けました。今回の実態調査でこの制度の利用状況などについても把握したいとしています。

厚生労働省は「どのような支援のニーズがあるのかを分析し、制度の充実につなげたい」としています。

都内の児童養護施設「生活安定するまで支援が必要」

東京 清瀬市の児童養護施設「子供の家」では、子どもたちが進学を諦めたり、転職を繰り返して生活に困窮したりしないよう、本人の希望に応じて22歳まで施設で暮らせることにしています。現在、11人が高校卒業後も施設での生活を続けています。

施設によりますと、18歳以降も施設などで暮らし続ける「措置延長」については、児童相談所が認めたうえで行うことになっています。

しかし、高校を卒業した子どもの「措置延長」を認めないケースがあったということで、施設の負担で新たな居住スペースを確保しなければならないことがあったといいます。

この児童養護施設では、施設側も本人も施設での暮らしを続けることが必要だと考えているのに児童相談所が「措置延長」を認めなかったことについては、児童虐待の増加を背景に、新たに入所する子どもが後を絶たないことがその背景にあるのではないかと話します。

また、22歳で施設を出たあとも支援を継続したいと思っても人手が足りないため、十分な支援ができないことに課題を感じています。

施設長の早川悟司さんは「虐待で新たに保護される子どもの対応で児童相談所も施設も手いっぱいとなり、長く支援することが難しいという現状がある。できるだけ時間をかけて段階的に自立していくことが非常に重要で、できれば生活が安定するまでは支援を継続する必要がある」と話しています。

高校卒業後も施設で暮らす男性は

ことし20歳になった男性は、幼い時から東京 清瀬市の「子供の家」で過ごし、去年、高校を卒業しましたが、現在も施設で暮らしています。

18歳で高校を卒業する際、自分の将来をイメージすることができず、施設を出ることに不安がありました。

まずは就職に必要なスキルを身につけようと、語学の専門学校に進学しましたが、授業になじめず、ことし3月にやめてしまったということです。

4月からは施設の紹介で、近くの特別養護老人ホームで非常勤職員として介護の仕事をしています。

正規職員になることや、運転免許をとることなど新たな目標もでき、少しずつお金をためて自立することを目指していて「就職のサポートをしてくれて次の居場所を見つけることができたのはとてもありがたかったです。それがなかったら、そのあとどうなっていたかわかりません。施設で暮らしていれば貯金もできるので、徐々に不安が消えてきて、施設を出たあとのこともイメージできるようになりました」と話していました。