菅首相 中国・習近平国家主席と電話会談「緊密連携で一致」

菅首相 中国・習近平国家主席と電話会談「緊密連携で一致」
菅総理大臣は、25日夜、中国の習近平国家主席と就任後初めて電話会談を行い、首脳間を含めた意思疎通が重要だと指摘し、緊密に連携していくことで一致しました。

一方、中国が「香港国家安全維持法」を施行したことを念頭に、地域や国際社会の関心が高い課題についても議論していきたいと伝えました。
菅総理大臣と中国の習近平国家主席との電話会談は、日本側からの申し出で、25日午後9時から、およそ30分間行われました。

この中で、習主席は、総理大臣就任への祝意を伝え、日本との関係を、発展させていきたいという考えを示しました。

これに対し、菅総理大臣は、「日中の安定した関係は、両国のみならず、地域と国際社会の平和と繁栄に不可欠であり、ともに責任を果たしたい」と応じました。

そのうえで、両首脳は、新型コロナウイルス対策で、さまざまなルートで連携するとともに、ビジネス関係者の往来の再開を早期に実現させるため、引き続き、協議していくことを確認しました。

一方、菅総理大臣は、沖縄県の尖閣諸島の周辺海域で中国海警局の船が領海侵入を繰り返していることを念頭に、東シナ海の情勢に懸念を示したほか、中国が、香港で反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」を施行したことを念頭に、「地域や国際社会の関心が高い課題についても議論していきたい」と伝えました。

最後に、菅総理大臣が「今後も、首脳間を含めて、ハイレベルで意思疎通を行っていくことが重要だ」と指摘したのに対し、習主席も賛意を示し、両首脳は緊密に連携していくことで一致しました。

このほか、拉致問題を含む北朝鮮への対応でも意見を交わした一方、習主席の日本訪問については、話題にならなかったということです。

習国家主席「新時代の関係構築努めたい」

中国外務省によりますと、習近平国家主席は菅総理大臣との電話会談で、「近年、両国関係は、双方の努力のもとで、正しい軌道に戻り、改善の勢いを保っている。中国は、日本の新しい政権とともに、歴史などの重大で敏感な問題を適切に処理し、政治的な相互信頼をたえまなく増進させ、新時代の関係の構築に努めていきたい」と強調したということです。

また、習主席は、新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず、両国の経済的な協力関係はかえって強まっていると指摘したうえで、「両国がともに、安定したサプライチェーンと、公平で開かれた貿易や投資の環境を維持し、協力関係をさらに高めたい」と述べたほか、中国として来年の東京オリンピックの成功を後押ししたいという考えも示したということです。

さらに、習主席は「中国と日本は、多国間主義を積極的に実践し、国連を中心とする国際秩序を断固として守るべきだ」とも述べ、自国第一主義を掲げるアメリカのトランプ政権を暗にけん制しました。

一方、中国外務省は、菅総理大臣が会談の中で、RCEP=東アジア地域包括的経済連携の年内の署名や、日中韓FTA=自由貿易協定の早期の交渉妥結に向けて、中国側と意思疎通を図りたいと述べたとしています。