阪神 糸原選手ら7人コロナ感染 球団本部長「会食原因と推察」

阪神 糸原選手ら7人コロナ感染 球団本部長「会食原因と推察」
プロ野球・阪神はキャプテンの糸原健斗選手など、選手5人とスタッフ2人の合わせて7人が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。阪神は急きょ選手の入れ替えを行い、神宮球場でのヤクルト対阪神の試合は予定どおり行われました。
阪神によりますと、今月20日まで1軍に帯同していた浜地真澄投手が軽い頭痛などを訴え、24日に検査を受けた結果、新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。

このため1軍と2軍の選手やスタッフ全員にPCR検査をしたところ、25日、新たにキャプテンの糸原選手と岩貞祐太投手、陽川尚将選手、馬場皐輔投手の4人と1軍のスタッフ2人の合わせて6人の感染が確認されたということです。

また今月19日に浜地投手などと一緒に食事をしていた岩崎優投手と小川一平投手が保健所から濃厚接触者と判定されました。

さらに球団は糸原選手などと会食していた福留孝介選手など合わせて4人について、独自に濃厚接触者として扱うことにしました。

阪神は急きょ、選手10人の1軍の出場選手登録を抹消して2軍から9人を昇格させ、神宮球場でのヤクルト対阪神の試合は午後6時から予定どおり行われました。

感染が確認された7人のうち、1軍のスタッフ1人にかぜのような症状があるものの、そのほかの6人には現時点で発熱や嗅覚の異常などの症状はみられないということです。
阪神で今回、感染が確認された7人のうち、馬場皐輔投手と浜地真澄投手は今月19日の中日戦のあと、名古屋市内の飲食店で濃厚接触者と判定された、岩崎優投手と小川一平投手の合わせて4人で会食していました。

浜地投手は翌20日まで1軍に帯同していましたが、出場選手登録を抹消された21日以降、軽い頭痛などが続き24日、新型コロナウイルスの検査を受けたところ、陽性と判定されました。

その後、1軍と2軍の選手やスタッフ全員にPCR検査を実施した結果、25日、新たに6人の感染が確認されたということです。

一方、25日、感染が確認された選手のうち、糸原健斗選手、岩貞祐太投手、陽川尚将選手と1軍のスタッフの4人は今月19日にほかの4人の選手と合わせて8人で、名古屋市内の飲食店を貸し切り、会食をしていたということで、このとき同席した福留孝介選手など4人について球団は独自に濃厚接触者として扱うことにしました。

阪神は名古屋と広島に遠征した時は、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を見ながら、指定した日に限って球団関係者や家族との外食を許可しているということです。

その際は個室に限定したうえで、人数は4人まで2時間程度という制限を設け、マスクの着用のほか手や指の消毒を指示していました。

中日「阪神選手との濃厚接触なし」

プロ野球・中日は、今月20日までの3連戦で対戦していた阪神から選手とスタッフ、合わせて7人が新型コロナウイルスに感染が確認されましたが、中日の選手などには感染が確認された阪神の選手の濃厚接触者はいないとしています。

また23日、今月、監督や選手、それにスタッフなど合わせて226人に行ったPCR検査の結果、全員の陰性が確認されたと発表しています。

中日では、これまでも試合後に球場のベンチなどの消毒を行っていて、今後も同様の対応を続けるとしています。

阪神 出場選手登録と抹消に関する特例 初適用

プロ野球・阪神は新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者が出たことを受け、ことし設けられた出場選手登録と抹消に関する特例を初めて適用し、試合前に急きょベンチ入りの選手を大幅に入れ替えました。

この特例は新型コロナウイルスによる影響を最小限に抑え、シーズンを最後まで休止することなく乗り切るために、今シーズンに限って、選手に感染やその疑いが生じた場合などに、柔軟に選手を入れ替えられるようにするルールです。

特例では感染やその疑いで1軍の出場選手登録を抹消された場合、通常の10日間を待たずに再び登録が可能となります。

ただし、再登録には感染していないことや体調が回復したことを証明するため、医師の所見や診断結果を添えて、所属するリーグ事務局に申請する必要があります。

また、抹消した選手の代わりに出場登録する選手を「代替選手」として指名することができ、その後、「代替選手」が抹消された場合も10日間を待たずに再登録できます。

阪神はこの特例を使って、感染が確認された糸原健斗選手や岩貞祐太投手、それに球団が独自に濃厚接触者として扱うことにした、福留孝介選手など合わせて10人の登録を抹消し、代替選手として能見篤史投手や藤浪晋太郎投手、上本博紀選手など9人を出場選手登録しました。

この特例が適用されたのは今回が初めてです。

一方、プロ野球の感染予防ガイドラインでは、感染者や濃厚接触者への対応を次のように定めています。

検査で陽性となり、かつ症状がある場合は、保健所の指示に従いながら発症日から10日間と、さらに症状が改善されてから72時間は入院または隔離するとしています。

発症日から10日間経過する前に症状が改善した場合は、そこから24時間が経過したあとに、2回の検査を24時間の間隔を空けて行い、陰性が確認されるまでは隔離が必要としています。

検査で陽性となっても症状がない場合は、検体を採取した日から10日間か、6日間経過したあとに2回の検査を24時間の間隔を空けて行い、陰性が確認されるまでは隔離が必要とし、保健所から濃厚接触者と認定された場合は保健所の指示に従いながら14日間、自宅待機するとしています。

12球団臨時実行委員会「120試合すべての開催目指す」

プロ野球・阪神で新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者が出たことを受け、12球団は、オンラインで25日午後、臨時の実行委員会を開きました。

25日午後2時半から開かれた会議では、阪神から、これまでの経過報告があったあと、25日夜のヤクルト対阪神の試合を神宮球場で予定どおり開催することを決め、保健所からの指示を受けながら、この先120試合すべての開催を目指すことを12球団で改めて確認したということです。

また、阪神戦を主催したヤクルトは、感染が確認された阪神の選手とスタッフ、球団が独自に濃厚接触者と扱った選手は、すでに全員が隔離されていること、ほかの1軍メンバーや監督、コーチ、スタッフに体調の異常を訴える人がいないことなどを理由に開催を決定したと説明しています。

そのうえで、ヤクルトは「主催者として、神宮球場の導線管理など、考えられるかぎりの感染対策を引き続き実施することによって、グラウンド上の感染は、十分に防止できると判断している」としています。

ファン「代わりに出場する選手はチャンス 前向きに頑張って」

甲子園球場の近くに住む50代の男性は「どこで、誰が新型コロナウイルスに感染してもおかしくないし、わたしたちも検査をしていないだけで感染しているかもしれない。選手たちの過失で感染したわけでなければ、しかたがない」と話していました。

また、70代の男性は「この時期に感染者が出てしまったことは残念だが、3か月遅れで開幕してここまでシーズンが進んでいるので、中断せずに最後までやってほしい」と話していました。

阪神ファンの50代の男性は「ニュースで阪神の選手が新型コロナウイルスに感染していると聞いて驚いた。選手も人間なので、しかたがないと思う。代わりに試合に出場する選手にとっては大きなチャンスになるので、前向きに頑張ってほしい」とエールを送っていました。

阪神球団本部長「会食が原因と推察できる」

今回の事態を受けて、阪神の谷本球団本部長が25日夜、オンラインで報道各社の取材に応じ、「プロ野球関係者やファンなどに心配をかけ、本当に申し訳ありません」と謝罪しました。

球団によりますと、浜地真澄投手と1軍スタッフ2人の合わせて3人が入院し、ほかの4人は、ホテルで待機しているということです。

また感染が確認された7人のうち6人はいずれも今月19日に遠征先の名古屋市内にある2か所の飲食店にわかれて会食をしていました。

谷本本部長は、「感染経路ははっきりしないが、会食が原因だろうと推察できる」と述べ、19日の会食で感染が広がったという認識を示しました。

また、阪神は名古屋と広島に遠征した時は、指定した日に限って選手の外食を許可していましたが個室に限定したうえで人数は4人まで、2時間程度という制限を設けていました。

しかし感染が発覚したグループの1つは8人で食事をしていました。

これについて、谷本本部長は「非常にゆゆしき事態だ。ただ、4人の会食でも陽性者が出ているので、会食を認めたのは、私の判断ミスだった」と述べ、今後、選手の外食などのルールを見直す考えを明らかにしました。