東京五輪 延期から半年 トップ選手 現役引退や断念相次ぐ

東京五輪 延期から半年 トップ選手 現役引退や断念相次ぐ
オリンピックを目指すトップ選手の中には、東京オリンピックの延期が決まった3月から半年の間に、現役を引退したりオリンピックを断念したりする選手が相次いでいます。
バドミントンでは前回のリオデジャネイロオリンピック、女子ダブルスで金メダルを獲得した高橋礼華選手が先月、現役引退を表明し、「あと1年、気持ちを持ち続けられるのか不安だった」と心境を語りました。

ほかにもバレーボールではロンドンオリンピックの銅メダル獲得に貢献し、東京オリンピックを目指す日本代表にも選ばれていた新鍋理沙選手、バスケットボールではリオデジャネイロオリンピックに出場した大崎佑圭選手、トランポリンでは北京オリンピックで4位に入賞した外村哲也選手がいずれも東京オリンピックの1年延期を受け、現役引退を決断しました。

また7人制ラグビーでは、去年のラグビーワールドカップで活躍した福岡堅樹選手が医師になるための進学を優先し東京オリンピックの出場を断念したほか、リオデジャネイロオリンピックで日本代表のキャプテンを務めた桑水流裕策選手も断念しました。

引退決めた“ママアスリート”「すごく残念」

バスケットボール女子の元日本代表、大崎佑圭選手(30)、旧姓、間宮佑圭選手はことし8月に自身のSNSで現役引退を表明しました。

大崎選手は1メートル85センチの長身を生かしたゴール下での得点力の高さを武器におよそ10年間にわたって日本代表の中心選手として活躍しました。

国際大会ではアジア選手権の3連覇やリオデジャネイロオリンピックのベスト8進出に貢献し、国内のWリーグではJXーENEOSの主力選手としておととしには10連覇を果たしました。

大崎選手は2016年に結婚し、2018年12月に長女の永稀ちゃんを出産。およそ2年間、競技を離れていましたが、東京オリンピックの代表入りを目指して現役に復帰し、ことし2月にベルギーで行われた国際大会で日本代表入りを果たしました。

バスケットボール界では日本代表を経験したトップ選手が出産後に競技に復帰するのは前例がないということで、大崎選手は挑戦の理由をこう話します。

「海外遠征に行くとコートサイドにベビーシッターの人と赤ちゃんが一緒にいるという光景を見てきた。日本でも出産したら競技を離れてしまうのではなく、出産しても戻ってこられる環境を作っていかないとだめだと思った。ひとりの母親としてチャレンジするのは絶対に意味のあることだ」

ただ、競技への復帰にあたって苦労したのが子どもの預け先の確保だったといいます。夫は会社員で毎日出勤し、同じ関東に住んでいる両親も働いているため日常的に支援を受けることはできません。

保育園を探しましたが空きがなかったため、1時間1000円ほどの費用がかかる一時保育の施設を1日6時間ほど週に5日利用しながら、練習に励みました。

さらに代表合宿や海外遠征の時には、およそ3週間にわたって香川県にある夫の実家に子どもを預けたということです。

そんなさなかのことし3月に東京オリンピックの延期が決定しました。大崎選手は30歳の選手として自身の体力や技術力を維持する大変さとともに、さらに1年間、子育てのサポート体制を整えることの難しさなどを考えて引退を決断したということです。

大崎選手は「もともと復帰を決意した時、半年という短いチャレンジであれば行けるだろうという判断だった。娘を抱えながらあと1年、オリンピックを目指すのは自分が望んだものではない。娘にも相当な負担をかけるし、娘の成長を見守ることができないのは後悔すると思った」と話しています。

引退を表明したSNSの中で「コロナがなければ今頃…と思うと、ぶつけ先のない悔しさが込み上げてきます」と胸の内を明かしていた大崎選手。

改めてその思いを問うと「東京オリンピックに出場していれば、世の中のお母さんたちに勇気を与えることができたかなと思うと、すごく残念。やるからには“ママアスリート”として何かしらの結果を残したいと思っていたので、中途半端に終わってしまったのは、『ちくしょー』というひとことですね」と悔しさを隠しませんでした。

そのうえで「うっすらだが、“ママアスリート”のスタートラインは引けたかなと思うので、後輩がその道を濃くしてどんどん進んでいってくれると挑戦してよかった」と話しました。

そして、「私はあきらめるという選択をしたが、走り続けなければいけない現役のアスリートは大変だし、つらいだろうなと思う。不透明な目標に向かっていくアスリートは本当に厳しいと思うので、延期が理由でやめた身としてはことばをかけることすらできないというのが正直なところです」と現在も東京オリンピックを目指し努力しているアスリートたちを思いやりました。