相次ぐ台風 “満員”の避難所… リアルタイムで密を把握!

相次ぐ台風 “満員”の避難所… リアルタイムで密を把握!
コロナ禍でも次々にやってくる台風。最大級の警戒が呼びかけられた台風10号では「避難所は満員で入れなかった」「別の避難所に移動した」という声も聞かれました。「これからはどう避難すればいいの…」と思う人も多いかもしれませんが、この台風10号のさなか、住民に“ベスト”な避難の判断を促すため、新たな取り組みを導入していた自治体がありました。どんな取り組みなのか、広がっていきそうなのか、取材しました。(宮崎放送局記者 横山翔太)

「受入不可」の貼り紙

まず、台風が接近していた9月6日午後の宮崎市の様子を振り返ります。

市内の避難所に行くと、入り口には「受入不可」の文字。

この日の朝、避難所が開設されると避難する人が殺到し、市は急きょロビーにブルーシートを敷くなど対応に追われていました。

しかし、開設から2時間余りで定員を超えて受け入れができなくなり、他の避難所に移動してもらう事態に陥ったのです。
宮崎市大淀地域事務所 安藤邦恵所長
「正直、想定以上の人たちが避難して来られ、驚きました」
宮崎市内で満員になった避難所は21か所。
実に全体の2割にのぼりました。事前に最大級の警戒が呼びかけられたうえ、密を防ぐため避難所の定員が半分になっていたのです。

NHKの取材では、台風10号の際に満員となった避難所は、宮崎県内で14の市と町の62か所にのぼっていたことがわかりました。

混雑をリアルタイムで

コロナ禍で起きた今回の問題。

しかし実は、宮崎県内にこうした事態を見越して避難所の混雑状況をリアルタイムで伝えていた自治体がありました。

日南市です。
今回、各避難所の定員を3分の2に減らした日南市。“分散避難”を見越して、ことし8月からあるシステムを導入していました。

避難所にいる職員が、最新の避難状況について、定員に達している「満」、「混雑」「空いている」などの4段階で打ち込むと…。
情報はマップ上に反映され、混雑状況が一目で分かります。マップは、メールやLINEなどで受け取ったURLからいつでも確認することができます。市は、レストランなどの混雑状況の配信サービスを手がける東京のIT企業と提携。今回の台風10号で初めてこのシステムを使いました。

避難所に行かない判断も

この情報を活用して、混雑する避難所を避けた小田博子さんです。

自宅近くに小さな川がありますが、当時、水位は低く、すぐに避難が必要とは考えていませんでした。しかしその後、雨風が強まる中、小学生と中学生の子ども2人を連れて避難するか、考え始めたといいます。
そのとき小田さんの頭をよぎったのが、密になりやすい避難所での新型コロナウイルスの感染リスクでした。

混雑状況はどうなのか…。

小田さんはスマートフォンで避難所の状況を確認しました。
小田さん
「もともと行こうと思っていた避難所は『混雑』で、行くならほかの避難所かなと…。でも風が強かったし、家にいるのと今から出かけるのでは出かける方が危ないと思いました」
小田さんは“自宅での避難”を決めました。
小田さんは、雨戸を閉めて2、3日分の食料と水を準備。
家の中でできる対策を取り、2人の子どもとリビングで一晩を過ごしました。
小田さん
「前もって避難所の混雑状況を知らなければ、あの風の中、見に行っていました。危ない思いをしていたと思います」

避難の“道しるべ”に

日南市によりますと、今回の台風ではおよそ1万件のアクセスがあり、システムが有効に活用されたとみています。
和田課長
「コロナ禍において市民の皆さんがどこに避難すればいいのか、その道しるべとなるように導入しました。リアルタイムで混雑状況を見て空きがある避難所に避難したということもあったと思います」
9月中旬、改めて日南市に話を聞くと、このシステムについての問い合わせは、東北から九州までの自治体などから合わせて10件以上相次いでいるということでした。

災害や避難の問題に詳しい宮崎大学の原田隆典名誉教授は、こうしたリアルタイムでの情報提供は今後も求められていくと指摘しています。
原田名誉教授
「雨風が強い状況で、避難所が満員だから別の避難所に移動するというのは危険です。どの避難所に、どのくらい避難している人がいるかをどう住民にリアルタイムで知らせていくか、今後も課題になると思います」
まだまだ台風シーズンが続くなか、密を防ぎながらいかに安全な避難行動につなげるか。

日南市の取り組みは今後の対策に向けた1つのヒントとなりそうです。