新型コロナ 欧州で感染拡大傾向 政府や自治体 対応に追われる

新型コロナ 欧州で感染拡大傾向 政府や自治体 対応に追われる
ヨーロッパでは、各国で新型コロナウイルスの感染が再び広がる傾向にあり、政府や自治体が対応に追われています。
このうち、1日の感染者数が4000人を超えているスペインでは、首都があるマドリード州が、週明けの21日から首都の南部を中心に一部の地区を封鎖し、仕事など、やむを得ない理由を除いて住民の出入りを原則禁止すると発表しました。

またフランスでは18日、1日の感染者の数が1万3000人を超え、地中海に面した南部のニースで10人以上が集まることや、午後8時以降の酒の販売が禁止されるなど、各地で感染防止策が強化されています。

感染は、イギリスでも急速に拡大していて、18日は1日の感染者数が4300人を超えました。

ジョンソン首相は「フランスやスペインなどと同様、イギリスも感染の再拡大は避けられない状況だ」と述べ、対策の強化を図る考えを強調しました。

イギリスでは、ロンドンがあるイングランドで今月14日から7人以上集まることが禁止されるなど、地域ごとに対策が取られています。

ただ、ジョンソン首相は、ことしの春に導入した全国的な厳しい外出制限については、教育や経済への影響が大きいとして、否定的な考えを示しました。

仏 経済相が新型コロナに感染

フランスで新型コロナウイルスの感染が再び広がる中、ルメール経済相が、18日、みずからのツイッターで感染を明らかにしました。

症状はなく、自宅で7日間の自主隔離をしながら仕事を続けるとしています。

フランスで閣僚の感染が確認されるのは、ことし3月の当時のリエステール文化相以来です。

イタリアやフランスでは…

イタリアでは、今月2日から12日にかけて世界3大映画祭の1つ、ベネチア国際映画祭が開催されました。

参加者には、マスクの着用が義務づけられ、映画の上映会場は収容人数が大幅に絞られました。

開催に踏み切ったことについて主催者側は、主要な映画祭が次々と中止に追い込まれ、深刻な打撃を受ける映画産業への支援を呼びかける側面もあったとしています。

また、フランスでも自転車ロードレースの最高峰で国民的な人気のあるツールドフランスが先月29日から始まりました。

スタート地点やゴール地点の観客の人数を制限したり、選手への接触を禁止したりするなどの対策を取り入れて今月20日まで行われます。

さらに今月27日から来月11日にかけては、テニスの全仏オープンが、観客の人数を5000人に絞って開かれる予定です。

一方で、参加者の数が世界最大規模のパリマラソンは中止となりました。

毎年4月に開催されるパリマラソンは、新型コロナウイルスの影響で11月に延期されていましたが、主催者は海外からのランナーの参加が難しくなっているとして中止を決めたとしています。

ドイツでは…

ドイツでは、イベントや友人どうしの集まり、それに夏のバカンスで人の移動が増えたことなどから1日当たりの新たな感染者の数が、ここ最近は2000人前後にまで増える日が出ています。

大規模なイベントについては、感染対策をとるのが難しいものは、少なくともことし12月末まで禁止するとしたうえで、州ごとにイベントの参加人数に上限を設けるなどして対応しています。

このうち首都ベルリンでは、5000人を超える人が集まるイベントが禁止されたことを受けて、今月27日に開催予定だった「ベルリンマラソン」が中止となっています。

また世界最大のビール祭りとして知られ、例年600万人が訪れるオクトーバーフェストは、今月19日から来月4日まで、南部ミュンヘンで開催される予定でしたが中止されました。

ビール醸造者の連盟の代表、ヨルク・レーマン氏は「期間中はおよそ700万リットルのビールを販売してきましたが、その機会が失われました。ミュンヘン市民のオクトーバーフェストに対する思いには特別なものがあり、町は今、悲しみにあふれています」と話していました。

一方、世界最高峰のオーケストラの1つ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、新型コロナウイルスの影響でことし3月から公演ができない状況が続いていましたが、先月下旬に公演を再開しました。

本拠地のベルリン市内のコンサートホールでは、大ホールの収容人数が2000人を超えますが、着席できる座席は4分の1ほどに減らし、公演のプログラムも休憩時間をとらずに、最大1時間半までに短縮しているということです。

ベルリンでは現在、屋内のイベントに参加できるのは750人までで、来月1日からは1000人まで認められるようになる見通しです。

アメリカやカナダでは…

アメリカとカナダのいわゆる4大プロスポーツは、NFL=アメリカプロフットボールリーグの一部のチームを除いて試合はすべて無観客で行われています。

ことし7月に4か月遅れで開幕した大リーグや、7月末から8月にかけてシーズンを再開したNBA=アメリカプロバスケットボールと、NHL=北米プロアイスホッケーリーグは、すべて無観客で試合を開催しています。

一方、NFLではチームが希望し、各州の保健当局が認めた場合は、観客数を制限したうえで、試合が行われる予定です。

今月10日に行われたチーフスとテキサンズの開幕戦では、スタジアムの収容人数の22%に当たるおよそ1万7000人が試合を観戦しましたが、観客を入れると表明しているのは、現時点で全32チーム中6チームです。

また、ミュージカルなどの劇場は、都市部を中心に依然、多くの州で閉鎖されているのが現状で、このうち、ニューヨークのブロードウェイでは40を超える劇場すべてが、すでに年内の公演中止を決めています。

一方、中西部サウスダコタ州で、先月開かれたオートバイの愛好家が集まるイベントでは、主に屋外でしたが、地元メディアの報道では50万人近くが集まり、そのあと、いわゆるクラスター、集団感染が起きたとも伝えられています。