中止や延期が相次ぐマラソン大会 この先どうなるの?

中止や延期が相次ぐマラソン大会 この先どうなるの?
一般ランナーの参加が取りやめとなった東京マラソンから半年がすぎましたが、いまも各地で、大会の中止や延期が続いています。「軒並み中止でたまらんなー」「すっかりモチベーション無くして練習もさぼり気味」市民ランナーからは嘆きの声も。マラソン大会はこの先、どうなっていくのでしょうか。
(ネットワーク報道部記者・小宮理沙、成田大輔、馬渕安代)

走れなかった東京マラソン

マラソン大会の自粛の流れを大きく決定づけたのが、ことし3月1日に行われた東京マラソンです。およそ3万8000人の出場が予定されていた国内最大規模の市民マラソンは、大会の2週間前、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、急きょ、一般ランナーの参加が見送られました。

私(成田)もたまたま当選し、初めてのマラソン大会となるはずでした。
世界中からランナーが集う東京マラソンの抽せん倍率はおよそ11倍。参加するはずだったランナーには、2021年か2022年の大会にエントリーできる権利が与えられることになりました。

でもその後、新型コロナウイルスが終息する気配はありません。大会側から参加者に送られたメールにはことし5月中旬を期限に2021年と2022年のどちらの大会に参加したいかを選んでほしいと書かれていました。

その期限は7月に延期になり、さらに8月に延期となり…。

来年の大会は今のところ3月7日の開催予定となっていますが、大会側は、政府のイベントの開催制限の緩和の見通しなどを踏まえて、10月上旬をめどに大会の具体的な内容を決めたいとしています。

果たして、来年の大会に市民ランナーは参加できるのでしょうか。

全国で相次ぐ 大会の中止

9月に入ってからもマラソン大会の中止が相次いで発表されています。
▽高知県の高知龍馬マラソン、
▽福島県のいわきサンシャインマラソン、
▽石川県の加賀温泉郷マラソン。

いずれも来年2月以降に開催される大会ですが、参加者の安全の確保が難しいなどと中止を決断しました。

ランナーの悲痛な声 ネットにあふれる

「辛すぎる。コロナが憎い…」
「もう先が見えない。このスパイラルはいつ止まるのか」
「市民ランナー走れる大会もうなくなるかも…とか思ったりするけど走るのやめない」
ネットには市民ランナーの悲痛な声があふれています。

世界初のマイボトル大会?

新型コロナウイルスの感染拡大で大型のマラソン大会が相次いで中止となるなか、独自の感染対策を打ち出して来年2月の開催を目指すのが湘南国際マラソンです。
湘南国際マラソンは、例年に比べると参加者をおよそ3割減らしたものの募集人数は1万8000人と感染拡大以降、初めて開催される大型の大会でランナーから熱い注目が集まっています。

新たに設けた参加条件は、400ミリリットル以上の水やスポーツドリンクが入るマイボトルを携帯して走ること。

給水所で人の密集や接触を避けるのがねらいです。
マイボトルの中身が無くなってしまった時は、水やスポーツドリンクなどが補給できるよう、従来は13か所だった給水所を500か所以上に増やしたほか、およそ80メートルの間隔を空けて給水器を設置します。

スタートは時間差で

大会で最も注意が必要なのが、人が密集するスタート地点です。ランナー全員が一斉にスタートすると、走り始めるまでにどうしても長い列ができてしまいます。

このため、拡大の状況に応じて、走る距離とスタートの時間幅を設けて密集を避ける工夫をしました。
感染の拡大に応じて、走る距離を35キロ、30キロと短くしてスタートの時間差を作ります。最も短い距離は20キロで、この場合は、スタートの時間幅を4時間に設定し、この時間内に時間差を設けすべてのランナーをスタートさせます。記録は、それぞれのランナーがスタートしてからゴールまでの間でタイムを測定します。

新型コロナウイルスが収束してフルマラソンができる場合は、30分の間にランナーをスタートさせる仕組みです。

湘南国際マラソンは9月19日から市民ランナーのエントリーを受け付けることにしていますが、予定どおり開催するかどうか、12月に感染の状況を見て改めて判断したいとしています。
大会事務局 久留主忍さん
「最終的には12月時点での判断となりますが、いまは開催する方向で最大限努力しています。マイボトル、マイカップを持参して走る世界で最初のランナーになりましょう」

オンラインでマラソンも

一方、ランナーが大会で集まることなく、スマートフォンのアプリで自分の好きなルートで好きな時間に走る「オンラインマラソン」の大会も広がっています。
毎年、全国からおよそ3万人のランナーが応募する金沢マラソンは、新型コロナウイルスの感染拡大で10月25日に予定していた大会を中止。

それでも、ランナーの期待に応えたいと、初めてオンライン形式で大会を開くことにしました。

好きな場所で好きな時に

参加するランナーは、会場に集まるのではなく、「TATTA」というスマートフォンの専用アプリを導入してもらい、走った距離をGPSで測定します。
大会期間中の10月10日から11月10日の間に、42.195キロを走れば、大会で完走したことになります。ほかの参加者とタイムを競うことはできませんが、世界中どこでも自分の好きなルートで好きな時間に複数回に分けて走ることもできます。

大会事務局によりますと、先月(8月)26日に参加者の募集を始めたところ、5000人の枠がわずか2時間半で埋まったうえ、さらに問い合わせが相次ぎ、急きょ2000人を追加で募集することにしました。
大会事務局 浅野成貞さん
「初めての形式で最初は参加者が集まるか不安でしたが予想を上回る反響に驚いています」
オンライン形式の大会は、富士山マラソンや長野マラソンなど多くの大会で導入され、全国に広がっています。

海外では対策講じて開催も

海外では感染が広がりつつあっても必要な対策を講じたうえで、開催に踏み切るケースもみられます。

世界中で感染が拡大し始めた3月、アメリカ西海岸で開かれたのは、ロサンゼルスマラソンです。
アメリカ政府が全土を対象に公衆衛生上の緊急事態を宣言していたほか、大会の数日前には、地元の当局も感染拡大への懸念を表明したばかりでしたが大会の開催を決めました。

参加者に徹底したのは、レースの前に手を洗うことやほかの参加者と握手をしないことです。そして、応援の観客どうしは少なくとも1.82メートルの距離を保つほか、食べ物や飲み物を共有しないよう呼びかけました。

また、11月上旬に予定されているギリシャのアテネマラソンでもランナーを2つのグループに分けて、スタートを1時間ずらすなどして開催することにしています。

増田明美さんに聞いてみた

日本の市民マラソンはこの先、どうなっていくのでしょうか。
スポーツジャーナリストの増田明美さんに聞きました。
増田さんによりますと日本は海外に比べて自治体が主催する大会が多く、関係者やボランティアに高齢者が多いことに加えて、大会が中止になった場合に参加料を返金できなくなると申し訳ないという思いから、開催を見送るケースもみられるということです。

ところが増田さんは、感染症対策をきちんと取ったうえで守りではなく、攻めの姿勢で、どうすれば開催できるか工夫をこらしてほしいと指摘しています。
増田明美さん
「スタート時間をずらしたり、更衣室やトイレが混雑しないようにするなどいわゆる“密”にならない工夫はいろいろできます。リスクはなくならないので感染症対策を徹底して“ウィズコロナ”で共存しながら大会を運営していくことが大切です」
最後に増田さんになかなか大会に出られない市民ランナーに向けたメッセージをいただきました。
増田明美さん
「アスリートも大会に出られない期間が長かったですが、いざ競技になると世界記録がたくさん出ています。試合がないと嘆くのではなく、次の大会に向けた時間がたくさんできた、自分が強くなるチャンスだと捉えて、試合に出られない枯渇感を次の大会で爆発させてほしい」