ジャパンライフ元会長ら詐欺容疑で逮捕へ 被害総額2000億円か

ジャパンライフ元会長ら詐欺容疑で逮捕へ 被害総額2000億円か
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磁気治療器のオーナー商法などで多額の資金を集め、経営破綻した「ジャパンライフ」について、警視庁は配当の見込みがないのに顧客を勧誘して出資金をだまし取ったなどとして元会長らを18日にも詐欺の疑いで逮捕する方針を固めました。被害総額はおよそ2000億円に上るということで、警視庁が実態解明を進めています。
詐欺などの疑いが持たれているのは、経営破綻した健康器具販売会社「ジャパンライフ」の山口隆祥元会長(78)ら男女合わせて10数人です。

捜査関係者によりますと、山口元会長らは会社が大幅な債務超過に陥り配当の見込みがないのに、顧客を勧誘して出資金をだまし取った疑いなどがあるということです。

「ジャパンライフ」は、高いもので数百万円する磁気治療器のオーナーになれば、そのレンタル収入によって年に6%の高い配当金を得られるとうたい、高齢者を中心に出資を募っていました。

しかし、多額の負債があることを隠して顧客と契約を結んでいたことなどが次々と明らかになり、消費者庁が4回にわたって業務の一部停止命令を出す異例の事態となりました。

警視庁は去年、全国のおよそ30か所の関係先を捜索し、捜査を進めてきましたが、関係者によりますと、18日にも山口元会長らを逮捕する方針を固めたということです。

契約を結んだ人は全国でおよそ7000人、被害総額はおよそ2000億円に上るということで、警視庁は集めた多額の資金の流れなどの実態解明を進めています。

ジャパンライフとは

「ジャパンライフ」は1975年に設立された健康器具販売会社で、高い配当金をうたって多額の資金を集めるいわゆる「オーナー商法」を行い、経営破綻する直前には全国に80の店舗を展開していました。

具体的には、ベストやネックレスに磁石を埋め込んだものを「磁気治療器」と名付け、そのオーナーになれば元本が保証される上、レンタル収入によって年に6%の配当金を得られるとして、高齢者を中心に全国から出資を募っていました。

その後、違法な訪問販売や多額の負債があることを隠して顧客と契約を結んでいたことなどが次々と明らかになり、消費者庁が4回にわたって業務の一部停止命令を出しましたが、そのたびに契約の名目を変えて規制をすり抜け、営業を続けてきました。

しかし、3年前の2017年12月、資金繰りに行き詰まって銀行取引が停止。

東京地方裁判所はおととし、ジャパンライフの破産手続きを開始する決定を行い、現在、破産管財人の弁護士が会社の資産の調査などを進めています。

被害額 1人あたりの平均で2800万円

被害者側の弁護団などによりますと、ジャパンライフによる「オーナー商法」の被害総額は全国で合わせておよそ2000億円に上り、オーナー商法の被害額としては2011年に経営破綻した「安愚楽牧場」のおよそ4200億円に次いで過去2番目の規模とみられるということです。

また、被害者は高齢者を中心に全国でおよそ7000人に上り、1人あたりの被害額は平均で2800万円となっています。

弁護団は被害の救済に取り組んでいて、ジャパンライフ側が不動産の売却などを進めていますが、今のところ税金の未納分などにも及ばず、集めた資金の大半は回収できる見通しが立っていないということです。

ジャパンライフをはじめとする「オーナー商法」の被害が相次いでいることを受けて、消費者庁の検討委員会は先月、オーナー商法を預託法で原則禁止にした上で、違反した事業者には罰則を設けるなど抜本的な見直しが必要だとする報告書をまとめています。

“山口元会長に強く勧められ” 約1億円出資した人も

「ジャパンライフ」の被害者の中には、全財産にあたるおよそ1億円を出資したという人もいます。

埼玉県川越市に住む小松幸男さん(75)は10年ほど前、知人に紹介されてジャパンライフへの出資を始めました。

元本が保証される上、毎月配当が支払われるといううたい文句に当初は疑問を感じたということですが、セミナーなどで山口元会長から出資を強く勧められたほか、実際に配当が振り込まれたことなどから信用してしまったということです。

小松さんの出資額はしだいに膨らみ、10代から貯めていた定期預金などを含む全財産、およそ1億円に上りました。

ところが、2017年11月ごろから突然、配当が滞るようになり、担当者に問い合わせても「大丈夫です」と話すだけで理由などの説明は一切なかったということです。

ジャパンライフはそのまま経営破綻し、出資したおよそ1億円は今も戻ってこないということです。

ショックから体調を崩したという小松さんは「配当の支払いが続いていたことや、山口元会長の『絶対、大丈夫』という言葉を信じた自分が今考えればバカだった。山口元会長には本当のことを話してもらい、老後のために貯めたお金を少しでも返してほしい」と話しています。

“「桜を見る会」の招待状が印刷された資料を示し勧誘”

被害者側の弁護団などによりますと、「ジャパンライフ」は2015年に当時の山口隆祥会長に届いた「桜を見る会」の招待状が印刷された資料をセミナーなどで示し、顧客を勧誘していたということです。

この資料には「内閣総理大臣から山口会長に『桜を見る会』のご招待状が届きました」などと書かれ、当時の安倍総理大臣の顔写真や山口会長宛ての招待状、それに受付票の写真が印刷されています。

これについて被害者側の弁護団は「相談者の中には、セミナーで『桜を見る会』の資料を見せられ『安倍総理大臣から招待されているなら』とジャパンライフのことを信用したという人もいた。招待状が顧客を信用させる材料に使われており、政府の責任は重大だ」と指摘しています。

また、この招待状をめぐっては、受付票の番号から当時、安倍総理大臣が招待した疑いがあるとして、野党側が国会で追及しました。

これに対し、安倍総理大臣は去年12月の参議院本会議で「山口氏とは1対1のような形で会ったことはなく、個人的な関係は一切ない」などと述べていました。

山口元会長 NHKの取材に「答えられない」

NHKはことし2月、「ジャパンライフ」の山口隆祥元会長に東京都内の自宅前で直接、取材しました。

その際、山口元会長は「心臓の手術をして体調が優れないので、今は取材に答えられない」として、事件の内容については語りませんでした。

一方、会長だった当時に届いた「桜を見る会」の招待状が印刷された資料が顧客の勧誘に使われていたと被害者側の弁護団が指摘している点については「セミナーなどでプロジェクターに映して紹介したことはある」と話し、招待状を勧誘に使っていたことを認めました。

ただ、「桜を見る会」に招かれた具体的な経緯については「昔のことなので覚えていない」と述べるにとどまりました。