東京都の感染状況「急速な増加が強く危惧される」専門家分析

東京都の感染状況「急速な増加が強く危惧される」専門家分析
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東京都内の新型コロナウイルスの感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」が開かれ、専門家は、感染状況の警戒のレベルについて上から2番目の表現を維持したものの、新たな感染の確認や感染経路が分からない人の割合が増加に転じているとして、今後、感染の急速な増加が強く危惧される状況にあると分析しました。
会議の中で国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、都内の感染状況について「感染の再拡大に警戒が必要であると思われる」と評価しました。

これは、4段階ある警戒のレベルのうち上から2番目の表現で、先週と同じです。

ただ、新たな感染の確認が16日までの7日間の平均でおよそ181人と、前の週のおよそ149人から増加に転じたとして、さらに増加傾向が続くことへの厳重な警戒が必要だと指摘しました。

さらに、新たに感染が確認された人のうち感染経路が分からない人の割合がおよそ1か月ぶりに増加に転じていることから、今後、感染の急速な増加が強く危惧される状況にあると分析しました。

このほか、会食で感染した人が67人と前の週の41人から増加していることについて、23区内での営業時間短縮の要請が終了したことに伴って友人や同僚などとの会食の機会が増えるとして、いわゆる「3密」の回避など対策の徹底が重要だと指摘しました。

一方、医療提供体制について、医療機関への負担が長期化しているなどとして「体制強化が必要であると思われる」という、4段階あるレベルのうち上から2番目の表現を11週連続で維持しました。

そのうえで、東京都医師会の猪口正孝副会長は「医療機関は一息つくことがないまま、次のインフルエンザへの対応を迫られる状態になったことがほぼ確定したのではないか」と指摘しました。

専門家「増加か並行的推移か 見極められる状況ではない」

17日のモニタリング会議で、都内の感染状況が先週から変わらず、上から2番目の表現を維持したことについて、会議に出席した東京都医師会の猪口正孝副会長は「感染者数が急激に増加していたのが、ここ3、4日ぐらいは少し横ばいになっていて、再び増加するのか、このまま並行的に推移するのかを見極められる状況ではなかった。いろんな意見はあったが、今回は上から2番目のオレンジにしようということになったと思う」と述べました。

また、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、来週の感染の確認が今週と同じかさらに増加した場合には警戒のレベルを引き上げるべきかと記者団に問われたのに対し、「次回以降、また同じような傾向が続くというようなことになれば、当然、よく考えて判断すべきだと思う」と述べました。

感染状況と医療提供体制の分析結果は

モニタリング会議の中で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

感染状況

新たな感染の確認は16日までの7日間の平均でおよそ181人となり、前の週のおよそ149人から増加に転じています。

年代別でみると、今月14日までの1週間で最も多いのは
▽30代で24.1%
次いで
▽20代が23.9%
▽40代が19%
▽50代が13.3%
▽60代が5.7%
▽10代が4.2%
▽70代が3.6%
▽80代が3%
▽10歳未満が1.9%
▽90代以上が1.3%となっています。
前の週に比べて20代以下の割合が減少し、30代から50代の割合が増加しました。

また、感染経路が分かっている人のうち、
▽家庭内での感染が32.9%と、7週連続で最も多くなりました。
次いで、
▽職場内が13.5%
▽施設内が13.2%
▽会食が11.6%などとなっています。

専門家は「特に重症化のリスクが高い、高齢の同居家族に感染させないための日常的な対策が重要だ」と指摘しました。

また、会食で感染した人は、前の週の41人から67人に増加しました。

専門家は「少人数であっても、人と人が密に接する環境でマスクを外して会話や飲食を行うと感染のリスクが高まるため、基本的な感染防止対策を徹底することが重要だ」と指摘しました。

医療提供体制

16日時点での入院患者は1149人で、1週間前の今月9日の時点よりおよそ100人減っています。

しかし、専門家は「依然として高い水準だ」としたうえで、「新規の陽性患者が増加に転じたことで、入院患者が急増することへの厳重な警戒が必要である」と指摘しました。

また、都の基準で集計した重症患者は、16日の時点で1週間前とほぼ同じ23人でした。

年代別にみると、
▽30代が1人
▽40代が2人
▽50代~60代が15人
▽70代以上が5人で、
60代以下が8割近くを占めています。

専門家は「重症者は、新規の陽性患者の増加から遅れて増えるため、今後の重症患者の推移に警戒が必要である」と指摘しました。

小池知事 4連休「感染防止対策を万全に」

東京都の小池知事はモニタリング会議のあと、記者団に対し「専門家からは感染者数が増加することへの厳重な警戒が必要だということで、くぎを刺されているので、指摘をしっかり受け止めたい」と述べました。

また、今週末からの4連休については「旅行や彼岸の墓参りなどを予定されている人もいるかと思うが、調子の悪い人は無理をせず外出を控えていただきたい。安全で楽しい旅にするためにもマスクの着用や手洗い、消毒など、くれぐれも感染防止対策を万全に行っていただきたい」と呼びかけました。

さらに、記者団が「Go Toトラベル」を前に外出を控えるよう議論したか質問されたのに対して、「Go Toトラベルに東京を含むかどうかは、国のほうの分科会などで評価をされると聞いている。いずれにしても、Go Toトラベルであれ、普通のお出かけであれ、事業者も利用者もお互いに基本的な感染防止策を講じていただきたい」と述べました。