米政府 コロナワクチン 来年1月までに供給の指針 慎重な声も

米政府 コロナワクチン 来年1月までに供給の指針 慎重な声も
アメリカ政府は、新型コロナウイルスのワクチンを全米に速やかに供給する態勢を来年1月までに整備するとした指針を議会に通知しました。ワクチンの供給をめぐって慎重な対応を求める声も上がる中、大統領選挙に向けウイルス対策の成果を示したいトランプ大統領の考えに沿ったものとなっています。
この指針は16日、アメリカ厚生省が連邦議会に通知しました。

この中では、「接種を希望するすべてのアメリカ国民に、安全で効果のあるワクチンを供給できる態勢を来年1月までに整備する」としていて、素早い供給を実現するために軍を動員し、国防総省と緊密に連携するとしています。

新型コロナウイルスのワクチンをめぐって、トランプ大統領は許可や承認を急ぐことで早期に供給できるという見通しを示すなど、11月の大統領選挙に向けて成果を示したいねらいもあると見られます。

今回の指針は、こうした大統領の意向に沿うものとなっていますが、専門家などからは安全性や有効性の確認を優先し、臨床試験に基づいた慎重な対応をするよう求める声も上がっていて、議論を呼びそうです。

米CDC 多くの人が接種できるのは来年春以降の見通し

ワクチンの供給時期をめぐって、アメリカCDC=疾病対策センターのレッドフィールド所長は16日、議会上院で証言し、ワクチンを多くの人が接種できるようになるのは、来年の春以降になるという見通しを示しました。

この中で、レッドフィールド所長は、「ワクチンはことし11月から12月には使えるようになるかもしれない」とした一方で、多くの人が接種できるようになるのは、FDA=食品医薬品局が使用を許可した6か月から9か月後となるため、来年の春以降、第2四半期から第3四半期になるという見通しを示しました。

また、政権の主張に沿うよう、CDCの報告書がゆがめられているのではないかという指摘に対し、レッドフィールド所長は、「報告書の内容は科学的な原則を貫いている」と強調し政治的な圧力を否定しました。