大坂なおみ 全米オープン2回目の優勝 祝福や称賛の声

テニスの四大大会の1つ、全米オープンの女子シングルス決勝で、大坂なおみ選手がベラルーシの選手にセットカウント2対1のフルセットで逆転勝ちし、優勝した2018年の大会以来、2年ぶり2回目の優勝を果たしました。
ニューヨークで無観客で行われていることしの全米オープンは、大会13日目の12日、女子シングルスの決勝で世界ランキング9位の大坂選手が、元世界女王で世界27位、ベラルーシのビクトリア・アザレンカ選手と対戦しました。

対戦相手のアザレンカ選手は31歳、現在、大坂選手のコーチを務めるウィム・フィセッテ氏の指導を受けていた経験があります。
試合は第1セット、大坂選手は第1ゲームで自身のサービスゲームをいきなりブレークされると、相手の精度の高いショットに苦しみ、このセットを1-6で落としました。

第2セットも相手に2ゲームを連取されますが、ここから大坂選手が粘りを見せて6-3で奪い返しました。

迎えた第3セットは、お互いのサービスゲームをブレークし合う展開となりますが、大坂選手が勝負どころで強気なショットを決めて押し切り、6-3で取りました。

大坂選手はセットカウント2対1のフルセットで逆転勝ちし、四大大会初優勝となったおととしの大会以来、2年ぶり2回目の優勝を果たしました。

大坂選手は今大会、人種差別に抗議するために、事件などに巻き込まれて亡くなった黒人男性や女性の名前が書かれたマスクを着用していて、決勝では6年前にオハイオ州の公園で警察官に射殺された当時12歳の少年の名前が書かれていました。

人種差別に抗議「みんなの考えるきっかけに」

大坂選手は試合後のインタビューの中で、大会を通して人種差別に抗議してきた自身の行動について触れ、「みんなの考えるきっかけにしたかった。SNSを通じてしか反響はわからなかったけど、情報が拡散されていって、皆が話をしてくれているのがわかってうれしかった」と述べました。

フルセットの末、逆転で勝った試合については、「1時間で負けたら恥ずかしいと思い、悪い態度をとるのをやめて頑張ったことが試合のターニングポイントだった。楽しい試合ではなかったけれど、非常にタフで勉強になった」と振り返っていました。

祖父 大坂鉄夫さん「『偉いな』と声をかけてあげたい」

大坂なおみ選手の祖父で、北海道根室市の大坂鉄夫さん(75)は根室市内の自宅前で報道陣の取材に応じました。

鉄夫さんは、大坂選手の試合を自宅でテレビ観戦していたということで、「妻は優勝が決まって万歳してうれし泣きしていた。四大大会で通算3回目の優勝となると、1回目と2回目とは違った喜びで、このあともずっと勝ち続けていくんじゃないかという心配なような、うれしいような複雑な気持ちです」と笑顔で語りました。

また、「試合中はテレビ越しに頭をなでてやりたいくらいの気持ちでした」と振り返り、「電話で話せたら素直に『偉いな』と声をかけてあげたいです」と話していました。

また、大坂なおみ選手が着けていた人種差別に抗議するためのマスクについては、「彼女は彼女なりに、差別のことを考えてのことだと思うので、勇気があるなと誇らしく思います」と話していました。

安倍首相「感動をありがとう」ツイッターに投稿

安倍総理大臣は、みずからのツイッターに投稿し、「2度目の全米オープン優勝、おめでとうございます。最後まで諦めることなく、フルセットでの逆転勝利。感動をありがとう!益々の御活躍を祈念しております」と祝意を示しました。

海外メディア 大坂の人種差別抗議の姿勢も大きく報道

大坂なおみ選手が人種差別に抗議する姿勢を示しながら優勝を果たしたことについて、海外メディアも大きく報じています。

このうちニューヨーク・タイムズは「第1セットを落としてからの逆転優勝は26年ぶりで、彼女は四大大会の決勝で3勝負け無しだ」と、大坂選手の勝負強さを紹介しました。

そのうえで「2年前に優勝した際、観衆からブーイングを浴び涙を流した時とは全く異なる勝利だ。彼女は今大会、社会正義を結集し、間違いなくコートの内外で王者だった」とたたえました。

また、アメリカのヤフースポーツは「スロースタートから急激な追い上げでタイトルを勝ち取った。ウイルスの影響で無観客で行われた過去に例のない今大会で、人種の不正義に対する戦いを乗り越えての勝利だった」と表現しました。

このほか、大坂選手と契約しているスポーツ用品メーカーのナイキは、公式ホームページのトップ画面に大坂選手の写真を大きく掲載し「あなたは自分の力で勝利し、多くの人のためにプレーした」というメッセージとともに祝福しました。

NYのファンも優勝を祝福

全米オープンが行われているニューヨークでは、12日、マンハッタンの商業施設に設置された大型スクリーンで試合を見守った多くのファンが大坂選手の優勝を祝福しました。

ことしの大会は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で無観客で行われているため、スタジアムの周辺にはファンの姿はほとんど見られませんでした。

一方、マンハッタン中心部にある商業施設に設置された大型スクリーンの前にはおよそ200人のファンがグループごとに距離を保って女子シングルスの決勝を観戦しました。

会場では、大坂選手がポイントをあげるたびに拍手や歓声が上がり、大坂選手がフルセットの末、セットカウント2対1で優勝を決めると、この日いちばんの盛り上がりで祝福ムードに包まれました。

試合を観戦した日本人の男性は、「大坂選手の気持ちがこもった試合で、胸が熱くなった。2年前の優勝は若さと勢いでつかんだ感じだったが、今大会はすごく冷静で落ち着いていて、彼女の成長を感じた」と話していました。

優勝の瞬間、大坂選手と同様に地面に寝て喜びを表現していた黒人の男性は、「彼女はいつもスロースタートなので心配はなかったし、第2セットを取り返したときに優勝すると確信した。間違いなくセリーナ・ウィリアムズ選手の後継者だ」とたたえていました。

大坂選手のマスクに名前を記された7人は

大坂なおみ選手が着けていた黒いマスクには、事件などに巻き込まれて亡くなった黒人の男性や女性7人の名前が記されていました。

1 BreonnaTaylor(当時26)(ブリアーナ・テイラー)
現地メディアによりますと、テイラーさんはケンタッキー州の病院で働く救急救命士でした。ことし3月、家族になる予定だった恋人と寝室で就寝中、テイラーさんを麻薬事件の容疑者と勘違いして家宅捜索に入った警察官から銃撃され、銃弾5発を受けて亡くなりました。

2 ElijiahMcClain(当時23)(エライジャ・マクレーン)
現地メディアによりますと、マクレーンさんはコロラド州で整体関連の仕事をしていました。去年8月、コンビニからの帰り道に警察官に呼び止められた際、「警察官の銃を奪おうとした」という理由で首を地面に押しつけられて意識を失い、その後、死亡しました。

3 AhmaudArbery(当時25)(アマード・オーブリー)
現地メディアによりますと、ジョージア州のオーブリーさんは、地元ではアメリカンフットボールが得意なことで知られていました。ことし2月、近所をジョギングしていたところ銃を所持していた白人の親子に「強盗だと思った」などの理由で銃撃され死亡しました。事件の様子を捉えた動画が投稿されて広がるまで、およそ2か月間、親子は逮捕されず、抗議活動が起こりました。

4 TrayvonMartin(当時17)(トレイボン・マーティン)
フロリダ州に住む高校生だったマーティンさんは8年前、自衛団に所属していた白人の男性に銃で胸を撃たれて死亡しました。男性は「挙動不審だったので後をつけたら襲われ、自衛のため撃った」と主張し、地元警察は当初「正当防衛」に当たるとして逮捕しませんでした。男性は事件から1か月余りたって逮捕され殺人の罪に問われましたが、裁判で無罪が言い渡されたことから「人種差別的だ」と大規模な抗議活動が起きました。大坂選手は当時14歳で、この事件について「彼の死は世の中で起きていることを私に気付かせてくれた」とツイッターに書き込んでいます。マーティンさんの母親は、今回、大坂選手に向けて「名前入りのマスクを着けて子どもたちを代表してくれたことに心からお礼を申し上げます。これからも勝利を願っています」とメッセージを送りました。これに対して大坂選手は「彼らはとても強い。自分は意識を広めるための器だと思っていて、これで痛みが無くなるとは思わないが、彼らが必要とすることは何でも手伝いたい」と答えました。

5 GeorgeFloyd(当時46)(ジョージ・フロイド)
フロイドさんはことし5月、ミネソタ州で、偽造された20ドル札を使用した疑いで警察に拘束され、白人の警察官に首を8分46秒もの間、押さえつけられて死亡しました。フロイドさんの死を受けて人種差別への抗議活動が世界中に広がり、大きなうねりとなりました。

6 PhilandoCastile(当時32)(フィランド・カスティール)
現地メディアによりますと、カスティールさんは4年前、ミネソタ州で、運転していた車のライトが壊れていたため警察官に呼び止められ、運転免許証と車検証を提示するよう求められました。白人の警察官に対し、合法的に拳銃を携帯している旨を伝えたうえで免許証などを取り出そうとしたところを撃たれ、亡くなりました。

7 TamirRice(当時12)(タミール・ライス)
現地メディアによりますと、オハイオ州に住んでいたライスさんは6年前、公園でおもちゃの拳銃で遊んでいました。通行人に対し、おもちゃの拳銃を向けるなどしていたところ、警察の車が到着し、近づいてきたライスさんに白人の警察官が発砲。警察への通報では当初から拳銃が本物ではない可能性が指摘されていましたが、その情報が現場の警察官まで伝わっていなかったことが明らかになっています。