「コロナ信号」導入で 感染対策と経済の両立模索

「コロナ信号」導入で 感染対策と経済の両立模索
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ヨーロッパ中部のオーストリアでは、経済や社会活動を続けながら新型コロナウイルスの感染拡大を抑えようと、国が自治体ごとの感染リスクを評価して色分けし、リスクに応じた対策を行う「コロナ信号」という取り組みを始めました。
オーストリアは、ことし3月から4月にかけて全土で厳しい外出制限を行い、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えましたが、今月9日には、1日当たりの新たな感染者が650人を超え、3月下旬の水準に戻るなど、第2波への警戒が続いています。

こうした中、新たな対策として、国が医療の専門家などと過去1週間の感染者数や病院の受け入れ状況など複数の指標をもとに自治体ごとの感染リスクを評価し、緑、黄、オレンジ、赤の4色に色分けする「コロナ信号」という取り組みが今月4日から始まりました。

コロナ信号の色は、毎週、更新され、色に応じた感染対策が行われることになっていて、マスク着用が義務づけられる場所が増えたり、イベントが制限されたりします。

最も感染リスクが高い「赤」では、飲食店の店内での飲食が禁止され、学校での授業はオンラインに切り替えられるなど、措置が厳しくなります。

コロナ信号の導入で、オーストリアは、リスクに応じた感染対策は行いながらも経済や社会活動を続けたい考えで、クルツ首相は「新学期が始まり、寒い季節に入るこれからが大きな挑戦となる。国全体で厳しい外出制限を行う事態は二度と引き起こさないよう手を尽くす」と話しています。

「コロナ信号」小学校で指導も

今月7日から新学期が始まった首都ウィーンの小学校では、感染リスクが中度の「黄色」であることが示され、新入生の子どもたちに教室で着席する時以外は、マスクを着けるように指導していました。

小学校の校長は「コロナ信号によって守るべきルールがはっきりと示される。次の色に移る前に先んじて対策を行うこともできる」と話しています。

また、ウィーン市内の大学では、これまでオンライン授業を行っていましたが、まもなく始まる新学期に向けて、教室での授業を再開するか、コロナ信号も活用しながら検討を進めています。

大学の学長は「大学ではこれまでも厳格な感染対策を進めている。コロナ信号は、感染状況をより厳しく監視し、対策を提言してくれるシステムになると思う」と話しています。

コロナ信号についてウィーンの市民からは「毎週、更新されるため、自分がやるべき感染対策が分かり、実用的だ」と評価する声が上がる一方で、「もっと厳しい感染対策を導入するべきだ」といった声も聞かれました。

ウイルスの専門家、ウィーン医科大学のシェルンハマー疫学部長は「コロナ信号は、国全体で長期間の外出制限措置を行うのではなく各地域に必要な規制を行うことでオーストリアの負担を減らすことに役立つだろう」と評価しています。