Go To 東京発着加える方針で感染状況など見極め準備 政府

Go To 東京発着加える方針で感染状況など見極め準備 政府
観光需要の喚起策、「Go Toトラベル」について政府は、これまで除外していた東京を発着する旅行を来月1日から対象に加える方針で、専門家からの指摘も踏まえ、今後の感染状況などを見極めながら準備を進めることにしています。
観光需要の喚起策、「GoToトラベル」について政府は、11日、新型コロナウイルス対策を検討する分科会に、これまで除外していた東京都への旅行と都内に住んでいる人の旅行を来月1日から対象に加える方針を示し、意見を求めました。

その結果、専門家からは、「東京の感染状況が落ち着いていることを前提とすべきだ」などという指摘が相次ぎました。

ただ、西村経済再生担当大臣は、「東京では、感染の減少傾向が明確になってきており、基本的には了解いただいたと考えている」と述べていて、政府は、来月1日から対象に加える方針です。

そして、専門家からの指摘も踏まえ、感染防止策が徹底されているかや、今月下旬にかけての感染状況などを見極めながら、旅行会社や宿泊事業者が割引価格を反映させた旅行商品の販売ができるよう準備を進めることにしています。

一方、飲食店を支援する「GoToイート」のうち、予約サイトを通じて店を利用した消費者に1人あたり最大1000円分のポイントを還元する事業については、10月以降、都道府県が感染状況に応じて個別に判断し、実施することになりました。

分科会 除外だった東京発着加えるか 感染状況を踏まえ判断

政府の分科会は、11日午後5時半すぎから西村経済再生担当大臣と加藤厚生労働大臣も出席して、2時間半あまりにわたって開かれました。

分科会では、観光需要の喚起策、「Go Toトラベル」で、これまで除外していた▽東京都への旅行と▽都内に住んでいる人の旅行を10月1日から対象に加える政府の方針をめぐって意見を交わしました。

その結果、「感染が落ち着いていることを前提とすべきだ」などという意見が出され、政府は、予定通り実施するかどうかは、9月下旬にかけての感染状況を踏まえて最終判断することになりました。

一方、イベントの開催制限を、4連休が始まる9月19日から11月末までの間、緩和することは了承しました。

この結果、▽収容人数が1万人を超える会場で行われるプロ野球やJリーグなどのイベントでは、これまでの収容人数の半分までとする制限は維持される一方、参加人数5000人の上限が撤廃されます。

また、▽1万人以下の会場で行うコンサートや格闘技の試合などのイベントでは、参加人数5000人と、収容人数の半分までの両方の上限が原則として維持されるものの、家族連れなど5人以内のグループがまとまって着席することが認められるようになります。

一方、▽飛まつが拡散するような歓声や声援が想定されないクラシックコンサートや歌舞伎や落語といった伝統芸能などは、5000人の上限は維持される一方で、収容人数の半分とする制限は撤廃され、会場によっては、満席近くまで収容することが可能となります。

日本医師会 釜萢常任理事「10月からできるか 分からない」

分科会に出席した、日本医師会の釜萢(かまやち)敏・常任理事は、記者団に対し、「GoToトラベル」の対象に来月1日から東京を発着する旅行を加える方針について、「10月1日まで時間があると言えばあるし、ないと言えばない。東京は感染状況を分類したステージがまだ高いので、10月1日からできるかどうかは分からない」と述べました。

鳥取県 平井知事「今は判断できないのではないか」

分科会に出席した鳥取県の平井知事は、記者団に対し、「Go Toトラベル」の対象に来月1日から東京を発着する旅行を加える方針について、「分科会としては、開始する期日のことは述べないことになった。東京は微妙な段階であり、医療関係の先生からも、今月は4連休もあるので、そうした点も注目すべきだという議論があった。今は判断できないのではないか」と述べました。

イベント制限緩和でどうなる 

開催制限の緩和は、イベントの規模のほか、声援や歓声のあるなしに応じて、対応が分かれます。

まず、収容人数が1万人を超える会場で行われるイベントです。
具体的には、プロ野球やJリーグといったスポーツの試合やコンサートなどが想定されます。こうしたイベントでは、収容人数の半分までとする制限が維持される一方、参加人数5000人の上限は撤廃されます。これによって、例えば収容人数が4万人のスタジアムでは、2万人まで入場できるようになり、これまで上限としていた5000人よりも大幅に来場者を増やすことができます。

一方、1万人以下の会場で行うコンサートや格闘技の試合などのイベントでは原則として参加人数5000人と、収容人数の半分までの両方の上限が維持されます。ただ、家族連れや友人どうしなど5人以内のグループについては、ひとりひとりの座席の間隔を空けず、まとまって着席することが認められるようになります。この対応によって、参加者が、収容人数の半分を超えることは例外的に容認されます。

また、飛まつが拡散するような歓声や声援が想定されないクラシックコンサートや、演劇、寄席、歌舞伎や落語などの伝統芸能、それに展示会などは、5000人の上限は維持される一方、収容人数の半分とする制限は撤廃されます。

こうしたイベントでは、数万人規模で行われることは少ないため、会場によっては、満席近くまで収容することが可能となります。

これらの緩和には、業種別に作成した感染防止のガイドラインの順守や、基本的な感染防止策の徹底が条件となります。

具体的には、マスクの着用率を100%とするために、マスクを着用していない人へは主催者が配布するよう求めています。

また、発熱などの症状がある人が無理に来場しないよう、払い戻しの方法をあらかじめ決めておくことや、トイレなどでの密集状態を回避できるよう必要な人員を配置することなども必要だとしています。

このほか、全国的にも有名で、動員規模の大きなお祭りなど、参加者の把握が困難なイベントは、引き続き、中止を含めて慎重に検討するとしています。

制限の緩和措置は、準備期間を考慮して、4連休が始まる9月19日から開始し、ことし11月末まで実施されます。

12月以降については、感染状況やイベントの実施状況などを踏まえて、改めて検討されます。

「Go Toトラベル」とは

「Go Toトラベル」は、新型コロナウイルスの影響で、落ち込んだ消費を喚起する「GoToキャンペーン」のうち、宿泊施設や土産物店、交通機関など観光分野を支援する事業です。

旅行代金を割り引く形や、観光施設や土産物店、飲食店や交通機関などで使えるクーポンを発行する形で1泊あたり最大2万円分の補助を受けられ、このうち、旅行代金の割り引きは、7月22日から始まりました。

しかし、その直前になって政府は新型コロナウイルスの感染者が都内で再び増え始めていたことから東京都内を目的地とする旅行と都内に住む人の旅行を、対象から外しました。

さらに、これに伴って旅行を取り消した場合のキャンセル料についても政府は当初、補償しないとしていましたが、事業開始の前日の21日になって一転して補償する方針を示すなど混乱が生じました。

こうした中で始まった「GoToトラベル」ですが、観光庁によりますと、キャンペーンの利用者は、9月3日の時点で少なくとものべ781万人に上るということです。

また、割り引きの対象となる事業者は、9月10日の時点で旅行会社が全体の6割を占める6300余り、宿泊事業者が全体の半数を超える2万800あまりに上っています。

一方、「GoToトラベル」のうち、観光施設や土産物店、飲食店や交通機関などで使えるクーポンについて、政府は、10月1日に利用できるようにすることを明らかにしています。