”パンデミック宣言”から半年 感染拡大の歯止めかからず

”パンデミック宣言”から半年 感染拡大の歯止めかからず
WHO=世界保健機関が新型コロナウイルスの感染拡大が世界的な大流行=パンデミックになったとする認識を示して半年となります。
アメリカやブラジルでは新たな感染者の数が高い水準で推移しているほか、インドでは急激な増加に転じるなど、感染拡大には歯止めがかかっていません。
WHO=世界保健機関がことし3月11日、新型コロナウイルスの感染拡大が世界的な大流行=パンデミックになっているという認識を示してから半年になります。

ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、これまでに確認された新型コロナウイルスの感染者はおよそ2800万人、死者は90万人を超えています。

このうち感染者数がおよそ640万人と最も多いアメリカでは3月から急激に感染者数が増加し、ほとんどの地域で人の移動や経済活動の制限が行われましたが、ニューヨーク市やその周辺では多数の患者が、医療機関に押し寄せ危機的な状態に陥りました。

またその後も移動や経済活動の制限を早期に解除した州を中心に感染拡大が続き、7月には1日当たりの感染者数が6万人から7万人という水準にまで達しました。

一方、ブラジルでは貧困層を中心に感染が広がり、感染者はおよそ420万人に達しているほかペルーやコロンビア、メキシコといった中南米諸国でも感染者が多い状態が続いています。

さらにインドでは8月以降、1日当たりの感染者の数が5万人を超える水準となり、現在は世界で2番目に累計の感染者数が多くなっています。

また、3月に急速に感染が広がったイタリアやスペイン、フランスなどは、一時、新たな感染者の数が減少したものの、7月以降増加する傾向を見せていて、いわゆる「第2波」への警戒が高まっています。

最初に感染が広がった中国や、ベトナム、タイなど、新たな感染者数が低い水準に抑えられている国もありますが、世界全体でみますと1日当たりの感染者数は7月中旬以降、20万人を超える日が続いていて感染の拡大には歯止めがかかっていません。

スウェーデン保健当局「免疫が一定の役割」

感染対策を主導するスウェーデンの保健当局のテグネル氏は、新たな感染者数、死者数とも抑えられていることについて「免疫について判断するのは非常に難しいが、一定の役割を果たしているのは間違いない」と述べたうえで、厳しい外出制限などの措置を取らなくてもウイルスをコントロールできていると、スウェーデンの独自の対策に自信をみせています。

またスウェーデンのカロリンスカ研究所などのチームは先月、ウイルスに感染後、抗体ができていなくても、T細胞という細胞によって免疫反応を示す人が多く確認されたという研究結果を発表しました。

カロリンスカ研究所のハンス=グスタフ・ユングレン教授は、スウェーデンの対策が正しかったかどうかを評価するにはまだ時間がかかるとしたうえで、「スウェーデンでは、高齢者を守る対策を取る一方で、学校を休校にしないなど社会活動は制限しなかった。それによって社会にウイルスの感染が広がり一定の免疫が獲得されつつある」と述べ、免疫が感染拡大が抑えられている理由の一つだという見方を示しました。