メルカリ流が目指すのは?

メルカリ流が目指すのは?
利用者が月間1700万人、国内最大級のフリマアプリのメルカリ。創業からわずか5年で株式上場を果たし、新興企業のエース的存在とみられるだけではなく、新型コロナウイルスの感染拡大でマスクなどの転売が問題となるなか社会的な責任も求められる存在となった。メルカリは、今後なにを目指すのか?その創業者でCEOとして会社を率いる山田進太郎氏に聞いた。(経済部記者 茂木里美)

成長を続けるフリマアプリという市場

着なくなった洋服から、食器、古本、それに自動車までスマホ上で売買できるフリマアプリのメルカリ。
経産省の調査によると、フリマアプリの市場は1兆円を超える規模に成長。その市場を開拓してきたメルカリも売り上げを伸ばし続け、ことし6月までの1年間の決算では売り上げが前の年度からおよそ1.5倍の762億円と、過去最高となった。
アメリカにも進出するなど積極的な投資を進めてきたため営業損益の赤字が続いてきたが、ことし4月から6月の3か月間には株式上場後初めて9億円余りの黒字を計上した。日本だけでなくアメリカでも新型コロナウイルスの感染拡大を受けた生活様式の変化が、追い風になったという。
山田CEO
「家にいる時間が増えたことがメルカリの利用につながったと思う。特にアメリカでは、アマゾンなどの他社が食料品やエッセンシャルな商品を優先的に運び、いわゆるエンターテインメントなものの発送が後回しになっていた。そういった他社の事情もあり、そのニーズにメルカリが応えられたことが大きかった。既存ユーザーの掘り起こしや、新規ユーザーの増加につながったと考えている」

“転売問題”を契機に

一方で、新型コロナウイルスでは、マスクや消毒液の転売という問題にも直面した。
需要が急激に高まったマスクや消毒液が高値で転売されるケースが相次いだ。自由な取り引きをうたい、利用者にとっての使い勝手のよさを重視してきたからこそ成長してきたメルカリだが、相次ぐ転売によって3月にはマスクなどを出品禁止をする措置をとらざるを得なくなった。
7月には、企業倫理や経済学の専門家など外部の専門家からなる有識者会議を設立。今後、新たな感染症が発生する状況なども想定し、フリマアプリを安全に運営していくためにはどうすればいいのか、どういったものなら出品禁止の対応をとることができるのかなど、具体的な方針を定めることになった。
山田CEO
「マスクはみんながほしいと思っていて、僕もなかったくらいなので、それが買い占めのようなことにつながったというのは自分としてはいいとは全然思っていない。われわれとしては、これからより多くの人に使ってもらいたいと思っているで、社会的に認められる、評価される取り組みをしていかないといけないと思っている。ただ、むやみに『これは高値で売られているから一律NGだ』というものではないと思っていて、生命に関わるものなのかなど慎重に考えながらルールメイキングをしていきたい」

フリマアプリのその先は?

山田CEOが次に見据えるのは、メルカリのアプリで蓄積したデータの活用だ。
メルカリは、アプリのユーザーの年齢や性別、どういった商品が高値で売買されているのかなど購買情報といった多様なデータを持つ。それを、アパレルメーカーなど1次流通の企業に提供することで、中古品になったとしてもフリマアプリで人気となる商品の開発につなげようという考えだ。もちろん、その結果としてメルカリでも取り引き量の拡大することをねらっているが、山田CEOはデータビジネスへの参入も「限られた資源をむだにしない」という創業の動機の延長線にあると言う。
山田CEO
「今は廃棄などの問題もあり、必要な分だけ作るということが求められていて、作ったものに対しても製造責任としてできるかぎりゴミにしないで済むことが企業には求められている。そこに対してメルカリのデータを連携させることで、こういった製品を作るべきではないかや、このくらい作ったらいいなどという視点に生かしていけると考えている。ただメルカリだけが大きくなるのではなく、1次流通あってのメルカリなので、データを連携することで、メーカーや小売業を力づける役割を果たしたい」
スマホ1つで個人が手軽にものを売買できるというプラットフォームを作り上げたメルカリ。キャッシュレス事業も手がけているが、アメリカのGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)や楽天などのようなプラットフォーマーを目指しているわけではない。
こだわっているのは、あくまで中古品の売買によって資源を再活用する「循環型社会」の実現だ。
この“メルカリ流”ビジネスがどこまで成長を続けるのか。それは、私たち自身が中古品や資源の問題とどう向き合うのかにもつながっているのかもしれない。
経済部記者
茂木 里美
フリーペーパーの編集者を経てNHKに入局。
さいたま局、盛岡局を経て平成29年から経済部