東日本大震災から9年半 暮らし再生や原発事故の復興は道半ば

東日本大震災から9年半 暮らし再生や原発事故の復興は道半ば
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東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から11日で9年半です。津波で被災した住まいの再建はほぼ完了しましたが、暮らしの再生や原発事故からの復興は道半ばで、新型コロナウイルスの影響など新たな課題にも直面しています。
9年半前の3月11日、東北沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、沿岸には高さ10メートルを超える津波が押し寄せました。

警察庁と復興庁によりますと、死者と行方不明者は「震災関連死」を含めて、少なくとも合わせて2万2166人に上っています。

住まいの再建は進んでいて、被災者向けの災害公営住宅は、ことし7月末までに岩手、宮城、福島など8つの県で計画の99.7%にあたる2万9555戸が完成し、かさ上げ工事などで整備した宅地も計画の99%が完成しました。

一方、NHKがことし7月から今月にかけて岩手、宮城の被災者1400人余りに行ったアンケートでは、震災や原発事故で家庭の収入が減ったと答えた人が42%に上っていて、暮らしの再生は道半ばとなっています。

さらに、最近は新型コロナウイルスの影響で被災地でも飲食業や観光業、水産業などが打撃を受け、新たな課題が突きつけられています。

一方、原発事故による避難指示は、今も福島県の南相馬市、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、飯舘村、それに葛尾村の7つの市町村で続いていて、合わせて337平方キロメートルが、立ち入りが厳しく制限される「帰還困難区域」に指定されています。

このうち8%の地域については、国が除染を行ったうえで、3年後までに解除する計画が示されていますが、残る92%については除染や解除の方針が示されておらず、区域の指定を受ける自治体でつくる協議会は、具体的な方針を示すよう国に繰り返し求めてきました。

一部の自治体では、除染を行わない地域を含む区域全体での一斉解除を求める動きなどが出ていて、「帰還困難区域」の解除の在り方を巡る新たな議論が始まっています。