サンマ記録的な不漁 8月はキロ当たり1300円超 過去最高水準に

サンマ記録的な不漁 8月はキロ当たり1300円超 過去最高水準に
先月のサンマの取り引き価格は、記録的な不漁の影響で1キロ当たり1300円を超え、去年の2倍近い、過去最高の水準になったことが分かりました。
都道府県や漁業者団体で作る「漁業情報サービスセンター」によりますと、先月の全国のサンマの漁獲量は、速報値で166トンでした。

8月の漁獲量は、おととしは8800トンを超えましたが、去年は911トンと大幅に減少しました。

ことしの166トンは、去年の18%にとどまり過去最少です。

品薄の影響でサンマの価格は大きく上がり、水揚げした主な港で取り引きされる1キロ当たりの平均価格は、記録が残っている中で、初めて1000円を超え1343円となりました。

8月の価格としては2年前の4.3倍、去年の1.9倍に当たります。

例年、サンマの価格はシーズンが始まる8月に最も高く、漁獲量が増える秋以降、下がる傾向にあります。

今後の価格は漁獲量に左右されますが、水産庁は北海道から茨城にかけての日本近海に来るサンマの量は、ことしいっぱい極めて低調に推移するとみています。

この原因について水産庁は、日本の東側を南下する親潮の流れが日本から離れるなどの環境の変化や、サンマと餌が競合するイワシやサバが増えたことにより、サンマの生息場所が変わったことなどを挙げています。

販売しない鮮魚店も

ことしのサンマは小ぶりなものが多く、鮮魚店の中には取り扱うのを見合わせている店もあります。

10日の東京都内では、サンマを1尾780円や980円で売る店があるなど、価格が高騰している一方、仕入れを見合わせる店もありました。

練馬区にある大型の鮮魚店「魚屋 旬」では、例年、この時期は大量にサンマを仕入れていて、不漁となった去年も、量は少なかったものの8月から販売を行っていましたが、ことしは品薄のうえ小ぶりなものが多いため、まだ一度も仕入れていないということです。

店長の渡部博さんは「秋風が吹けばサンマを食べたくなる。サンマがあると売り場が活気づくので売りたいが、僕らの目にかなう大きなサンマがない。値段も高く、このままではサンマが高級魚になってしまうようで寂しい」と話していました。

店を訪れた男性客は「サンマを食べたいのですが、サバを買いました。サンマの値段が昔の1尾200円くらいに戻ってほしいです」と話していました。

女性客は「サンマは秋の食べ物だから早く食べたいです。値段が高いので、ほかの店でもまだ手が届かないです」と話していました。

不漁の影響 来年以降に懸念

サンマの記録的な不漁の影響で、去年水揚げされた冷凍のサンマなどを使う加工会社や外食チェーンも、例年にない対応を強いられているほか、来年以降、商品を十分に提供できるか懸念する声も出ています。

千葉県銚子市にある創業92年の老舗「田原缶詰」は、サンマの缶詰が主力商品で、年間1000トン以上のサンマを仕入れてきました。

ここ数年、サンマの不漁が続いているため2年ほど前からは、日本の沖合で漁を行う台湾の企業にも調達先を拡大してきました。

しかし去年水揚げされた冷凍サンマの在庫が少なくなり、ことしは生産する商品を5種類ある缶詰のうち、かば焼きの2種類に絞る、これまでにない対応をとっています。

また、生のサンマを使う商品は生産ができなくなっています。

田原義久社長は「商品を安定供給するだけの原料確保が年々難しくなってきた。サンマの缶詰は創業以来のロングランの商品なので、やめるわけにはいかない。2年前に値上げをしたので、いくら仕入れ値が高くなっても、さらなる値上げは難しい」と話しています。

今後については「ことしの不漁で来年以降がどうなるか心配で、海外市場も含めて全力で確保するしかない。不漁によってサンマの価格が高騰し、消費者の“サンマ離れ”が起きることも懸念している」と話しています。

NHKが、回転ずしのチェーンや、ほかの水産加工会社にも取材したところ、ことしは去年までに仕入れた冷凍サンマを使って営業しているところが多いものの、在庫がなくなりしだい加工品の出荷を取りやめる会社があるほか、来年以降、商品の供給に不安があると懸念する声が相次ぎました。

看板メニューの変更も

サンマの記録的な不漁により、この時期の看板メニューの変更を余儀なくされた飲食店もあります。

定食チェーンの「大戸屋」は例年9月から10月までの限定で「生サンマの炭火焼定食」を提供してきましたが、ことしは記録的な不漁により、336ある全国の店舗で提供する量を確保できなくなったということです。

そのため、「さんまがダメでも真あじで勝負」として、季節限定のメニューを「真あじフライ定食」に変更し、11日から販売します。

「大戸屋」の商品開発部の小出修平部長は、「サンマの漁獲量の増加のめどがたたないので、鮮度がよく脂ののった長崎産の真アジのフライに変更しました。サンマが捕れ始めたら、すぐにサンマの定食を販売したいです」と話していました。