福島第一原発 トリチウムなど含む水の処分で周辺の県が意見

福島第一原発 トリチウムなど含む水の処分で周辺の県が意見
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けているトリチウムなどを含む水の処分方法について、国が関係する団体などから意見を聞く6回目の会が9日開かれ、宮城県をはじめ、福島県周辺の3県の代表が意見を述べました。
福島第一原発のタンクにたまり続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分をめぐっては、ことし2月、国の小委員会が基準以下に薄めて海か大気中に放出する方法が現実的だとする報告書をまとめ、政府は地元や関係団体などから意見を聞いたうえで方針を決定するとしています。

9日は、6回目となる意見を聞く会が都内で開かれ、福島県周辺の宮城県、茨城県、千葉県の3県の代表がぞれぞれ意見を述べました。
このうち、宮城県の遠藤信哉副知事は、「処分についてはこれまでの経緯もあり不信感や不安感をもたれている」と述べたうえで、消費者や流通業者が安心感を得られる正確な情報発信や効果的な風評対策を求めました。
また、茨城県の大井川和彦知事は、「海か大気中が現実的とする内容は、結論ありきに思えてならない。より影響が出ない方法が本当にないのか、納得できる具体的な説明を強くお願いしたい」と話し、より議論を深めることを求めました。
また、千葉県の滝川伸輔副知事は、「水産物の諸外国の輸入規制が残るなど風評は払拭(ふっしょく)しておらず、水産関係者などは処理水の処分で風評が再燃するのではと強い不安がある」として、国に現地に来て地元の声を聞くことや、事前に具体的で実効性のある対策を示すことを求めました。

汚染水を処理したあとに残るトリチウムなどを含んだ水の処分をめぐっては、海など環境中に放出する案に賛成反対を含めさまざまな意見が出されています。

経済産業省は、今後も意見を聞く会の開催を調整するとともに、これまでの意見を整理する場を設けたいとしています。

3県と商工団体 意見の詳細

9日は福島県の周辺の3つの県と1つの商工団体が意見を述べました。

▽宮城県の遠藤信哉副知事は「宮城県も原発事故による風評被害で農林水産業、観光業など広範囲で損失を受け、事故後9年をたってもなお風評に苦しんでいる実態がある。いずれの処分方法でも新たな風評による被害の拡大が懸念される。国民の理解が得られるよう丁寧に慎重に取り組んでいただく必要がある」と述べました。

また、「処分についてはこれまでの経緯もあり不信感や不安感を持たれている」と指摘し、消費者や流通業者が安心感を得られる正確な情報発信や効果的な風評対策を求めました。

そのうえで「小委員会などで時間をかけて総合的な検討をされてきたと思うが、今回の意見を伺う場の発言や募集された書面による意見も十分に考慮し、国民的議論のうえで、方針を決定してほしい」と求めました。

▽茨城県の大井川和彦知事は「原発事故の影響はいまだ解消されておらず、福島の原発事故はまだ終わっていない。処分方法の決定に当たっては納得できる説明をお願いしたい」と述べました。

そのうえで、大井川知事は「海か大気中が現実的とする内容は結論ありきの取りまとめのようにも思えてならない。まだ皆さんが納得するには十分な説明ではないと感じている。小委員会の報告を既定路線とせず、地域社会や環境に対してより影響が出ない方法が本当にないのか、検討結果を含めて、より具体的な説明をお願いしたい」と述べました。

▽千葉県の滝川伸輔副知事は「原発事故の直後は、千葉県においても風評被害で大変厳しい状況におかれ、水産物については諸外国の輸入規制が残るなど風評は払拭していない。水産関係者などは処理水の処分で風評が再燃するのではと強い不安がある」と述べました。

また、去年の台風や新型コロナウイルスの影響で、困難な状況にあるうえ、トリチウムなどを含む水の放出による風評被害が重なると県内の水産業ばかりでなく観光業にも影響を与え、トリプルパンチになると指摘したうえで、「方針の決定に当たっては現地に赴いて、生産者や流通加工業者の不安の声を直接聞いてほしい。そのうえで、具体的で実効性のある対策を打ち出して、対話を丁寧に重ね、関係者の十分な理解と納得を得てほしい」と求めました。

▽日本商工会議所の久貝卓常務理事は「地元の商工会議所が特に憂慮しているのは、いまだ払拭されたとは言い難い風評がさらに拡大してしまうことだ。国内のみならず国外でも風評が根強く続いているのが現状で、トリチウムなどを含む水が放出されれば風評が上乗せされることは必至だ」と指摘しました。

そのうえで、風評被害が起きた場合の具体的な対策が示されていないとして、「風評被害に対する経済的な補償や支援策をもうけることを国が明確に意思表示することが重要だ」と述べました。