窒息事故はこうして起きる ~子どもを救う方法とは~

窒息事故はこうして起きる ~子どもを救う方法とは~
幼稚園児が給食で出されたブドウをのどに詰まらせて死亡するという痛ましい事故。子育て世代の親を中心に食べ物による窒息事故の危険性が改めて関心を集めています。どんな食べ物が危ないのか。もしもの時の対処法は。(ネットワーク報道部記者 林田健太 秋元宏美)

直径3センチのブドウ

事故が起きたのは今月7日の午後1時ごろ。東京・八王子市の幼稚園で4歳の男の子が苦しそうにしているのを女性教諭が見つけました。

救急車で病院に運ばれましたが、まもなく死亡しました。ブドウをのどにつまらせたことによる窒息死とみられています。ブドウは皮をむいた状態で直径はおよそ3センチだったということです。

溢れるヒヤリ・ハット

事故を受けてSNS上では大事には至らなかったものの同じような体験をしたという親などからのいわゆる「ヒヤリ・ハット」が相次いで投稿されました。
「うちの息子もばぁばのくれた飴を喉に詰まらせました。背中バンバン叩きました!本当に飴が怖かった」

「娘はにんじん喉に詰まらせたことある。旦那もいたけど、アワアワして『どうしたらいい?どうしたらいい?』って聞くだけ」

「1歳児クラス担任だった頃、みかん1粒が喉に引っかかって咳き込んで吐いた子がいたけどヒヤリハット案件だった」

なめらか つるつる 粘着性…危険な食べ物とは

子どもがのどに詰まらせる危険がある食べ物とはどういうものなのでしょうか。
話を聞いたのは、長野県佐久市の佐久医療センターで小児科医長を務める坂本昌彦医師です。子どもが窒息しやすい食べ物の特徴を5つ挙げてくれました。
1 なめらかでつるつるしたもの
2 形が丸いもの
3 粘着性のあるもの
4 弾力のあるもの
5 固いもの
具体的には、つるつるしていて丸い形のプチトマトやサクランボ、ブドウ。粘着性のあるだんごや白玉、もちのほか、弾力があってかみ切れないエビやイカ、タコ。固さのあるピーナツや枝豆などの豆類、ラムネやあめ玉なども注意が必要です。

また日常的に食べる頻度の高いパンやごはんであっても、かきこんだり口に詰め込みすぎたりすると窒息のリスクが高まるということです。

子どもは食べ物で窒息しやすい?

消費者庁が平成26年までの5年間に窒息死した14歳以下の子どもの事例623件を分析したところ、就寝時の窒息(27.8%)に次いで多かったのが食品によるもの(16.5%)でした。

坂本医師は子どもは大人に比べて食べ物をのどに詰まらせてしまうリスクが高いと指摘します。
坂本医師
「それぞれの子どもの成長や発達状況にもよりますが、目安として4歳以下の子どもは歯が生えそろっていなかったり、かむ力が十分に発達していなかったりするため食べ物を丸飲みしてしまいのどに詰まらせることがあります。さらに、詰まったときに大人はせきをして吐き出すことができますが、子どもは自分で圧をかけて吐き出すことが難しい。4歳より上の子どもでも走ったりしゃべったりしながら食べる“ながら食べ”や、早食いなどふざけて詰まらせてしまう危険性もあります」

危険性のある食べ物は控える 小さく刻む

小さな子どもは「よくかんで食べようね」と話しても、そのとおりにしてくれるとは限りません。窒息事故を防ぐために家庭でできる対策はあるのでしょうか。
坂本医師
「危険だから食べさせないというのはおかしいというご意見もあるのですが、親が隣にいて注意していても、実際に事故は起きています。ものをかむ力などは鍛えてすぐできるものではありません。4歳以下のうちは、危険性のある食品を控え、ブドウなどの丸い食べ物は4等分する、かみにくいものは小さく刻むなどある程度食事を出す側がコントロールすることが大切です」
目安として4歳から5歳ごろになってことばがよく理解できるようになってきたら、「よくかんで食べようね」「落ち着いてきちんとした姿勢で食べようね」と教えていくことが大切だそうです。

それでも詰まらせてしまったら…

子どもがのどに食べ物を詰まらせた場合、まず速やかに救急車を呼びます。

坂本医師によると蘇生できる可能性が高いのは窒息してからおよそ9分以内。

一刻を争うため、救急車をただ待つだけでなく、その場で詰まったものを吐き出させるための応急処置を行うことが重要になります。

吐き出させる方法は

1歳未満の場合
子どもをひざの上にうつぶせに乗せます。あごに手を添えて固定し、手の付け根で背中を5回ほど前に押し出すようになぞるか、たたきます。
次にあおむけにして手で首の後ろを支えます。胸の間に指をおいて胸が3分の1程度沈むくらいの強さで5回ほど押します。この動作を交互に5回から6回繰り返します。
1歳以上の場合
子どものみぞおち辺りに背中側から腕を回し抱きかかえるような体勢をとります。片手で握り拳を作り、もう片方の手でその拳をつかんで一気に上に引き上げる動作を異物が出るまで繰り返します。
近畿大学医学部 杉本圭相主任教授は。
「のどに詰まったものは1つとは限らないため、異物が出てきても呼吸状態をしっかり確認しましょう。そして救急隊が到着したらいつ、何を、どのくらい食べたのかを的確に伝える必要があります」

悲しい事故 ふせぐために

「親が隣で注意していても事故は起きる」
坂本医師はそう警告します。毎日の食事でなじみのある食品で子どもの窒息事故は起こります。悲しい事故を防ぐため子を持つ親としていざという時の対処法をしっかりと覚えておきたいと感じました。