来年1月の全国駅伝 男女とも初の中止 コロナ影響

来年1月の全国駅伝 男女とも初の中止 コロナ影響
来年1月に予定されていた都道府県対抗で争う全国女子駅伝と全国男子駅伝について、日本陸上競技連盟は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて大会史上初めて中止とする方針を明らかにしました。
大会は男女ともに中学生から社会人まででチームを編成し都道府県対抗で順位を争うもので、来年は、マラソンと同じ42.195キロを9人でたすきをつなぐ全国女子駅伝が1月17日に京都で、48キロを7人でつなぐ全国男子駅伝が1月24日に広島で予定されていました。

この2つの大会について、日本陸連は、ほかの駅伝とは異なり、ふだんは別々の所属先で活動している選手やスタッフが集まってチームを編成するうえ、全国各地からの移動を伴うため感染対策の管理が難しいなどとして、9日、中止とする方針を明らかにしました。

大会は新年恒例のレースとして注目を集め、過去には、オリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんや野口みずきさん、近年では、マラソン男子の日本記録を持ち東京オリンピックの代表にも内定している大迫傑選手が大学時代に出場するなど、国内のトップ選手も参加してきました。

大会の中止は、昭和58年に始まった女子、平成8年に始まった男子ともに初めてです。

都道府県対抗で争う全国駅伝とは

都道府県対抗で争う全国女子駅伝と全国男子駅伝は、日本の中長距離選手の強化育成などを目的に毎年1月に行われてきました。

女子の大会は、昭和58年に始まり、京都を舞台にマラソンと同じ42.195キロを中学生から社会人まで9人のランナーがたすきをつなぎます。
オリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さんや野口みずきさんなど数多くのトップランナーが出場してきました。
近年では、4年前に愛知のアンカーを務め逆転での初優勝をもたらした鈴木亜由子選手をはじめ、前田穂南選手や一山麻緒選手といった来年の東京オリンピックのマラソン代表に内定している選手たちが沿道をわかせてきました。

男子の大会は女子の13年後平成8年に始まりました。広島を舞台に7区間48キロのコースを中学生から社会人まで7人のランナーがたすきをつなぎます。
男子マラソンの日本記録を持ち東京オリンピックの代表に内定している大迫傑選手も大学時代に出場。多くの選手がこの舞台も経験して世界に羽ばたいていきました。

大会では、男女ともに社会人と大学生の選手は出身の中学校と高校のある都道府県から出場ができる「ふるさと制度」が設けられ、進学や就職で地元を離れた選手がふるさとを背負って走る姿も見どころの1つとなっています。

日本陸連 横川会長「苦渋の決断」

日本陸上競技連盟の横川浩会長は「全国男子駅伝および全国女子駅伝は天皇盃、皇后盃を下賜され、歴史を重ねてまいりましたが、中止の方針を示さざるをえない状況となりました。都道府県を代表して出場する選手たちは、世代を超えてつなぐたすきに思い込め、毎年行われる晴れの舞台での栄冠を目指していたかと思います。新型コロナウイルス感染拡大のため、まさに苦渋の決断であります。しかし、必ずや一層の盛り上がりを持って戻ってまいります」などとコメントしています。

このほかの駅伝の状況は

来月、島根県出雲市で開催される予定だった大学三大駅伝の1つ、「出雲全日本大学選抜駅伝」は選手やスタッフなどの安全を確保できないとしてことし7月に中止が発表されました。

11月の「全日本大学駅伝」は一部の地域で出場校の選考会が中止となって書類選考が導入されるなど影響が出ましたが、本大会の実施に向けて準備を進めています。

来年1月の「箱根駅伝」は、まず来月に都内で予選会が行われますが、一般の観客が観戦できない形で行う予定で、主催する関東学生陸上競技連盟はこの予選会について「今後の社会情勢や有事が発生した際には会場の変更や中止の可能性もある」と説明しています。

また、高体連=全国高等学校体育連盟によりますと、12月に京都で行われる男女の「全国高校駅伝」は、感染対策をとりながら実施する方向で準備を進めているということです。

このほか、11月の「全日本実業団女子駅伝」と来年1月の男子の「全日本実業団駅伝」について、日本実業団陸上競技連合は開催を前提に準備を進めています。

小林祐梨子さん「非常にさみしい」

全国女子駅伝に11回出場し、現役引退後はNHKの中継番組でレースの解説も務めている小林祐梨子さんは「日本の陸上の長距離を支えてきた大会なので、中止になるのは非常にさみしいです。ふだん別のチームでやっている選手を集めてやるのは感染対策の面で難しかったのでしょう」と話しました。

そのうえで「地元の都道府県のユニフォームを着て、たすきをつなぐこの大会は、中学生のころから誰もがあこがれる大会です。合宿を通して一緒に走った先輩を目標にする若い選手も少なくありません。日本一を目指すだけでなく、陸上の底上げにつながる大会です」と意義を強調していました。