コロナでごみが増えました

コロナでごみが増えました
新型コロナウイルスの影響で外食を控えてデリバリーを頼んだり、いつも以上に自宅で調理をする機会が増えたりして、プラスチックごみがたくさん出てうんざりしている人も少なくないのではないでしょうか。新しい生活様式の中で増えるプラスチックごみ、自治体の財政への影響も懸念されています。
(経済部記者 仲沢啓・社会番組部ディレクター 麓直弥)

コロナ禍で増えるプラごみ

プラスチックごみによる海洋汚染が世界的な課題としてクローズアップされ、国内でも7月からレジ袋が有料化されるなど、対策が広がっています。一方で、全国の主要な自治体に取材すると、7月までの4か月間に家庭から出るプラスチックごみは、前の年に比べて急増していました。
背景にあるのは、やはり新型コロナウイルス。外食を控えてデリバリーやテイクアウトを頼んだり、自宅で調理する“巣ごもり”の影響で、弁当や総菜の容器、肉や魚のトレーといったプラスチックごみが増えたとみられています。

ふだんからマイバッグを持ち歩くなどプラスチックをできるだけ使わない生活を心がけていると言う、ある50代の女性に話を聞いてみると…。ネット通販や食品のデリバリーを利用する機会が増え、家族4人のプラスチックごみ1日分で35リットル入りのごみ袋がいっぱいになる日もあると言います。回収してもらうためにはプラスチック容器などを洗う必要があることも負担に感じていると話していました。
プラスチックごみの急増で、ごみ処理施設も対応に追われています。名古屋市内の処理施設では、新型コロナウイルスの感染が広がった3月ごろから、これまで横ばいだったプラスチックごみが前例のない増え方となり、操業時間を延長せざるをえない状況に陥っていました。

「プラスチックを買わない選択肢が必要」

UNEP=国連環境計画によりますと、日本は1人当たりのプラスチックごみの排出量でアメリカに次いで2番目の多さ。日本の商品は過剰な包装を指摘されることも少なくありません。プラスチックごみの問題に詳しい大阪商業大学の原田禎夫准教授は、もはやプラスチックごみを減らすだけでなく、消費者が使わずに済むような取り組みを考えなければならないと訴えます。
原田准教授
「あくまで消費者はその製品を買っているわけであって、本来、容器包装類を購入しているわけではないはずです。プラスチックを使わない、あるいは使わずに済む選択肢を用意していくことが非常に大事だと思います」

加速する商品のプラスチックフリー化

企業の間ではプラスチック包装を減らす取り組みも始まっています。大手食品メーカーの「ネスレ」はチョコレート菓子の袋を去年9月から紙製に切り替えました。

大手飲料メーカー各社はネット通販のペットボトル飲料についてはラベルをせずに販売する取り組みを始めています。なぜラベルをしないのか?それは、ラベル分のプラスチックを削減するためです。
そして都内の大手菓子メーカー「不二家」は、50年以上前からプラスチック製だった主力商品のパッケージを8月から紙製に切り替えました。強度や空気や湿気の“通しにくさ”はプラスチック製のものとあまりかわらないといいます。コストは増えますが、環境への配慮を打ち出すことで、顧客獲得にもつなげたいとしています。
不二家商品企画部 青木あかりさん
「社会でプラスチックのごみを削減しようという動きがある中に、きちっと対応していくことが企業としての責任と考えています」

ごみ問題は財政問題?

町全体でプラスチック容器の削減に乗り出している自治体もあります。それが岡山県真庭市。市内のとんかつ店を訪ねてみると、“エコテイクアウト始めました”の文字が。店に容器を持ち込むと、揚げたてのかつを容器につめてくれるんです。こうした、マイ容器やマイボトルの持ち込みを受け入れている飲食店は市内に25店舗。真庭市環境課の呼びかけで進められている取り組みです。
さらに、市の施設で使われていた樹脂製の容器を、テイクアウト用の容器として無料で飲食店に提供する取り組みも始まっています。豆腐店では、揚げたての厚揚げを、市から提供された容器に入れ、こちらも市が無料で配布しているエコバッグに入れて販売していました。飲食店にとっては容器代がかからないため、この店ではマイ容器の持ち込みや、市の容器でのテイクアウトを選んだ客に対しては3%値引きして販売していました。
新型コロナウイルスの影響でテイクアウトが増える中、少しでもプラスチックごみを削減しようと、ことし5月から始まったこうした取り組み。その背景について、市の担当者に話を聞いてみると。
真庭市環境課 藤田浩史参事
「地球環境問題だけでなく、自治体としては大きな財政問題ととらえています」
藤田参事によりますと、人口減少で税収が減り続ける中、真庭市のごみ処理にかかる費用は毎年およそ7億円と、ほぼ横ばいです。45リットルのゴミ袋は1枚50円で販売していますが、実は1袋分のごみを処理するために実際にかかる費用は、その10倍の500円だそうです。コロナ禍でのプラスチックごみの増加は、地方自治体の財政をさらにひっ迫させるおそれがあるんです。
これは真庭市だけの問題ではありません。環境省のまとめでは、国民1人当たりのごみ処理事業経費は増加傾向にあり、2018年度は年間で1万6400円。自治体によって事情は異なりますが、人口減少などから地方財政がひっ迫する中、ごみの増加はさらに財政を悪化させかねません。

ごみを減らそう

コロナ禍でデリバリーやテイクアウトが増え、衛生面や便利さからプラスチックごみが増えることはある程度仕方ない部分はあると思います。都内の飲食店を取材した際、客が容器を持ち込んでも、食中毒などへの懸念から断っている店もありました。
ただ、プラスチックごみの増加は人々の暮らしの負担や行政コストの増加、そして地球環境の悪化にもつながります。個人も企業も、少しでもできることから、ごみを減らしていく取り組みが重要になりそうです。
経済部記者
仲沢 啓
平成23年入局
福島局、福岡局を経て
現在、流通・食品業界などを担当
社会番組部ディレクター
麓 直弥
平成27年入局
広島局を経て
現在「おはよう日本」を担当